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2010年12月26日
感謝
まったくもって寒い。いや、どちらかと言えば、冷たい感覚。心身で冬を実感する季節が、ようやくやってきて、お正月が、もうすぐそこ、目の前。考えて見れば、これが今年最後のブログな訳で、そう思うと、この一年を反省してみたくなる。
そうそう、設計施工した森小路教会に、行くのを忘れていた事に気付いて、今日の午前中、一年ぶりに、日曜礼拝に参加する。私は、クリスチャンではないのだけれど、久しぶりに会う誰もが、笑顔で、「ようこそお越しを」と迎え入れてくれて、そんな事が、とっても嬉しい事だった。木村工務店もそんなふうに在りたいものだなぁ。と思う。
教会に行くと、普段、あまり接する事がないコトバとコトバの組合せに出会えるのが、嬉しい。「喜びと悲しみ」「笑いと涙」「沈黙と歌」「信仰の働き」「愛の労苦」「望みの忍耐」「光と塩」、これらのコトバの意味とそれが指し示すものを、ほんの一瞬ではあるけれど、思考し、自分の経験値と照合しようとする、そういう脳への刺激と脳内での編集作業が、心地良いとおもう。
私たちは、新しいことを学び、
また新しい径験を積んで過ごしました。
そのため少しでも良い仕事をすることができました。
また、少しでもよく人生を知ることができました。
私たちには、いっそう親密な友人が与えられ
いっそう親しい愛する者たちが与えられました
このようなことをすべて感謝します。
こんなコトバに接すると、流石に、この一年を思い起こしたい気分。
木村工務店では、この一年、どうだったのか、と振り返れば、ますますリフォームの比率が高まり、完全に新築の比率を上回っている。今年の前半は、多くの業者が、リフォーム市場に参入してきた影響なのだろう、リフォーム工事の相見積りが、急に増えて、受注出来にくい状況が続いて、苦戦した。
もちろん、コストに対する見直しもしたが、それ以上に、設計や見積や現場監督や職人との、ものづくりの、それぞれのステップを、よりきっちりとして、誠実なアプローチを目指そうと、皆との「意識の共有」にエネルギーを注ぐ事にした。そういう、ものづくりの過程を施主と共有できるところに、木村工務店の魅力を感じて欲しい。という、意識的な取り組みと精進が、今年の木村工務店であった。
Ms設計の三澤文子さんとの関わりがあって、MOKスクールや木造建築病理学通信に以下のような文章を書いた事もあり、2002年頃から今まで取り組んできたリフォーム工事を見つめ直した年でもあって、来年は、リフォームだけでなく新築も含めて、再構築と編集作業によって、お客様にとって、より分かり易い、仕組み化が出来ればとおもう。
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木造建築病理学通信 第7号
2010年11月10日(水) 発行
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このメール通信は「住宅医スクール受講者」「岐阜県立森林文化アカデミー・
木造建築病理学受講者」と、その関係者の方にお送りしております。
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(中略)
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5.住宅医意見交換
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*■「木村工務店がリフォームに強い工務店として売り込むそのわけとは。」
* 株式会社 木村工務店 代表取締役.社長 木村貴一氏
去る10月16日(土)MOKスクール大阪の人気特集「行列のできる工務店・設計事務所」で、 リフォーム設計・施工の達人工務店としてお話頂いた木村工務店の木村貴一氏に 必読の原 稿を頂きました。本当に必読です!
