2004年11月14日
境界
長屋をリフォームするにあたって、隣地との境界の件で相談を受けた。柱が共有されているので、柱の中心が境界になってしまう、
隣が解体した後などは、お互いが建て替えるのに境界から何センチ引っ込め合うのか・・・というような事など感情的な問題も含めて、
様々な問題が発生する。そんな相談を終えて、その後の打ち合わせ予定になっていた大和郡山へ向かった。
密集した家々が立ち並ぶ長屋街とはうってかわって、盆地に囲まれた田園風景が広がる、の~んびりとした場所だった。
予定の時刻まで随分と時間があった。四方を田んぼに囲まれた道路に車を止めた。、その向こうには山々が囲んでいた。
音楽を聴きながら時刻を待つことにした。ひとりの人が田んぼを宅地にするべく境界にコンクリートの擁壁を構築する作業をもくもくとしていた。
そこには長屋とはまた違った「境界」があった。田園の向こうに見える山々をぐるーりと眺める動作を何度も何度も、ゆっくりと繰り返した。
ゆったりとした時が過ぎていった。IPODのハードディスクに収められた音楽がランダムに選曲されて流れていく。
いままで持っていたCDのいろいろなジャンルの曲が思ってもみなかった組み合わせで再生される。
そのランダムネットワークがいままで聞き慣れた曲に新鮮さと思わぬ印象を与えてくれた。
ふと、四方の山々の名前が気になった。車は南を向いて止まっていた。カーナビゲーションをバードアイビューにして山々の名前を調べた。
南は明日香村を経て八剣山や山上ヶ岳という吉野の山々だった。東に振ると大台ヶ原にある日出ヶ岳から国見山・高見山と続いた。そういえば、
長い間、大台ヶ原も行っていないなぁ・・・国見山から大台に至る台高の山と谷にもあこがれがあるのだなぁ・・・・。いつか行ってみたい・・・
なんて思い描きながらナビゲーションの表示をどんどと拡大していった。すると日本列島の形が見えてきた。
尾鷲の海を経て太平洋が広がっていた。こんどはどんどん西に振った。確か、あそこに見えるのは金剛山や葛城山・二上山、
しかしナビの表示は四国・九州を飛び越え、五島列島や沖縄の島々を表示していた。しかし、もっと向こうに広がる外国の表示はなかった・・・・
。
大和盆地を中心にしてカーナビゲーションで日本を眺めてみることにした。西から北にナビゲーションを振った。対馬・
隠岐が表示され鳥取や舞鶴の向こうに日本海が広がっていた。先日から報道で、
繰り返し繰り返し境界に進入してきた潜水艦の話がなされていたので、思わず、
日本海に深く潜行する潜水艦とそれを追う飛行機の姿を想像してしまった。日本海の「境界」はどこにあるのだろうか・・・・・・。
北から西に振った。東北・北海道を越えて国後・択捉の島々が表示されていた。あ~ぁ、ここも「境界」でもめていたのだなぁ・・・。世界中で、
境界や宗教ををめぐって緊張が漂っているように思えた。
帰りの車でトンネルに入った。バードアイビューの画面が夜間モードになり夜空に見える星座を表示していた。獅子座・・・双子座・・・
この道は、長屋の境界を越え、大和盆地の境界を越え、日本海の境界を越え、宗教の境界を越え、地球の境界を越え、
宇宙が広がっているのだなぁ・・・。宇宙を思い描いてみると、こころの境界も越えていきそうに思えた。
投稿者 木村貴一 : 2004年11月14日 22:46 « 衣替え | メイン | 小さなスペースの魔力 »