2014年09月21日

堀山の家と「JAZZ」とNYの休日6

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この連休に神奈川県の丹沢にある「堀山の家」に遊びに行く。堀山の家の親父(通称ヒゲさん)がこの小屋で亡くなって、そのお悔やみと、その後を突然引き継ぐ事になった小屋の仲間たちへの激励も兼ねての登山で、25年間に少なくとも年に1度以上は訪れているので、それなりの愛着があるわけで、それに「小屋」でなく「家」だと名乗っているように、この丹沢の大倉尾根を歩く何人ものひとにとっては、確かに「home」のような存在でもあったわけで、それはヒゲさんの「存在感」が、大きく影響していたとおもう・・・。

以前のブログで、「私」のメンタリティーを形成してきた要素のひとつに「建築」と「JAZZ」があって、その建築とJAZZが「NYの休日」と結びついたと書いたのだけれど、建築とJAZZが「堀山の家」とも結びつく訳で、ヒゲさん以前のこの小屋の親父が、この建物をリフォームする姿を何度も見てきて、外部の杉板貼りと内部の杉板貼りの間に、梱包用の「プチプチ」を挟み込んでいて、それは、隙間風を無くすために考えた方法で、当時は、少し懐疑的に見ていたが、それでもこんな断熱材の全く入っていない簡易的な造りの小屋にもかかわらず、もちろん全体的な温度は低いものの、確かに隙間風が少ないお陰で、薪ストーブひとつで暖がとれているわけで、考えてみれば最近の建築では、気密シートというのを貼る工事が増えてきて、あらためて、そういうシートの存在を見直してみると、それが堀山の家での建築体験と結びついたりする訳。

堀山の家のヒゲさんの以前の職業はJAZZ喫茶のマスターで、「私」はヒゲさんからJAZZを伝授されたようなもので、薪ストーブとランプの明かりの下で、どれほど多くのの時間、JAZZ談義をしたものか…。それにここ10年ほどは、年末になると丹沢の木の実を使った手作りのリースを届けにきてくれて、深夜までJAZZを聴きながら四方山話をしたものだった。いま、ヒゲさんの多くのCDがうちの家に鎮座することになった。

そんなこんながあって、実は「NYの休日」は建築よりJAZZの方が思い入れが強かったのかもしれない。様々な事情が重なって、前半の3日間を建築巡礼に費やして、朝早く起きて動き回ったために夜も早く寝るスタイルだったが、後半はNY在住のJAZZ歌手のコガマリさんのコーディネートのお陰で、NYのレストランとJAZZライブハウスを巡礼できて、それで、後半の3日間は深夜遅くまで遊んで朝遅く起きるというスタイルになった。

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IMG_5988初日のビレッジバンガード http://villagevanguard.com/ は憧れのライブハウスで、地下の階段を下りて扉を開けると正面奥にステージがあり、奥から三角形で客席が広がっていて、如何にも音響が良さそうな雰囲気で、最終日のバードランドのエンターテイメントなライブハウスと比べると、アグレッシブな演奏が聴けそうな雰囲気が充満していて、コルトレーンやマイルスがステージに出てきて欲しい!と思った。正面左にスタインウエイのピアノのがあって、そのすぐ側の席で演奏を聴けて、このピアノでビルエバンスのWaltz For Debby"が演奏されて、あの録音の背景に聞こえるグラスの音やひとの話し声が響く空間がこんなスケール感の空間だったのかと、いま再びあの雰囲気を思い返してみた。

その日のヴァンガードで見たピアニストは http://www.fabianalmazan.com/  で、もちろん、上手な演奏なのだろうが、シリアスな感じがして、もっと軽やかさがあっても良さそううに思えて、建築も同じような傾向に陥る時があって、「真摯であってシリアスにならず」なんていうコトバを聞いたことがあるが、施主や観客に喜んでもらうプロとして、いろいろと考えさせらる演奏だった。そのヴァンガードの後に、卓球場やプールバーのあるジャズライブの http://www.fatcatmusic.org/ に・・・・。
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そのfat catのリラックスした雰囲気が、とっても居心地良くて、シリアスな演奏を聴いた直後だっただけに、そこでみたピアニスト http://haroldmabern.jazzgiants.net/ の高齢にもかかわらず、とってもエネルギッシュで落ち着いてグルーブする演奏とやりとりが、とってもカッコ良くて、きっと、周囲のビリヤードや卓球場の喧噪が心地良い雑音となりながら、内面的な何かをアグレッシブに刺激していたに違いない・・・。それはかつてのビレッジバンガードのビルエバンスのワルツフォーデビーのグラスの音やひとの話し声が背後で聞こえる雰囲気は、こんな雰囲気だったのかもしれない・・・と、いま、そうおもった。そうそう、そのピアニストのおじさんは、周囲のひとたちからはレジェンド呼ばれていたのだけれど、演奏が終わると阪神タイガースの帽子を被って、ひょうようと歩いているその姿に、ちょっと驚いたが、でもなんとなくカワイかったのだ・・・。

二日目は、バードランド http://www.birdlandjazz.com/ に行く・・・。
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エンターテイメントなビッグバンドの演奏を聴いて、それはそれで、とっても楽しくて、ちょうど、その前のディナーが、寿司屋さんでフュージョンな鮨を食べたこともあって、それはそれなりの美味しさと、こんな寿司も有りかなとおもえる味で、きっと、NYはエンターテイメントな街なんだ・・・。

三日目はブルックリンのジャズクラブ http://www.barbesbrooklyn.com/ で・・・。
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ひとがひしめき合うカンターバーの奥に小さなホールとステージがあって、ぎゅうぎゅう詰めになって立ちながら演奏を聴くスタイルで、演奏を聞くも良し、お酒を飲むのも良し、話し込むのも良し、という、そのリラックスした雰囲気と一体感が、居心地良く、「堀山の家」での夜の雰囲気のようでもあり、そんなこんなな、シリアスであったり、軽やかさであったり、エンターテイメント的であったり、真摯であったり、話し込む雰囲気があったり、遊び心があったり、・・・、なんていうJAZZ的な何かが、「私」のメンタリティーの一部を形作っているのかね・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2014年09月21日 01:43 « サンデーモーニングライドと「自転車」とNYの休日7 | メイン | 津軽と「スーパームーン」とNYの休日5 »


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