2004年08月09日

転ばぬ先の杖

先週の金曜日の朝、会社のサーバーのハードディスクがクラッシュするという事故に遭った。ついていない時とは、 こういうことを言うのだろうか?それともやはり心がけというのが悪かったのだろうか。そうだなぁ。詰まるところ、所謂、 危機管理体制がまずかったのだ。

前日の夜、 パソコンのシステムを構築してもらっている会社と新しいバックアップ体制を整えたシステムにやり替えるという事に決めたばかりだったというのに・ ・・・・。その次の日の朝の事故であった。

もともとは、バックアップ用に稼働していたパソコンが動かなくなった。それが昨年の11月のことだ。 これを機会に新たなやり方でバックアップが出来るシステムを構築することで、話し合っていた。そんなに、切迫感をもっていなかったので、 その打ち合わせのペースがゆっくりしていたのだ。今から思えばそれがいけなかった。結局、決定したのが先週の木曜日だったと言うわけだ・・・ ・・・。

保険が切れて、更新するのを忘れ、その間に地震が来て建物が半壊した。そんな状態だった。 最近の1年間ほどのデータが復旧されないままの状態に陥ってしまった。

この1年間、新たにお会いした方々のデーターを消失してしまった。勿論、紙に保存されたデーターもあるので、 全てをなくした訳ではないのだが、ひょっとしてご迷惑をお掛けすることになるのかもしれない・・・。これを読まれた方々で、 11月以降に出会って、私のメールアドレスをご存じの方は、近況のメールでも送ってやって下さい。スミマセンオネガイシマス。



振り返ってみれば、コンピューターの構築にも結構、苦労してきた。パソコンというものが登場して、会社で使い出すようになってからも、 すぐにLANを構築した。当時はリコーのスターランと言うシステムで構築してもらった。「共有」するという事、「繋がる」という事、 そう言う考え方が好きだった。ファイルを皆で共有した。

そのうちインターネットというものが登場しだして、「共有」というものが社内という小さな単位ではなく、世界的な規模で、 グローバルな単位で「繋がる」という事が出来ると知って、ワクワクとした気持ちになった。メールとホームページは画期的だと思った。 暫くして、 kimuko.net と kimuko.co.jp というアドレスを取得してホームページを立ち上げた。

また、スケジュールを共有するという事にも興味があった。いろいろなことを試しているうちにサイボウズというグループウエアーに出会った。 レンタルサーバーを借りて、そこにホームページとサイボウズを置いた。パソコンを持った社員だけでスケジュールを共有することにした。 それでもまだ、社員全員が1人1台のパソコンを持てるような状況ではなかった。

暫くして、ウインドウズでもマックでもなく、リナックッスというシステムがあることを知った。10万円ほどでパソコンを組み立て、 本の付属についていたリナックスをインストールして、インターネットサーバーを立ち上げた。 リナックスという軽くてオープンなシステムはその考え方も魅力的だった。OCNの専用回線を引き込んで自社の中で、 サイボウズというグループウエアーを共有するようになった。現場の担当者もパソコンを使えるようにと、チープなパソコンを捜して、 一人一台の体制にした。皆でファイルとスケジュール・電話帳・現場報告を共有するようにした。

それまでは、大工や手伝いさんの手配は、手配する担当者が担っていた。感情的な問題も絡んで、結構、大変だったのだが、 サイボウズというグループウエアーがその役目を担うようになり、スムーズに動き出した。 お互いのスケジュールを合わせることがやりやすくなった。現場からの報告も、皆で見て、意見し合うようになった。

そうやって、一年間ほどが事もなく過ぎて行ったある日の朝、出勤してみるとサーバーが動かなくなっていた。血の気がさっとひいた。 ハッカーにやられたのだった。勿論、ハッカーという存在を聞いてはいたのだが、それは大きなシステムに侵入する人たちのことだと思っていた。 もう、会社のサーバーは私の手に負えるような状態ではなかった。

システムエンジニアのプロに依頼して新たなシステムを構築することになった。そして、そのシステムは3年間ほど、快適に動いた。しかし、 それが、先週の金曜日の朝の出来事へと・・・・・・・。


金曜日の当日はデーターを失ってしまったという、猛烈な喪失感が私を襲った。寝床についても、うなされて夜中に目が覚めた。 うなされることによって何だかわからない感情と思考を吐き出した。

土曜日の朝、建築は「現場」だ・・・・。 デジタルなコミュニケーションよりフェースtoフェースのコミュニケーションの方がもっと大切な事なのだ・・・・・。データよりも「人」 の方がもっともっと大切なのだ・・・・。と、自分や社員に言い聞かせて、気を取り直すことにした。そういった「現場」 での物事をスムーズにするように助け、その過程を魅力的なものにまで高めてくれるツールがデジタルなコミュニュケーションなのだ・・・・。 と。

それにしても、バックアップとかメンテナンスという行動。
「転ばぬ先の杖」「善は急げ」「後悔先に立たず」なんていう諺。
それらの事がじわ~っと身に染みてきた。
きっと家に関しても同じ事が言えるのだ・・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2004年08月09日 18:08 « お盆休み | メイン | 朝の地下鉄 »


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