↓文章はこちら
http://hd-n.net/2009cgi/gallery/archives/52.html
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私生活では、ゴールデンウィークやお盆に、「旅する」という行為を通じて、新鮮な印象に遭遇し刺激を受けてきた。ここ何年もそういう機会を意識的に創造していて、もはや、それには、麻薬的な魅力があり、旅への禁断症状にさいなまれるほどで、そういえば、このブログも、旅ネタで、かろうじて、繋いでいるようなところが、大いにあり、そういう視点で見れば、ブログを書くために旅してるのかもしれない・・・・・。
その私生活と仕事の境界線が限りなく曖昧になってきて、家族まで巻き込んだ、「木村家本舗」というイベントを催した事が、今年の重大ニュースなのかもしれない。何十年にも渡って、何度もリフォームし、変化する木村家のリフォームは、10年前に、外と内の曖昧な空間を造った。それは、ある種の縁側的な場所でもあり、そこで、このブログを書き、食事をし、コミュニケーションをし、寛ぎ、季節を感じる場でもあって、そこが、木村家本舗のメインステージでもあった。
いつかのブログに「カオスの縁」というタイトルを付けたが、そういう「縁」にあたる部分で、様々な出来事が生じるように、内と外の曖昧な縁側という空間性もそうだが、プライベートと仕事の曖昧な部分とその「縁」に、生きる喜びや楽しみを増大させる何かが、まだまだあるのかもしれない。
木村家本舗の取り組みは、そういう発見を試みる実験でもあって、生活する場に本や家具や写真という商売を持ち込みながら、集い繋がる事によって、喜びや楽しみや寛ぎ、創造性や美や人間性を一緒に共有し、広げていこうという、遊びでもあった。そういえば、木村家本舗というイベントを通じて、「フラワーアレンジメント教室」や「音の宴」なども派生したのだった。
最近、「感謝」というコトバを大安売りしてしまっていて、特に、年末の大売り出しや歳末助け合い運動の如く、「感謝」を連発したい季節であるのだけれど、森小路教会で遭遇し、先ほど引用したあのコトバをもう一度読み返してみると、やはり、お決まりのコトバに行き着く訳で、施主の方々、木村家本舗に関わった方々、旅で出会った方々、学生の方々、木村工務店の社員や関連の方々、その他関わりをもった方々、家族、そして様々な出来事、そうそう、このブログを読んで頂いた皆々様、この一年間の、このような全てに「感謝」です。
良いお年を!
2010年12月19日
風土
穏やかな、冬の月夜。デッキの椅子に座って、月を眺めても、我慢できる程度の寒さ。一昨日の夜は、かなり寒かった。マフラーが、暖かいと思える、そんな年の瀬を感じる気候の中で、会社の忘年会があり、社員と大工と手伝いの33名で、懇親を深めた。
先週は、協力業者との忘年会で、協力業者は、ものづくりの仲間のような感じだけれど、社員が家族とするのなら、大工さんや手伝いさんは、血の繫がった親戚のような感覚で、雇用関係では、社員ではないけれど、そうそう、派遣社員のような感覚なのかもしれない・・・・。
忘年会の前日の出来事。「木村家本舗」というイベントでの古本は、その故郷が、コトバノイエで、そのコトバノイエが、大阪ガスのコンテストで最優秀を受賞したらしい。正式発表は2月だというが、ツイッター上では、設計者のヤベさんと、コトバノイエのカトウさんと私との間で、こんなやり取りがあった。
yabetatsuya やべたつや
@kimutaka1 29日、コトバノイエにて、コトバノイエ最優秀忘年会を開催します。
kimutaka1Dec 16, 11:53pm via Echofon
@yabetatsuya 29日は、苦しい.... でも、何とか、顔だけは.....
kotobanoieDec 17, 12:03am via Web
建築家、工務店、施主は三位一体でござる。 RT @kimutaka1: @yabetatsuya 29日は、苦しい.... でも、何とか、顔だけは.....
kimutaka1Dec 17, 12:09am via Echofon
確かに。RT @kotobanoie: 建築家、工務店、施主は三位一体でござる。 RT @kimutaka1: @yabetatsuya 29日は、苦しい.... でも、何とか、顔だけは.....
