2005年11月20日

学芸会

今日は学芸会があるよ!と前々から念を押されていた。長男の時は何かの都合で行かなかった。 それが私のどこかにそれなりの罪悪感になって残っていたのは確かだった。次男の時は長男の分も含めて返しておかなければなぁ・・・・と、 そういう訳もあって、朝9時から小学校に出向いた。校長先生の挨拶があり、「自分の子供しか見ないと思っている親御さん方、 いらっしゃいますかぁ、手を挙げてみてください」なんて言われたので、素直 に手を上げたみた。「是非、是非、最後まで見てください。 ほんとうに感動しますよ」と名調子で勧誘の言葉があった。その誘い文句に凄く好感が持てたこともあり、また何よりも長男の分まで、 お返しをするという、今となっては取り返しが付かない事を、誠しやかな理由を付けて、 罪悪感から解放されようとする親としての私がそこにいて、そんな事が入り交じって、最後まで見ることになった。

RIMG0011学芸会は毎年あるわけではない。数年に一度だ。確か長男の時は6年間に一度だけだったような気がする。 曖昧だなぁ。舞台を見た。そうだ、私も同じ舞台に立ったのだ。いやぁ、そういえば、校舎が建て替わっているはずだから、 正確には同じ舞台だと言えないなぁ。公共工事というものに投資が少なくなる今、いつか、この講堂も建て替えるのだろうか?  次はボロボロになるまでそのままだろうなぁ・・・などという建築屋さん的な考えが、すっとよぎった後、 自分が小学校2年生の時に舞台に立った、その時のどよめきの記憶が蘇った。鉄人28号に扮して登場した時の、 会場から沸き起こった、歓声の記憶だった。

親の立場に立って学芸会を見る体験はこれが最初だった。親の立場になると劇の内容など、ほんと、どうでも良かった。 子供が台詞を言うその時、心の中で「がんばれぇ!がんばれぇ!」と声援を送っている自分に気づいた。自分の子供は勿論の事なのだが、 どの子供達にも同じだった。それが、会場の親達や祖父母の皆に充満しているのがはっきりと感じ取れた。凄く、暖かく、好意的な雰囲気だった。 そりゃぁ、そうだよな、プロの舞台では、観客に感動を与えるのが「当たり前」の世界でぇ・・・、今、そんな事、どうでも良い事だよなぁ。 そうそう、自分の子供が出る時は、「大きな声でしゃべりよるやろかぁ」「間違えヘンやろかぁ」っと、心の中はぶつくさと呟いていたのだった。

流石に、9時から12時30分まで体育館の席に座っていると足下から冷えがまわってきた。体育館にも床暖房を設置してはどうだろうか、 災害時の避難場所となった時にも重宝すると思うのだが・・・、などと、相変わらず建築屋さん的な考えがやってくるのをやり過ごしながら、 1年から6年までの舞台を見終えた。最後に生徒から終わりの挨拶があった。確かに感動的だった。理由は分からない。 その良さがどこにあるのか分析したがる癖を制止し、観客と一緒になって舞台に向かって大きな拍手を送った。出来れば、 舞台裏で活躍した先生方も壇上に登って欲しかったなぁ・・・そして先生方にも精一杯の拍手を贈ってあげたかったなぁ・・・・・と、 ものをつくる立場になるとそんなことがやけに気になって、後ろ髪を引かれる思いの自分を感じながらも、 それ以上に感じる足下の冷えには抗しきれず、走るように体育館を出た。

家に帰ると高橋尚子さんがマラソンを走っていた。つい先ほどの子供達の舞台の続きであるかのように「ガンバレ」 と画面に向かって声援を送った。 走り終えた後の高橋尚子のインタビューとチームQちゃんのスタッフの笑顔と小出監督のガッツポーズが印象的だった。 それは今日の学芸会での子供達と先生方と親たちの関係性を彷彿させた。

 

投稿者 木村貴一 : 2005年11月20日 17:05 « ホームシアター | メイン | 傘がない »


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