2006年10月08日

てったいさん

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 先日のブログで、狭小間口での地鎮祭のことを書いたのだけれど、 今度は、一体全体どこに地鎮祭のテントを設置すれば良いのかぁ・・・・・・と、思い悩むような小高い山のような場所で、地鎮祭があった。 もう3軒ほど施工をさせていただいている、石井良平建築研究所による目神山での住宅だ。  
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2間×4間のテントが設置出来る場所を何とか「開拓」して、ぎりぎりテントが設置された。地鎮祭の後、テントを取り払うと、 ちょっとしたキャンプ場のようだった。テントを張って食事でもすれば、気持ちええだろうなぁ・・・・。夜景も綺麗だろうなぁ・・・・。と、 設計図を眺めると、気持ちの良さそうなデッキテラスが設計されている・・・・。完成が楽しみだなぁ・・・・。

という楽しい気持ちと共に、こんな場所で、無事に施工できるのか・・・・と、喜びと、工事の心配事が心に去来し、 施工者にとっての地鎮祭の日というものは、その心配事を二礼二拍手一礼のパンパンという柏手の音と共に、 ポジティブなエネルギーに変換する日でもある。・・・・と思う。
目神山土地
RIMG0031RIMG0029それはそうと、設営されたテントの所まで行 くのに、登山道のように山道が作られた。 えーらそうに、設営場所や山道を造った。と書いているものの、実際の作業をしたのは、とーぜんながら、私でも、現場監督でもなく、 うちの「松ちゃん」と「淺やん」と「スーパーT」さんだ。通称、そう呼ばれていて、もう一人「よっしやん」もいる。「うちの」 と書いたが、当社の社員じゃぁないけれど、長年、「手伝い職」として、うちにずーっと、来てくれている。 地方の工務店ではどのように呼ぶのかしらないけれど、私たちは古くから、「てったいさん」と呼んでいる。施主の事を「おせっさん」 と呼ぶようなニュアンスに近い。敬意と親しみを込めているのだなぁ。「てったいさん」の場合は「おせっさん」に比べて、 ちょっとした敬意と親しみという「ちょっとした」がつくのかもしれない・・・・・・。そんな訳で、けっこう苦労しながら、そして、 なかなか芸術的?な地鎮祭の設営地を作ってくれた。基礎工事で壊されるのがもったいないぐらいだなぁ・・・・・ (^_^)

その「てったいさん」とはどんな職人さんなのかといえば、所謂、何でもする職人さんだ。ちょっとした解体工事、ちょっとした土工事、 ちょっとした型枠、ちょっとした鉄筋の組み立て、コンクリート打設、ちょっとした足場、ちょっとした溶接、ちょっとした左官工事、 ちょっとした外構工事、片付け・・・・・・その他何でも・・・・。「ちょっとした」がミソなのかもしれない。 専門職の職人に依頼するのには数量が少ない仕事を、多機能工として、現場を助けてくれている。あっ、そうそう、 それと人柄も大切かもしれないなぁ・・・・。現場を和やかな雰囲気にする役目もあると思う。

木と左官仕事で出来上がる家であれば、設備機器と設備工事(電気ガス水道)以外、「うちの」大工さんと手伝いさんだけで、 まるまる一軒の家は出来てしまう。そんな訳で、リフォーム工事の場合などは、解体からちょっとした基礎、その他もろもろ、ほとんど、 「仲間内」で工事が出来てしまうのだ。

そう言えば、もう4年ほども前になるが、ビフォーアフターに出演した時は、収録日の関係があって、1回目の時は1ヶ月の工事を2週間、 2回目の出演の時は2ヶ月の工事を3週間で作り上げた。「おせっさん」に協力して頂き(その時はご協力、有り難うございました)、 施工中の全ての現場を中断させていただいて、木村工務店の大工と手伝いのオールスターを投入した総力戦だった。まぁ、 今から振り返ってみても、よーやったほうだなぁ・・・と。もう、かなりの時間が経過したので、その時の思い出話でも書いてみようかなぁ・・・ ・・。
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その、テッタイ の松ちゃんに頼んで、古い木造3階建ての文化住宅の持ち出しの通路に、バスケットゴールを取り付けてもらった。 頼まれれば何でもこなすテッタイの松ちゃんは、バスケットゴールだって、取り付けてくれるのだぁ・・・・(*^_^*)。

この木造3階建ては古い。私が産まれる前から存在している。建築基準法で木造3階建てが認められる、ずーーっと以前の建築だ。 いつの頃か、消防法的にも建築基準法上も木造の3階が認められなくなり、それ以降、3階は閉ざされたままになっている・・・・。 阪神大震災の時も無事だった。震度4ぐらいなら、普通にきっちりと作っていれば、ちょっとした損傷はいくものの、どーってことないようだ。 でも、震度5や6となると、ダメだろうなぁ・・・・。

傷みが著しい、この3階建て文化住宅を取り壊すことになった。それなりに、気に入って住んでくれていた、 おっちゃんやおばちゃんが数ヶ月前に出ていた。この建物は、私の祖父が木造2階建て文化住宅が建ちはじめた時代に、 木造3階建てに挑戦して造ったようだ・・・・・。文化住宅や長屋等、お上の力に頼らない、民間の工夫と活力によって、 さまざまなナニワの文化が築きあげられてきたのだろう・・・・。ナニワからそういう活力と工夫が失われていく・・・・。 それを新たに担うのが、私たちの世代でもあるのだが・・・・・。

取り壊すまでの数週間、この3階建て文化住宅は、バスケットゴールの「巨大な支柱と観覧席」としての最後の役目を果たすことになった。 子供達の最大の楽しみは、ベランダに上がって、リングに向かって、スーパーダンクシュートが打てる事だ。テッタイの松ちゃんが、 そこまで考えていたかどうかは定かでない・・・・・・。
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投稿者 木村貴一 : 2006年10月08日 13:02 « ヤングダイクス | メイン | バカ棒 »


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