2012年11月18日

トラブルと工夫

小さなトラブルというのは、よくある「出来事」で、人生というステージにおいては、何ごともなくスムーズに物事が運ぶコトの方が、最大の「出来事」なのだ。とおもえるようになったのは、40歳を過ぎてからのことだとおもう。

DSC00221本日はピザ料理ワークショップを催して、当初は、皆でつくるダッジオーブン料理というテーマで、大阪ガスのガスコンロに小さなダッジオーブンが付いているガスコンロがあって、かれこれ半年前から10台借りることで、大阪ガスの担当のオチアイくんが手配してくれていた。それで、1週間ほど前に1台だけ前もって段取りし、試作を繰り返した。そのコンロを使って、手作りピザを作ろうというのが、今回のワークショップのテーマだった。

講師は木村工務店から南に向かって100mほどのところにある、あそび菜食堂のマスターのイワオさん。イワオさんは「まちのえんがわ」ワークショップ皆勤賞で、もともと芸大出身で、ものづくりと文学が大好きで、脱サラして、自ら手作りで内装をし、夫婦で居酒屋を開いたひとで、そのお店の手作りピザは店の評判メニューでもある。

トラブルが発生したのです。と大阪ガスのオチアイくんから悲壮な声で携帯に電話がかかってきたのが、二日前の金曜日の出来事。話をよくよく聞くと、ダッジオーブン付きガスコンロは、その前日の木曜日に15台ほど建て売り住宅のイベントとして貸し出されていて、それが、その日の夜にイベント会場で、イタズラの被害にあって、それは、機器を潰されたり汚されたりした、ひどい状況なのだという。つまるところ、前もって届けた1台以外、全く、レンタル出来ない状況なのです・・・・と、もはや泣きそうな声。

さりとて、二日後に22組もの申し込み者と50名ほどの参加者がピザ作りを楽しみにしてくれていて、こんな心ないひとのために、中止になるなんていうのもかなり不愉快な話で、なんとか開催できる道はないものかと、イワオさんとオチアイさんと「私」の3人が顔を合わせて協議する事にしたのが、金曜日の午後3時頃の切羽詰まった状況。

DSC00655そういえば、当初、木村家本舗の開催日に併せて、手作りのピザ釜を設置する計画があって、それが、かなりバタバタ状態だったので、延期し、このワークショップに併せて設置したのが、2週間ほど前の事だった。

ちなみに、ピザ釜の設計は工事部長のトミマスくんと耐火煉瓦を手配し、納入してくれた米田建材の息子さんが。煙突は板金ワークショップを担当してくれた松倉商店の息子さんが施工をしてくれて、オーブンの鉄扉は横井金物のヨコイのケンちゃんが。それに耐火煉瓦に土塗りをしてくれたのは、左官ワークショップを担当してくれた山本左官の職人さんだった。薪は本来的には広葉樹なのだろうが、構造材として端材になった杉を使うことにし、それは材木屋さんの岡房商店から納入された余り。

作ったこともないような「もの」をあーだこーだと考えて、そういう「ものづくり」のために、仲間の職人さんが、材料と技術とアイデアを一緒になって悩んで施工してくれるところに、「工務店」というものづくりの「チーム」としての面白さが宿っているのだとおもう・・・。

それで、ピザ釜の試運転と試食を2、3度していたのが幸いし、いざとなれば、この手作りピザ釜で焼けば、なんとかなるのでは・・・というのが、このトラブルを前向きに捉えて、改善と工夫をしようと努力する精神的バックボーンになっていたのだろう。

そんなこんなで、イワオさんが、カセットコンロで焼けるピザを夜を徹して工夫してくれて、それがそれなりに美味しいピザなのだと試食もし、それに石窯でもそれぞれが作ったピザを焼くという、二つの焼き加減のピザを作ることで、中止を回避することにした。大阪ガスのオチアイさんにはカセットコンロを10台手配してもらう。

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無事が最大の出来事なのだと、幾度も遭遇するトラブルの経験が、そう教えてくれるのだけれど、今回のようにトラブルのお陰で、調理の工夫がうまれ、会場のレイアウトだって、デッキの廃材を利用したベンチを意地のようになって大工に頼んで製作したのは、トラブルを忘れてもらえるぐらいの、エエ会場の雰囲気にしようとする力が、トラブルに対する反力として湧いてきたお陰なのだろう。ものづくりというのは、小さなトラブルや失敗からアイデアや工夫がうまれるものだなぁ・・・と、あらためてそんな体験をもたらしてくれた料理ワークショップだった。

参加して頂いた皆さん、ありがとうございました。
なによりも講師のイワオさん many thanks

投稿者 木村貴一 : 2012年11月18日 23:59 « 「意味」の「変化」 | メイン | 家族写真 »


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