kimuko_3Dec 18, 8:29am via HootSuite
建築という、ものづくりの、良好な過程を共有したいですね・・・ RT @kimutaka1: 確かに。RT @kotobanoie: 建築家、工務店、施主は三位一体でござる。
kotobanoie BOOKS+コトバノイエ
それこそがセッション。矢部さんはマイルスか? トンちゃんはオノ・ヨーコか? ぼくはやっぱりテオ・マセロになりたいかも。 RT @kimuko_3 建築という、ものづくりの、良好な過程を共有したいですね・・・
kimutaka1Dec 18, 8:52am via HootSuite
私は、そういう環境を提供したい・・・。 RT @kotobanoie: それこそがセッション。矢部さんはマイルスか? トンちゃんはオノ・ヨーコか? ぼくはやっぱりテオ・マセロになりたいかも。 RT @kimuko_3 建築という、ものづくりの、良好な過程を共有したいですね・
ものづくりの良好な過程を施主や設計者や施工者と共有するためには、施主の言語と設計者の言語と職人の言語とそれに会社の意向という言語を理解し、それら四カ国語を流暢に使いこなせる、施工者の代表としての現場監督が、最も大きな役目を担うのだけれど、その現場監督の手となり足となって、実際のものづくりをするのは、職人さんで、そういう職人集団があってこその工務店だと・・・・、そうそう、先週のブログで書いたっけ。
たまには、忘年会のような飲ミュニケーションが、職人さんと現場監督と設計者の潤滑油のような役目や触媒のような役目をして、コミュニケーションを円滑にしたり、反応を促進したりするわけで、例えば、そういう環境を提供したりするのが、私の役目であるのかもしれないし、何よりも、ものづくりの良好な過程を共有できる「風土」を培うために、日夜精進するのが、私の大切な役目なのだろう・・・・。
そういう意味では、工務店とは、ものづくりの良好な過程を共有するための「風土」の事なのかもしれない。と思った。
さてさて、土曜日の出来事。
kimutaka112:09am via Echofon
年の瀬が迫ると、兎に角、重なる。前日の忘年会の余韻がまだ残る、その朝から引き渡し、昼からファーストプレゼン、夕方の上棟式、夜に設計事務所で年末の工程打ち合わせ、深夜の社内作業、何人かの社員は、まだ残っているようだ。エエお正月を迎えたいものだね...。
とツィートをした。
土曜日の朝、阿倍野区で、長期優良住宅を取得した、木造2階建て住宅の引き渡しがあって、まだ、外構工事は残るものの、周囲を高いビルやマンションで囲まれた環境の中で、2階にLDKと中庭のある住宅が完成した。
お引き渡しは、建物の完成であると同時に、これから始まる、家守りのスタートでもあって、施主の方々と末永い良い関係を築けるよう、取り組んでいきたいと願う機会でもある。そういう意味でも、お引き渡しに、感謝です。
昼からは、ハウスメーカーやSE工法の工務店やフランチャイズに加盟する工務店と競合する、狭小間口の3階建て住宅の、初めてのプレゼンテーションがあった。最近はリフォームの割合がめっきりと増えてきて、新築の施工が少なくなっているのだけれど、それは、新築が出来るスタッフのスキルによって、大型のリフォーム工事が受注出来ている状況であるといえる。
2002年頃より、本格的に大型りフォームを施工するようになって、弊社の設計者も現場監督も、それに職人たちも、それぞれ個別の現場状況に対応する柔軟性や創造性が、少しずつ向上してきた。最近の新築では、大型リフォームから得た、そんなスキルを新築に活かそうと取り組んでいるわけで、ものづくりの良好な過程を一緒に共有する新築工事を、施主や建築家の皆さんに提供すべく、社員と協力業者が一丸となって、精進している真っ最中でもある。ということで、皆さん!新築工事も よろしくお願いします。
夕方、神戸で、外断熱工法によるコンクリート造2階建て医院併用住宅の上棟式があり、祝宴の後、家に帰って、頂戴した箱を空けてみると、何と、「蒲鉾の鯛」だった。それは、ちょっとした驚きでもあり、何だか、とっても、カワイらしく、それに美味しかった。めでたいたいに、感謝です。
上棟式の後も大阪市内で打合せがあり、そんな訳で、なんだかんだ、お正月がやってくる前は、物事が、何重にも重なり合って、入り乱れるのだった。この週は、天皇誕生日という、有り難い祝日にも関わらず、クリスマスやお正月休暇とが、妙な関係で絡み合って、働きたいような、休みたいような、複雑な心境にさせる祝日でもある。
