2008年10月12日
MOTTAINAIを考えてみる秋
奈良・大和郡山へ、土地と家を見に行く機会があった。家のまわりに、稲穂が黄金色になってゆさゆさと揺れていた。秋だなぁ・・・・・。
和泉の現場に行くと、その庭に、栗の木があって、 イガイガとした栗が土の上に落ちていた。
小さい頃、栗拾いに連れて行ってもらった記憶が蘇った。 あの不思議なトゲトゲのボールを手で拾い上げる時に、
イタイイタイと言いながらつまみ上げる、その感覚。背後には、町内を練り歩く、 「だんじり」の音と掛け声と歓声が響いていた。
秋だなぁ・・・・。
施工中の清見原神社に立ち寄る。久しぶりに天気が良く、秋のうららかな日差しが、楠木を照らし、境内に、 何だか平和な光と影をつくっていた。
その境内で、宮司さんをはじめ数人が集まって、何やら穏やかなケンケンガクガク。板に描かれた絵を集めて、ジグソーパズルのように、 絵を合わせていた。これはこっち、いやこっち、あれこっち。
既存の拝殿の瓦屋根 を銅板屋根に改修するために、瓦をめくっていると、その野地板に絵が書いてある・・・・・と、驚いて、 現場監督のM田くんが、写真付きで報告してくれた。その絵付きの野地板を一枚ずつはがし、集めてられて、境内へ。
私も、参加して、絵をあわせてみる。
きっとこれは、忠臣蔵が描かれてあるのやぁ!。この兜は誰のぉ?豊臣とチャウ!徳川やでぇ!。刀で切られてるわ!。 文化財で鑑定してもらって、神社の宝になるんとチャウ!。いやいや、大した絵とチャウから野地板に使われたんとチャウか!。 それでもひょっとして、売れたら神社造営のたしになるのとチャウ!・・・・とチャウ!・・・・・とチャウ!、・・・・・・・と、 なんとも平和で、たわいのないチャウチャウ論争をしながら絵合わせをしていると、お昼になり、三々五々それぞれ、昼食へと向かう。
きっと、冬の身の引き締まる寒々しい境内でもなく、話が聞き取れないほどの大きな音を響かす油蝉が鳴く、 あのうだるような暑さの夏の境内でもなく、穏やかで、心地良い気候の秋のその日の境内をして、皆をそのようにさせたのだろうなぁ・・・・・。
MOTTAINAI。モッタイナイ。もったいない。
描かれた野地板が神社の拝殿の屋根に使われていた、その写真を見て、そんな言葉が脳裏をよぎる。 その絵の描かれた板を野地板として使おうと、誰が言い出したのだろうか?当時の大工さん?当時の宮司さん?誰?
そういえば、先日、関西の大学が集まって、解体される公団住宅の一室を借り受け、
大学単位で、学生、自らが、設計し、施工する、リフォームのイベントがあった。ちょっとした縁で、
K大学の学生の作業をほんの少し、アドバイスする事になった。
黒い床に敷き詰められたビー玉。その黒い床はモルタルではなく、段ボールの床なのだと。 段ボールを黒く塗り、一個づつ穴を空けて、ビー玉はめ込んでいったそうな・・・・・。それは、この後、すぐに解体した時に、 元通りの状態に戻せるようにするためで、モリタルの床では、機械で床を「はつる」必要があって、段ボールならすぐに元どおり・・・・。
建具なども手作りしていたり、既存のものを利用したり。プロの技術は使えないけれど、自分たちが出来る、 簡単なやり方で工夫した施工が、あちらこちらにいっぱい。ヘタウマの温かみのある心地良さ。
30年ほど前の私の学生の頃は、「リフォーム」という考え方そのものが、授業の対象や、ましてや、 学生の興味の対象になる事はなかった。それが、「いま」、学生が積極的に、リフォームとかリノベーションとかいわれる考え方に興味を抱き、 そして、それを楽しむ時代のようだ・・・・。「MOTTAINAI」精神と同じ何かがありそうだな。
そうそう、この夏、N女子大学の学生からメールがあって、中古住宅を買って、リフォームする人の意識調査をして、 卒業論文にしたいので、うちで施工したT邸を紹介して欲しいと・ ・・・・。学生が、そういう事に興味を持つことに興味を持った。「いま」という時代を学生はどのように捉えているのだろうか・・・・。
Tさんの快い承諾もあって、ご紹介をする。そして、続けて、その他のうちで施工をした「中古住宅を購入してリフォーム」も。只今、 その調査が進行中なのだと。さて、それは、どんな調査結果となるのだろう・・・・・・。
つい最近、そのT邸に訪問する機会があった。腰ほどの高さだったミモザの木が、 リフォームしてから5年ほどの歳月で、2階の高さまで、成長していたのには、正直、驚いた。打ち合わせの時は、まだ、 奥さんのお腹の中にいた子供さんも、大きく成長していた。
輪廻転生。MOTTAINAI。もの思う秋なのだ。
(その2)
中古住宅を購入してリフォームをした「Tさんのお宅」を売却する予定だそうです。興味のある方は木村工務店まで、
お問い合わせ下さい。
投稿者 木村貴一 : 2008年10月12日 13:17 « 栗きんとん | メイン | 光と影 »