2011年06月12日
五月晴れの四国吉野川
会社の社員と協力業者で行く研修旅行で、「ラフティング」をしようという事になったのは、毎回、詰め込みの研修旅行も辛い・・・、時には、楽しいイベントを! という要望が多くあって、以前、家族で四国のうどんツアーをした時に、四国吉野川の大歩危小歩危でのラフティングをチラッと見て、何時かは、やってみたいと考えていた。それで、3年ほど前から、そんな話は、チラチラとしていたのだけれど、それでは、今年にそれを・・・という事になり、題して、「ラフティングと安藤建築と金刀比羅宮の旅」
異常気象なのか、梅雨入りが2週間も早く、前日まで、大歩危ラフティング半日ツアーの川は、雨の予報だった。精親会という名称で、55回目を迎えるこのバスツアーは、雨の経験がない、珍しいジンクスなのだけれど、流石に、今年は、雨だなぁ・・・。と、皆も諦めムードであった。ところが、当日は、青空が見えて、エエ天気。そのうえ、インストラクターのリーダーが言うのには、先週から降り続いた雨で、水量が多く、川もちょい激流で、ラフティングにはもってこいのコンディションで、天気も最高。おそらく今シーズンで最高の日だと、陽気な笑顔で、皆の前で語る。
今年は、あの震災や、それに仕事の状況もなかなか厳しい環境下のもと、旅行に行くような雰囲気でもなく、中止するのもありかな。という迷いがなかった訳ではない。ただ、社員や業者の意向は、行こうよ!という流れであって、その皆の思いに乗っかるカタチで、実施する事にしたことが、天気を晴れに導いてくれたのだろう・・・・。
6月5日の日曜日の朝、社員、大工、手伝い、専門工事業者の56名が大型バスに乗って、生野区小路を出発し、淡路島に向かった。まぁ、研修旅行という名目ながら、慰安旅行という名目もあって、どちらが、表の名目か裏かは、確かに判断に困る。兎に角、大量のビールとお酒が積み込まれ、大量に消費されていくのだった。あっ、いま、反省すると、東北地方のお酒を積むべきだったなぁ・・・・・。
淡路夢舞台で安藤建築を見学する。2班に分かれて、係員の人に案内をしてもらうと、なるほど、そうなのぉ。なんていう部分が何カ所かあって、例えば、あの楕円の広場の最上部の手摺りは水辺線の形と高さに合っているのだそうです・・・。なるほど、ほんと、そうやな。いやぁ、そんなところまで、考えていたのか・・・と。国際会議場や茶室を見学出来たのも、意外な収穫だった。そうそう、型枠大工のモモヤマさんも旅行に参加していて、このコンクリートの「トッカド」は、カドの型枠がバレないように「セパ」をこうとって、こうして、ベニヤの小口にもテープを貼って・・・、などなどと、職人さんの解説付きもあり、こういうのが、団体旅行の面白さであるとおもう。
昼からは、四国、金比羅温泉に到着し、金刀比羅宮に参拝をする。案内人の軽妙なダジャレを聴きながら歩く。もちろん、生粋の大阪人の大工フミノくんは、お笑いへの礼儀として、そのダジャレに突っ込みを入れる事を忘れない・・・。おかげで、600段以上の階段の登りは、汗をかきながらであったけれど、笑いが絶えない、楽しい参拝になった。今回の旅行の最大の収穫は、ラフティングによってうまれた、妙な「絆」であったけれど、金刀比羅宮で、出会った、鈴木了二設計による社務所と緑黛殿の良さには、独特の感動があって、私にとっては、隠れた、大収穫でもあった。
神社の伝統的な木製の手摺りと階段。それと不思議な調和を持つ、鉄の階段と手摺とコールテン鋼の錆びたデッキ。それに鉄のH鋼の柱とその柱の上に伝統的な斗栱(ときょう)をのせて、オーソドックスな木組みの垂木と屋根が浮く。ブルーの扉と木々の緑。
参拝者の誰もが、何の違和感もなく、すぅーっと通り過ぎる建築であるのだけれど、建築的にやっている事は、ちょっとやそっとでは真似の出来ない凄みを感じた・・・・。そんな事を設計のヤマガタくんや、現場監督のモリタくんらと、その建築を眺めながら、アレヤコレヤと語り合う。学生の頃から、鈴木了二さんの「物質思考」というのを興味を持って見ていたけれど、いまいち、ピンと来なかったが、この階段の光景を見て、物質思考というコトバの持つ力を再考できる機会を得て、有り難かった・・・・・。
夜は、ちょっとした総会と宴会。うちの総会は、名ばかりな感じがして、これで、エエのかと、社長としての自己反省もあるのだけれど、何よりも、オーソドックスな宴会のスタイルが、若い人や私にとっても、非日常的であり、独特の楽しさと、独特のコミュニティー感があって、緊張感を伴った親近感がうまれるのが、エエのだとおもう・・・・。
そして、6月6日の月曜日の朝が、今回の旅行のメインイベントのラフティングだった。「五月晴れ」。56名中46名、26才から70才までの幅広い年齢層が、7艇のゴムボートに分乗して吉野川に乗り出す。勿論、インストラクターが、キッチリと付いて、後で舵を取ってくれるので安心。
70才になる仮設資材の中村建機のナカムラ社長は、ゴルフもシングルの腕前なのだけれど、ラフティングに参加し、その上、3メートルの岩場から、飛び込みにも挑戦したのだった。ビッグスマイルという会社でラフティングに乗ったが、飛び込みは、その会社の高齢者記録だそうだ。ちなみに、ピースをして飛んでいるのは現場監督のモリタくんで、その横で70才のナカムラさんが飛ぶ。
60才になる弊社相談役のムラカミさんは、この10年間で、最も楽しい出来事で、兎に角、笑った笑った、オモロかったオモロかった。と子供のように騒ぐ。ボートの先端で、サングラスをかけてオールで漕ぐ姿を見て、誰かが、村上水軍の到来だぁ・・・と叫んでいた。
50才後半の増田タイルのマスダさんは、ボートに乗るまでが大騒ぎ。100kg以上ある、体重とお腹のため、ウエットスーツのチャックが締められず、何人かで手助けをするが、ダメだった・・・。ヘルメットも合うヘルメットがなく、インストラクターの帽子を特別に借りる。その姿がなんとも滑稽で、皆の爆笑を誘っていた。体重をものともせず、飛び込みにも果敢に挑戦し、ドボ~ンという巨大な音と強大な波しぶきが巻き起こり、いっそうの笑いを誘う。今日は1年分、笑ったでぇ。と大きな笑顔で語るが、いや、実は、皆から、1年分、笑われたのだとおもう・・・・。ありがとう。
ちなみに、冒頭2枚目の写真は、最終飛び込み者として岩から飛ぶ「私」
そんなこんなで、20代30代40代や50代60代70代が、子供のように、大はしゃぎし、吉野川の渓谷に、ウォーとか、ウヮーとかいう、おっさんの声が響き渡り、それはまるで7艇の海賊船のようで、誰もが、パイレーツ・オブ・カリビアの、あの海賊船が島に上陸するシーンを思いだしていたのだとおもう・・・・。
そうそう、芭蕉の句を思いだした。「五月雨をあつめて早し吉野川」 やったっけ・・・・。
投稿者 木村貴一 : 2011年06月12日 20:52 « くだらない話 | メイン | 木の文化とは »