冬。忘年会。天皇誕生日。クリスマス。大掃除。お正月。師走といわれるこの2週間ほどに、日本の「風土」が象徴されているのだろうか・・・・・。
2010年12月12日
音の宴と職人集団の宴
夜、50前後のオッサン5人が、家庭の居間のスピーカーの前に向かって、CDかレコードをかけ、それなりの大きな音量で聴いている姿があって、その途中に、息子が、外出から帰ってきて、皆に、「こんにちわ」と挨拶を言った後、その異様な雰囲気と姿を見て、「いったい、これ、なに・・・」と呟き、ニヤリと笑いながら、居間の引き戸を閉めて、そそくさと退散した。5人それぞれが、いまの状況を冷静に判断したのだとおもう。まるで、新興宗教の集会のような、その雰囲気の自分たちの姿に気付いて、大爆笑が起こった。
温熱環境の私塾のような研究会を展開している、野池さんの会合があり、それが終了した後、数人で、懇親会をし、その席で、ウダウダと歓談をしている時の事だった。誰かが、こんなマイナーなレコード音楽の曲は、知らんやろ! というと、ほとんど、全員が知っているでぇ・・・・。と答えた。それが、発端となって、70年代や80年代のマイナーな曲をそれぞれが自慢しあうという、たわいもい、それに、とっても大人げない、自慢話が続いて、それを酒のあてにしながら、深夜まで、楽しく飲んだ。
あまりにもその話が盛り上がり、それに面白かったので、ノイケさんが、それぞれ自慢の曲を持ち寄って、お互いの、持ち寄った音楽を一緒に聴いて、優勝者を決めてみようよ!という事になった。それで、うちの自邸(木村家本舗)をその場所として、そのイベントを催したのが、昨日の出来事だった。
5人それぞれが、5曲を持ち寄って、連続して音楽を掛けて、自分の好みで、一曲を10点満点で採点し、合計を争う。いやいや、全然、争う気持ちはないのだけれど、やっぱり、ゲーム性を加味した方が、オモロイという程度の事。5人のメンバーは、ノイケさんと、その関わりのある人で、設計のマイタニさんや、ノイケさんの事務局の手伝いをしている設計のウエノさん、それに、ノイケさんの同級生の音楽仲間で、偶然、木村工務店の製本やコピー、それに事務所の一部を建築させて頂いた、施主でもある、宏和のヒガサさん、と私の5名。そうそう、構造のシモヤマさんも参加予定だったが、飲み過ぎの痛風でダウンして、急遽キャンセル。
お酒を飲みながらであるけれど、真剣に音楽に聴き入る、オッサン5人のその姿が、如何に異常であったのかは、うちの奥方をして、近寄りがたい異様なムードで、よう、入りこまんかったわ。とオタクをを見るような目で、笑う。それにしても、楽しい「遊び」であって、採点は、好みでエエ加減な点数であるのだけれど、それぞれが持ち込んだ、どの音楽も、それぞれの思入れがあって、聴いていて、不思議と、幸せな気分になった。そんな、ロックとフォークとジャズの音の宴だった。
ちなみに、皆は、アウェイでの戦いであり、私にとっては、ホームでの戦いでもあって、自分の音響設備が、どのような音楽を良く鳴らすのか、知っているので、敢えて、70年代や80年代のロックは選曲せず、ロックファンに送る、Jazzにおけるブルースの解釈とその進化。という選曲で、それは、エラソウに言いすぎなので、Jazzファンや音楽関係者の人は、突っ込まないで、♪ 笑ってぇ許してぇ ♪ 欲しい・・・。
1曲目:Roland Kirk ローランド・カーク the inflated tear より
・・・・・・1曲目の the black and crazy bules
2曲目:Charles Mingus チャーリー・ミンガス Blues&Rootsより
・・・・・・1曲目のwendnesday night prayer meeting
3曲目:Booker ervin ブッカー・アービン the song bookより
・・・・・・1曲目のthe lamp is low
4曲目:John Coltrane ジョン・コルトレーン Crescentより
・・・・・・2曲目の wise one
5曲目:Miles Davis マイルス・ディヴィス My funny valentineより
・・・・・・3曲目の stella by starlight
