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2012年05月27日

住宅風呂巡礼がもつシュールとアフォーダンス

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先週に引き続きとってもエエ気候。そんな日和のなか、「住宅風呂巡礼」の第6回撮影を京都銀閣寺近くの林敬一さん設計、弊社施工による通称KAMEハウスで催して、それは、自分の家のお風呂に、5人の巡礼団員がやってきて、初対面の温泉ソムリエぐっちなる人物が、おもむろに服を脱いで、自分たちだけだったはずのお風呂に、見知らぬ人が入浴し、それをワイワイガヤガヤと撮影するという、撮影現場なるものが、我が家に、唐突に出現し、それが最高に気候の良い5月の平和な日曜日の日常生活に、超日常というか、非日常的光景が、最もプライベートなお風呂という空間に現れる、その可笑しさがあって、それを家族全員が大きな声で笑ってくれる姿が、住宅風呂巡礼隊員にとっての何よりもの喜びであり、もちろん住宅風呂巡礼そのものは、住宅風呂巡礼者にとっての個人的な「遊び」であって、その馬鹿げたお遊びに、大まじめに一緒にお付き合いしてくれて、一緒に笑って頂けるその出来事が、何よりもの感謝なのであって、その撮影の合間に、自分の姿が写らないように、建築空間と家具との間を逃げ隠れしながら、家族間と建築家と住宅風呂巡礼者との間に、まき起こる、その何気ない会話やその立ち位置やその姿勢の中に、「情報」と「コミュニケーション」が存在し、そのコトが住宅風呂巡礼が持つシュールとアフォーダンスなのかもしれない。

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その住宅風呂巡礼の帰り道、温泉ソムリエぐっちの友人で、大阪の港区の海のそばにある、自動車の製作工場にお邪魔する。3人ほどで製作している、そのものづくりの現場が持つ独特の空気感と雰囲気。世の中にはいろいろな人がいるなぁと感心する。自分達だけで手作りしたという工場や事務所やカフェバースペースにも存在感があって、何よりも、小さな港湾と川の見える独特の景色に魅了されて、バーベキューを食べながら、長い時間なごむ「私」。

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「ものづくり」にこだわる人たちがいて、その「ものづくり」を生み出すためのスペースを自分にとって居心地がエエように手作りする人がいて、そんな場所で和んでいると、住宅風呂巡礼のピエロ役の温泉ソムリエぐっちがあっての住宅風呂巡礼だが、いやいや、それ以前に、「ものづくり」にこだわる、建築家や施工者がいての住宅風呂巡礼なのだし、何よりもそういう自分たちにとっての居心地の良いスペースが欲しいという「施主」の存在があってこその住宅風呂巡礼なのだと・・・・・。

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2012年05月20日

ゆらぎ。

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それにしても、とってもエエ気候。心地良い風。内と外の曖昧な、いわゆる縁側や、そうそう、キャンプの時のタープの下や、木々の下で過ごすのが、最高の季節。夕食を家族と一緒に食べて、そういやぁ、子供と奥方と一緒に夕食を食べるのは日曜日ぐらいだな。夜の9時を過ぎて、このブログを書く内容も全く思いつかず、ただただ、この季節独特の心地よさを、デッキに腰掛けて、五感で味わいながら、無為に、すごす。

明日は、金環日食らしい。なのに、夜の風に、雨なムードがあって、少々心配。なんだか騒ぎすぎのような気もするが、それでもやっぱり、この目で見てみたい、体験してみたい、という気持ちがあるのも確か。そんなこんなで、風で草木が揺らぐ姿を見ているうちに、明日の予定が揺らぎながらやってきて、あれやこれやとおもうまに、右から左に思考の中を通過し、そのうち、日曜日の今日の一日が、揺らぐように思い出されてきて、そうそう、月一度の日曜日の住宅相談会があって、3組の家づくりの相談があったのだ。

ひと組目、親の土地と家を譲り受けて、母親と一緒に住もうと夫婦で決心し、いまの家を取り壊して、新築をする予定。それで、家づくりの依頼先をどこにすれば良いのかという心のゆらぎ。あちらこちらのハウスメーカーや工務店を探しているとのことで、土地を相続するための法律的な問題や資金計画など、「家づくり=資金づくり」という現実的な側面があって、そういう部分のフォローも大切な時代だなぁ・・・とあらためて思う。

