2017年02月05日
VRな打ち合わせ。
リフォーム工事の実施設計の打ち合わせに来られたKさんが、自分の家の内装をこんな感じにしたいと、ゲーム用ソフトを利用して、VRに表示出来るようにコンピュータで描いて、持参してこられた。私も打ち合わせに参加し、VRを装着すると、凄い! リアル! 部屋中を歩き回れるし、ソファーに腰掛けた感覚で窓の外を眺めることもできる。付属のボタンで、天井にロフトがある設定や、水平の天井や、R天井の設定と変化でき、床の素材感も変えられるし、そうか、Kさんは、こんな雰囲気が好みなのだな。と共有できて、Rの天井がエエ感じですね!ここの天井高さ、もう少し低くすればどうですか?なんて、こちらの感想やアドバイスも伝えること出来て、とにかく面白い!
「建築の民主化」という本を読んだが、確かに、いまや、インターネットの普及によって、誰もが、平面図を考えて、空間的な雰囲気まで、自分で考ることが出来、何よりもコンピューターのCPU性能の向上とフリーソフトの普及によって、わりと手軽に、それを誰かに伝えるコトまで出来る時代で、それに、自分たちで、DIYを含めて、施工まで挑戦することができる時代になってきて、工務店として、建築のプロフェッショナルとして、どのような立ち位置をとるのかが問われる時代にもなってきた。
ハウスメーカーや建築家に家のデザインを「お任せ」して造る選択肢もあれば、家のデザインや間取りに積極的に関与しながら、それはまるで設計部の一員になった、お客さんを含めた「設計チーム」として、設計と製図の過程を共有しながら、一緒に設計をすることが出来る時代であり、また、「施工チーム」の一員として、材料を直接インターネットで買ったり、一部の施行を担当したり出来る時代でもあるわけで、コンピューターとインターネットの進展によって、「建築の民主化」が進み、もの造りの過程を共有しながら造るコトを望むお客さんが育まれてきた時代でもある。
新建ハウジングという工務店のプロ向けの雑誌に、「スモールビジネスとクラフトマンシップ」というコトバが掲載されていて、クラフトマンシップを持った職人や現場監督や設計担当がいる、ある小さな規模の工務店が、ものづくりの過程を共有しながら造るコトを望むお客さんの要望に、お応えすることが出来る時代になってきて、木村工務店もそういう存在の工務店として、ここ何年もかけながら、精進している過程でもある。
うちの設計担当のTKKSが、施主のKさんからの刺激を受けて、VRに挑戦してみましょうよ!なんて宣っていて、建築のBIMによる設計も含めて楽しみでもあるのだけれど、それにしても、工務店は、何よりも、リアルな「人」が、リアルな「現場」で、リアルな建築というものづくりをしている、その「経験値」を積み重ねて、その経験値を「フィードバック」し「編集」できる能力を持った、現場監督と設計担当と職人が求められているのではないのか...と考えさせられた土曜日の夜の打ち合わせだった。
投稿者 木村貴一 : 2017年02月05日 23:17 « 祝日の天気予報。 | メイン | 「学ぶ」と「遊ぶ」 »