2004年12月01日
トッピング
コンサートのチケットを2枚もらった。その経緯はいろいろあるのだが、兎に角、もらった。それで、これまたいろいろな経緯の末、
高校3年生の長男とそのコンサートに行くことになった。 二人でコンサート会場に入った途端、
場違いなコンサートにきてしまったのかなぁ・・・・・とちょっと後悔した。すかさず息子が、会場中におじんおばんの臭いが漂っているでぇと、
何とも失礼なことを宣った。そんな言葉遣いを教えたつもりはないのだが、確かになぁ・・・
とこちらも思わず頷いて深呼吸をしてしまいそうになった自分を取り繕い窘めながら、自分たちの席を探しあてた。
シートに腰をかけて周りを見渡すとほとんどの人たちが50才以上のようだった。この中では私もかなり、若い方だった。
ましてや10代の若者ははほとんど見あたらない。男女の比率は女性の方がやや多いのだろうか、
よくよく見るとほとんどが60才以上のようにも思えてきた。軽い出で立ちでやってきた私達に較べて、皆がそれなりにお洒落だった。
何となくより深くシートに沈み込んだ。
コンサートが始まった。幕が開いていきなり演奏が始まった。JAZZピアノを中心として、
ビックバンドを背景にドラムとベースの組み合わせが3組ほど、それに管楽器やバイブやバイオリン・ギター等々が一斉に演奏した。
その迫力に何だかゾクッとした。暫くして多くの演奏者が舞台袖に引き上げ、ビックバンドを中心とした演奏になった。
流石に息子の趣味には会わなかったのだろう、コクリコクリと眠りだした。妙に親の責任なんてものも感じ、周りの人たちにも悪い気がして、
膝で息子の膝を突いてゆり起こした。それを数回は繰り返した。
ジャズピアノの演奏者を中心としたコンサートだった。年齢は70才近い。ピアニストを中心に歌手・サックス・ベース・ギター・バイオリン・
ドラム等々の人たちが入れ替わり立ち替わり出てきてセッションを繰り広げる。年齢も20代から80代までと幅広い。
その70代や80代のミュージシャンがしゃかりきに演奏するその姿が実に美しくて良かった。横に座る息子の目も輝きだした。
10代の若者にしてもその音楽やスタイルが好きとか嫌いとかはあまり問題ではなかったようだった。演奏を通じて伝わる「生きる」
というその姿勢にリアリティーと美しさがあったのだろう。
帰りがけ、二人でお好み焼きを食べた。鉄板を間に挟んでお好み焼きにソースを刷毛でぼたぼたと垂らしながら「人生」
というものをちょっとだけトッピングにして会話をした。
投稿者 木村貴一 : 2004年12月01日 19:02 « 光 | メイン | 衣替え »