ここ数年、ビジネスアスリートのゴトウさんというファイナンシャルプランナーの方に資金計画のアドバイスを依頼していて、ローン先の銀行探しも含めて、家づくりに伴う資金計画をアドバイスしてもらっている。7月22日日曜日に「まちのえんがわ」のワークショップとして、「住まいづくりの資金計画と省エネ手法」を予定していて、そこでゴトウさんによるファイナンシャルプランニングのワークショップを予定中。興味のある方は是非。

ふた組目、クリニックの開業を土地探しからお手伝いしていて、若いドクターのカップル。町に開かれた待合。コミュニケーションをうむ待合。なんていう提案と開業するにあたっての心のゆらぎがあって、それは、木村工務店が、「会社として、まちに開かれた縁側という機能」を持ってみたら、どうなるのぉ?という会社としてのゆらぎと同じで、「まちのえんがわ」と共通する部分。情報と商品がやりとりされるインターネット空間とはまた違う、リアルな人と人が出会い、コミュニケーションすることからうまれる、感情に属する何か、ハートとか愛情に属する何か、そういう何かからうまれる治療とか健康とか創造性とか、そんなsomething elseが求められているのかもしれない・・・・と、「私」の心の中も微妙にゆらぐ。

み組目、リフォーム工事をさせて頂いた方のご紹介で、家族四人で、初めてお見えになって、両親の家を譲り受け、そこをリフォームし、今お住まいのマンションから移り住みたいというご相談。古い雰囲気も残してながらリフォームしたいけれど、本気で、長くそこに、住み続けたいので、耐震のコトも気になるし・・・というご相談。そんなリフォーム工事をするためには、どれぐらいの予算がかかるのぉ?これからどんなコトを考えていかなければならないのぉ?という心のゆらぎで、ひと組目の方と同じように、「家の計画=資金の計画」という現実的な問題に対するアドバイスや、土地と家を相続するための法律的な問題などなど、資金計画や耐震や断熱という、家づくりの根底に流れるベーシックなリズムのようなものをきっちりと刻み続けながら、デザイン性やディテールや収納など、住まい手のライフスタイルが反映した心地良い家を造りたいものだなぁ・・・とおもう。

心地良くゆらぐ風があるように、家づくりにも「心のゆらぎ」というものがあって、心地良い心のゆらぎが、心地良い家を造るのかもしれない・・・・とおもえた、金環日食前夜。

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2012年05月13日

原初的エネルギー

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本日は、「まちのえんがわ」で、ステンドグラス作家の田中共子さんによる、ステンドグラス製作と硝子工事のワークショップがあって、参加者には小さな娘さんとお母さん、小さな息子さんとお父さん、大学生の娘さんとお母さん、同級生の男女のカップル、夫婦、同僚、などなど・・・。2月から本格的に、毎月一度催しているが、皆と一緒に、真剣と笑顔、集中とリラックスで、「ものづくりの共有体験をする」というのは、あらためて楽しいコトだな・・・と思う。前回もそうだったか、こちらが、皆さんから、ものづくりの原初的エネルギーをもらったような感じ。

DSC01926ちなみに今回は、うちの協力業者の三木板硝子さんに協力してもらって、Low-E硝子の性能の違いや、フィルム硝子の張り方などを実演してもらいながら、ほんのちょっとした硝子のレクチャーをおこなった。

そうそう、その前日の土曜日のこと・・・・

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リフォーム工事をさせて頂いたKさんからお父さんがお亡くなりになったという訃報が届く。確かに、リフォームの設計打ち合わせをしている時から、父が癌で、その親孝行のためにリフォーム工事をするのだという話だった。もちろん、その時に、何となく、最悪の事態を考える一瞬はあったのだが、実感として、ピンとこない訳で、それ故に、そんな事は起こらないのだと想像して、ほとんど忘れていた。

お引き渡しの時のお父さんの「笑顔」もはっきりと記憶に残っているのだけれど、設計担当のカワモトくんや現場監督のツジモトくんがメンテ等でお伺いした時は、元気そうでしたよ。という報告と共に時が流れていた・・・・。

