2015年04月26日
土地の神様
代官山のヒルサイドテラスで昼食を食べながら、結婚を機に大阪に戻ろうと計画している長男カップルと、その日取りや、相手方のご実家にお伺いする良き日をあれこれと打ち合わせをするのは、それなりの喜びでもあるわけで、それが、東京の代官山のヒルサイドテラスとなれば、それなりのお洒落感が、より気分を盛り上げてくれたりもし、このあたりを設計した大御所も、お昼は、このカジュアルなレストランで食事してはる事が多いわ。と、その事務所に、丁稚奉公のように勤める長男のコトバが、尚一層の相乗効果をもたらして、日取りだけでなく、どこにどのようにして住んで、木村工務店に何時から入社するのかまで、話し合うのだけれど、決まったような決まってないような状況に陥ってしまうのも、周辺環境のムードが、ちょっとお洒落すぎるからだろう…。
地下鉄小路駅を午前5時12分の始発に乗ると、東京駅には午前8時23分に到着するわけで、朝4時過ぎに起床したので、新幹線の座席に座るとぐっすり寝るのかと思いきや、以外と目が冴えて、IPAD上のPDFファイルになっている自宅と両親の家の図面を眺めながら、あれこれと考えるには、不思議にエエ集中力が湧いてきたりし、あの新幹線の中で仕事のような事をするのにエエ効果を発揮するのは、閉じ込められて身動きできない座席、車窓を流れる景色、電車の微妙な振動、同乗する周囲のお客さんのムード、そんなのが、妙な相乗効果となって、集中力を発揮させるのだろうか…。
そういえば、その前日の夜は、「レイ」を製作する第一人者の大谷幸生さんと、初めてお会いし、それは、「まちのえんがわ」のワークショップに度々参加してくれているフクイさんが、わざわざ「まちのえんがわ」までオオタニさんを連れだってきてくれたわけで、あそび菜で一緒に食事をしながら、あれこれと話が弾んで、なんでもレイというのは、その土地に育つ花を使って作り、首にかけて踊った後は、その土地に戻すそうで、その土地の神様の生まれ変わりとも云われていて、そんな訳で、日本では、日本のその土地に咲く花を使って、レイを作ると、オモシロイ出来事がさまざまにハプニングし、そんなふうにして日本の都道府県を全て回ったエピソードは、なかなかの聞き応えがあって面白く、そんな話を聴きながら、そのレイを首にかけたあそび菜の奥さんから満面の笑みがこぼれて、いつも以上に陽気を発散している姿を眺めていると、あらためてレイの持つ力に魅了されたりするわけで、勿論、「私」もレイをかけて一緒に記念写真を撮影し、いや、そんなこんなで、寝床に付いたのは深夜の午前0時30分を回っていて、それでも、4時間も寝ないで、東京に向かうことになった道中に、レイのパワーが心のどこかに陽気をもたらしてくれていた御陰で、計画に集中できたのかもしれない。
両親の住んでいた家が無人の状態になって一年が経過し、今後あの大きな家をどのように維持していくのかという問題が、それとなく「私」の心の片隅に引っかかっていて、それが、長男夫婦という新たな家族が誕生しそうな可能性によって、私たち夫婦の心境にも変化をもたらしてくれるわけで、私たちが結婚と同時にリフォームを繰り返しながら住み続けてきた愛すべきマイホームを長男夫婦に譲り、両親が住んでいた家を私たちが引き継いで、それも減築リフォームをして引き継ごうかという心境が芽生えてきて、そんな建築的計画を新幹線の中であれこれと、レイの陽気な力を借りて模索していたわけで、それがそのまま代官山の老舗のヒルサイドテラスでの打ち合わせになり、散策しながら、新しく出来て新たな人の流れを生み出している、代官山TUTAYAのカフェでの打ち合わせに引き継がれていくわけで。
そうそう噂によれば、代官山TUTAYAの存在に、当初は少し難色を示していた大御所も、今では、その中のスタバでお茶をすることがお気に入りでもあるそうで、裏通りにまで人が溢れて新しいお店も誕生していて、新旧のエポックメイキングな建築が、まちとひとの流れを生み出している姿を、新旧のカップル4人で、代官山から恵比寿まで散策しながら、ウィンドウショッピングをし、服を買い、本を買い、お茶をし、ビールを飲み、あれこれと談義をしながら、Tokyo のまちを楽しんでみた。
今回の日帰りの東京への旅は、Tokyo で一人暮らしを始めた次男の様子伺いが、最も大きな目的のひとつで、夕方に合流して、5人で一緒に食事をしながら、それぞれがそれぞれなりの人生を歩もうとするその姿に、私たち夫婦にもあらたなる使命のようなものが発生してきたりし、それもこれも、レイの花のように、ひともケンチクもそれぞれの「土地の神様」に産み育てられているからなのだろうか・・・。
投稿者 木村貴一 : 2015年04月26日 23:59 « 夜噺のソトメシ | メイン | タニグチパワー »