2008年07月13日

クーラー

暑い。きっと夏だ。

20年ほど使ったクーラーがガタガタと大きな振動音を立てだしたのは昨年の事だった。この月曜日、奥方が、「クーラー!クーラー!」 と顔を見る度に連呼しだした。日本一暑い大阪の夏だ

インターネットで、奥方が何度も調べ、調べ、調べる。カタログを家電屋さんから調達して、N社が良いか?D社の方が良いのか? それともM社が良いか?アーダコーダと、意見を求められる。

「えーと、最新の機種がどうなっているのか・・・、あんまり、よくわからん・・・」などと、えー加減に答えると、「それでも、 プロなん!」と、容赦なく叱咤激励がとんでくる。

「そしたら、出入りの電気業者の電工舎さんのK君に聞くわ!」と携帯に電話をしたらしい。 しどろもどろになりながら応じたK君の答えに、「やっぱり、もひとつ、よーわかれへんわ。電気屋さんゆーても、あてになれへんわ」 とえーらそうに言うではないか。

確かに、建築屋さんは、いわゆる「家電」には、そんなに強くないのだ。そうそう、電気屋さんと言っても、 建築の配線工事をする電気屋さんと、家電を販売し、取り付ける電気屋さんとは、全くべつものでぇ・・・・・。などと、こちらが、 弁解のホローをしながら、何となくなだめる。

奥方の次のターゲットは、何でもよく知る弊社の工事部長のT桝くんだった。「えー、家電のクーラーの事はあんまり、 よくわかれへんので・・・」と、答えると、「誰も、クーラーの事は、あてになれヘンなぁ・・・・」などとのたまい。鞭。

だから、「家電」には、そんなに、強くないのです。って。ましてや、クーラーに「人感センサー」が付いて、 人の居場所に風を送り込むとか・・・・。「快適エコ運転」などと称して、温度、湿度、気流制御により体感温度を下げながら、 省エネ運転をする・・・・・。なんて事を言われても・・・。確かに勉強不足で・・・・。

「調べてぇ!」と、もはや、叫びに近い、命令が・・・・。まぁ、そういうわけで、建築屋さんとしては、まず、「その道のプロ」 と言われる人を探し出し、その人に意見を求め、最終的にはこちらで、判断し、決断する。というのが、常套手段なんだろう・・・・。

私に求められたミッションはD社とN社のどっちがええのか判断しろ。

だった。もし、私が、工務店という職業でなかったら、「えー、どっちでもええんとちゃうか。好きにしいや。そうか。それが、 わかれへんっていうんやろ。それやったら、えーっと、家電屋さんに行って、店の人に聞いて、 その人がええと言う方にしたらええんとちゃうかぁ・・・・」と答えるかも。きっと。そうだ。

手始めに、D社のフリーダイアルに電話をして、その「快適エコ運転」の仕組みを尋ねる。体感温度・・・って、湿度の調整の仕方って・・ ・・、えーっと、なんで、省エネになるんですか・・・・と、聞く。

最近の電話での対応する方々は、丁寧な口調で、お客様の要望を受け止めてくれているような、柔らかい物腰で、 優しくお話しになるのだけれど・・・、肝心の内容が、いまいち、もひとつよく解らへんのですわ・・・・。もう、これ以上、この人に尋ねても・ ・・。

それで、うちの電気工事屋さんに、D社の営業担当の方を紹介してもらい、打ち合わせに行く道中の助手席に座りながら、携帯電話で、 ちょっとしたレクチャーを受ける事にする。流石に、「ぶっちゃけた話」を出来るのが、ええのです。

だいたい、D社がN社にOEMで提供しているのですが、最高機種に関しては、それぞれ独自で開発していまして・・・・。 D社にはN社のような人感センサーはなく、人の居場所を考慮した気流操作はないのだけれど、加湿ユニットが室外機に付いていて、 湿度をきっちりとコントロールして、心地良い体感温度にするのです。24時間換気も付いていて・・・。夏だけなら確かにN社もよくって、 でも夏も冬も総合的に判断したらD社が・・・、お掃除ロボットはN社は自動で外に排出しますが、我がD社は溜まったゴミを手で捨てる必要が。 まぁ、でも、総合的に判断して、よろしくおねがいします。と、電話が終わる。

家電屋さんで、奥方は、店員さんからはN社を勧められたぁ・・・と。 (あらためて注文に行った時に胸の名札をよく見たら小さくN社の社名があったわー・・・やて。)インターネットの噂では、えーと、 N社が売れているような・・・と。もぉー、「ややこしやー」っていう感じで、「どっちでも、ええんとちゃうか」状態に陥る。

家づくりにおいて、奥さんがインターネットで、猛烈に詳しく調べまくり。ご主人は、奥さんに、「もっと、家のこと真剣に考えてぇ!・・ ・!」と、叱咤激励されている、そんな男子が、沢山、いるのだろうなぁ・・・・・と、映像となって目の前を通り過ぎる。

まぁ、そんな事柄を一緒に悩み解決するのが、私たち工務店の仕事でして・・・、などと、こんな状態で、 格好良く言い切ってしまって良いものかどうか・・・・。と、反省も促されつつ・・・・。

そんなこんなで、つまるところ、丁度、2台同時に潰れたために、この際、D社とN社を一台ずつ、計2台を同時に購入し、使用してみて、 いろいろ、研究でもしてみたら・・・。などと、都合の良い時には、工務店の親父としての立場から、もの申したりして・・・、 意外と安易な解決策。

で、今、このブログは、その新たに取り付けられたエアコンの「快適運転」とやらで、書くことにする。只今、午後6時。 設定温度28度設定湿度50%。室温29度湿度45%。外気温32度。と音声でお知らせがあった。

えーと、やっぱり、クーラーのいらない、心地良い風が通り抜ける家の方が良いのでは・・・。クーラーの消費電力が少なくてすむ、 断熱効果の高い家が良いのでは・・・。それには屋根の断熱を強化して屋根の日射熱を抑えなくては・・・・。 日中の南面からの日射を遮るための庇とか、葦簀とか、木製ルーバーとか・・・・。大阪の暑い夏にふさわしい家づくりって、 どうすれば良いのぉ・・・・。それはそうと、いわゆる安い金額のクーラーで充分やったのでは・・・・。と、 クーラーと共に考える大阪の初夏であった。

 

投稿者 木村貴一 : 2008年07月13日 18:25 « それぞれの夏がはじまる | メイン | 世界の日の出 »


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