そして突然の訃報。葬儀に参列すると、娘さんお二人から、涙と笑みが同居した表情で、感謝の意を頂戴する。「私」のこころの中には、悲しさと嬉しさが同居した妙な心境が唐突に沸き起こって、思わず、ぐっとくる。リフォームをした事を凄く喜んでくれたお父さんは、亡くなる二日前も家で過ごしたのだと。左がお礼状の中の一文。

甲斐性がある娘さんお二人だなぁ・・・と、こんな状況がほんとうにやって来て、あらためてそうおもう。こちらこそ哀悼と感謝の気持ちであると共に、ワークショップとは全く違う形で、「ものづくりの原初的エネルギー」を頂戴した感じ。

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2012年05月06日

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ゴールデンウィークがやってくると、「旅」の衝動にかられて、それは、「組織」で働き、動いているので、組織の「責任」と「成果」から解放されて、それを一時的に放棄して、ただただ漂いたい。という衝動で、「そうなんとちゃう!」と指摘してくれたのはコトバノイエのカトウさんで、「ゴールデンウィークのエンディングを楽しむ宴会」でのひとこま。

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そんな宴会を催すのは、今回が初めてで、今までは、ゴールデンウィークの最終日を明日からの仕事に向けて静かに過ごすことで、いわゆる遊びと仕事モードを切り替えていたのだろうし、「私」もひとりで、「内」や「外」やでゆったりと過ごしながら、本を読んだり、音楽を聴いたり、ブログを書いたりしながら、心を整えて、「責任と成果という仕事モード」に切り替えていたとおもう。そんなゴールデンウィークの最終日を皆でシェアしたらどうなるのだろうか。というのが本日の、「ゴールデンウィークのエンディングを楽しむ宴会」で、最終日ゆえに襲ってくる「ウツ」を皆で払拭し、ゴールデンウィーク中の思い出を「分かち合おう」と・・・・・。

そんな訳で、「私」のゴールデンウィーク。

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GWの前半は神奈川県の丹沢にある堀山の家で宿泊し、25年来通っているが、こんな大勢の登山者を見たのは初めてで、山ガールと共に老若男女が溢れて、とっても賑やかで活気のある山だった・・・・。

DSC00889DSC009135月3日午後3時すぎに大阪を出て、午後11時頃、博多の屋台で遅い夕食の木村家。

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5月4日朝、天草の入り口にあたる三角西港に偶然立ち寄って休憩する。明治三大築港のひとつらしい。こんな場所に。と驚く。港の敷石がエエ感じだったなぁ・・・・。

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天草への道中に、かかしを集めた草地に遭遇し、立ち寄る。地方は地方なりに考えて楽しんでいる姿があって、それはそれで、素朴に楽しい・・・。

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天草、牛深のレンゾピアノ設計によるハイヤ大橋と内藤廣の物産館を見る。こんな橋が、ここに、本当に必要だったかどうかは疑問だが、観光という「人を惹きつける魅力」になっているのは確か・・・・・・。途中の円形の分岐は後から造られたらしい。観光資源としての橋なら、あれがない方が、もっと美しかったにちがいない。

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崎津天主堂を見る。エエ漁師町だな・・・・。五島列島で鉄川与助の教会建築を見て以来の久しぶりの再会。近くの大江天主堂より崎津天主堂の方が断然エエ。とおもう。

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「まちのえんがわ」で企画している住宅風呂巡礼の温泉ソムリエぐっちに対抗して、温泉ソムリエたかいち。源泉掛け流しとご馳走と夕日の天草、五足のくつ泊だった・・・・。

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旅館で珈琲を飲んで、独特のエエ空気感のある天草の海岸沿いをドライブし、陶器市をみたり、富岡城をみたり、宴会のための海産物を買い込んだりし、深夜まで渋滞する高速道路をひた走りに走って大阪へ到着した5月5日の子供の日。

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そして、5月6日。天草の海産物や近江牛やオードブルやワインなどなど、それぞれが持ち寄った食材で、それぞれのゴールデンウィークをシェアしたGW最終日だった・・。

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