2010年07月18日

梅雨が明けた土曜日

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ようやく夏がやってきた。そんな感覚。梅雨明け宣言が発表された土曜日に、地鎮祭があって、神主さんによるお祓いも終わり、四周の竹を撤去し、テントをたたもうとしているその時に、改めて、周辺を眺める。

東にRC造の高層マンション。南に、西側に建つ、いわゆる洋風の木造2階建て住宅の専用通路があり、DSC08110(1)その通路の向こう側に趣のある戦前とおぼしき古い木造2階建て住宅が建っている。北側には鉄骨3階建ての共同住宅のテラスが面していて、それから西に向かって、鉄骨の5、6階建ての共同住宅やビルが建ち並ぶ。もともとこの土地には、材木屋さんがあったという。

漠然とではあるが、大きな経済の流れと建築の関係性とそれによって変化する都市の環境を思い描いてみる。こういう環境の中で、木造2階建て住宅を建てる、その地鎮祭だった。周辺の視線を気にせずに過ごしたい。明るい光が入る家。風が通り抜ける家であって欲しい。そんな事を含めて、皆で、良い家が建ちますように・・・・・と、二礼二拍手一礼で、願った。

DSC08143地鎮祭のあと、雑誌の取材があって、神戸本山で、昨年、新築してお引き渡しをしたお宅にお伺いする。Tさんは、8年ほど前に、芦屋の急な坂道の山手で、RC造の中古住宅を購入し、リフォーム工事をさせて頂いた。中古住宅を購入してリフォームする、うちでの初めてのお客さんでもあった。

DSC08154それから、お子さんも生まれ、家族との関係性が変化する。急な坂道の上り下り、子供の通学。奥さんの通勤や買い物。それにかかるタクシー代金やその他を考慮して、本山の駅近くに土地を見つけて、住み替えを決意する。ついでに車も手放す・・・・。

幸い、リフォーム工事をしたその住宅は、しばらくして、その素材感や雰囲気を気にいってもらえた購入者に恵まれた。そんなわけで、次の新築工事も木村工務店で、一緒にさせて頂ける事になった事は、何よりも嬉しい事であり、有り難い事であって、打ち合わせを何度も繰り返しながら、一緒に家づくりを楽しむ・・・。

DSC08157(1)DSC08121DSC08123DSC08160DSC08124 DSC08149  DSC08163 DSC08130 写真撮影の合間に、ダイニングのデーブルに腰掛けたり、リビングでゴロゴロくつろいだり、パソコンコーナーに腰掛けたりしながら、六甲山から吹き抜けてくる風が、ああちらこちらの窓から、家の中を通り抜けていく、心地良さを、設計を担当したタナカくんと現場監督のフルカワくんと雑談を交えながら、風の持つ不思議な力を味わう。家の中を通り抜ける風って、なぜ、心地良いと感じるのかね・・・・・・。いまという時代にとっては、「風」が、ひとつの「贅沢」かもしれない・・・・。

152b35b9-f76e-48ad-939a-12c17a239227この週の中頃に「既存住宅の省エネルギー改修講習会」というのがあって、参加すると、設計のミサワフミコさんやマイタニさんや環境のノイケさんら馴染みの方々と出会う。休憩の合間に雑談を交わしながら、講習をうける。

新築だけでなく、リフォームにおいても、断熱や遮熱を工夫する事が求められる時代であって、間接的にはCO2削減に協力する、政策的な事であるものの、何よりも、断熱や遮熱の技術的な工夫によって、人それぞれによって違う千差万別な心地良さに、コストも含めて、応える事ができるかどうかが、大切な事だなぁ・・・・と、あらためておもう。

夕刻。中古住宅を購入された方の、リフォーム工事の打ち合わせがあった。どんな仕上がりや設備機器や空間になっていくのかが、当然ながら、もっとも大切な事だけれど、それ以上に、今ある、床の下地はどうするのか、利用するのかしないのか、壁の下地のボードは再利用するのかしないのか、などなど、「下地」という隠れている部分をどう取り扱うかによって、耐震補強の問題や断熱の考え方も変わってくる。壁の仕上げの素材にしても、クロスを貼り替えるので良いのか、珪藻土やペンキ塗りなどは、既存の下地や仕上げの上からは、仕上がりも良くない。

そんな隠れていく部分の「下地」といわれる部分にコストもかかるわけで、特に中古住宅になると、今まで慣れ親しんだ家と違って、普段の生活から体感する部分が欠落しているので、なかなか判断がムツカシイ。そんな目に見えない下地や光や風などの事柄も含めて、コストを重視しながらも、バランスよく判断するには、住まい手と設計者と施工者が、お互いに信頼し合って誠実な態度で、ものづくりをしていく事が不可欠だなぁ・・・と、実感する日々。そうそう、もちろん、その間に入って、お互いの関係性を取り纏める、エエ現場監督なくしては、エエリフォーム工事は出来ない時代でもある・・・・・。

このブログを書くいま、日差しに「夏」をはっきりと実感する。風鈴の音が心地良く感じる季節。朝方、セミの鳴き声も聞いた。梅雨が明けたとたんに、すぐに、「涼」を求めたくなるのだね・・・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2010年07月18日 12:45 « 遮熱と風 | メイン | 選挙のある一日 »


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