僅差で、5人中の1位を頂いたのは、嬉しくもあり、何よりもホームの利点であったのだけれど、そんな事よりも、仕事を工面して、わざわざ、うちまで、お越し頂いて、この楽しいひと時を一緒に遊んだ、参加者の方々に、感謝です。
そういえば、今週は、木村工務店の協力業者の精親会という会の忘年会があり、40名近くで、懇親を深めた。そもそも、この会は、私の祖父で、創業者の木村精一が作った会で、名字の「精」と「親」しむをくっつけた名前であり、その意味合いからしても、創業者への人柄に親しんだ、協力業者の人たちが、発起した会でもある。
50年以上継続していた会なのだけれど、忘年会を開いたのは初めてだったのは、少々の驚きでもあり、また、喜びでもあった。解体屋さん、仮設リース屋さん、基礎屋さん、生コンの建材屋さん、鉄筋屋さん、型枠大工さん、鉄骨屋さん、材木屋さん、金物屋さん、屋根屋さん、板金屋さん、防水屋さん、タイル屋さん、左官屋さん、塗装屋さん、クロス屋さん、住宅設備の建材屋さん、洗い屋さん、電気屋さん、水道屋さん、ガス屋さん、等々の面々が揃った。
考えて見れば、様々なものづくりの人たちの協力があって、ようやく建築が出来るわけで、ひとりひとりに、お酒をつぎながら、「職人集団あってこその工務店」だな。と、つくづく思った。創業者の精一氏と協力業者の皆さんに、感謝です。
ということで、宴たけなわの季節。だね。
2010年12月05日
カオスの縁
放射冷却現象だったのか、朝は、車に、霜がついていたが、昼前の、大阪は、じつに、穏やかで、エエ天気。秋晴れとよぶには、もう既に12月になっているのだけれど、セーターを着て、デッキで、このブログを書ける気候で、本当に、師走なのかとおもう。
そういえば、数日前、銀行の支店長が、本部のお偉いさんを連れて、年末の挨拶にお見えになり、暫しの歓談をして、帰られると、そうそう、年賀状やお歳暮やカレンダー配りの最後の詰めをしなければ・・・と、無理矢理、心を年末モードに引き込んだ。
今週は、大阪の大学院生が、「リフォーム」を題材にした修士論文を書くために、聞き取り調査にやってきて、あれやこれやと、答えたり、会話をしているうちに、こちらも、改めて、考えさせられるところがいろいろあって、気が付けば、2時間ほど経過していた。
「リフォーム」というコトバから連想するイメージが、それぞれ多種多様であり、持ち家をリフォームして住み続けるとか、中古住宅を購入してリフォームするとか。というような大きな分類に留まらず、マンションや一戸建てや長屋などによる分類や、水回りだけを交換するリフォームや、収納の改善、壁をぶち抜いて部屋を広げたり、増築したり、減築したり、屋根葺き変えたり、壁塗り変えたり、それに、耐震補強や、窓をペア-硝子にしたり、断熱材を入れたりという温熱環境を改善するというリフォームも増えてきて、まさしく、多種多様百花繚乱な状況。で、おもわず、居心地の良い居場所をつくる事など、忘れてしまいそう・・・・。
未だに、天井から明かりが照らされてない、暗い部屋のような、「リフォーム」と呼ばれる領域を、手持ちのライトで、部分部分を照らして、リフォームというコトバひとくくりだけで、論じあっているような状況下なのだろう。それぞれにとって、リフォームというコトバで、イメージしているものが、かなり違うのかもしれない。確かに、こんな状況では、施主のニーズと、設計や施工をする業者側の提案やサービスが、乖離してしまうのも、致し方のない事なのだろう。
全く、実社会での経験がない学生と、特に、このリフォームと言われる、複雑系な分野について、歓談出来たのは、エエ経験であったのだけれど、それには、尋ねて来た学生の礼儀正しい態度や、人の話の聞き方や、自分の意見の述べ方など、好感の持てる態度が影響したのだとおもう。その背景には、昨今のリクルートのための、面接やプレゼンテーションの仕方を学習している事が、あるのかもしれない・・・。それにしても、リフォームとは何かを学生に説明するのは、意外とムツカシイ事なのだ。と気付く。
そう言えば、11月に入った水曜日の午後、2週間連続で、大阪の建築学科の学生による「工務店とは?」という、工務店見学の訪問があり、うちの会社の中を見学してもらった。ついでに、大工のベッショくんに、刃物の研ぎ方や、カンナがけを実演してもらい、実際に、学生にもカンナ削りの体験をしてもらった。また、数人の社員が参加して、工務店での自分の仕事と経歴を紹介する、トークイベントをした。
昨年も同じような事をしたのだけれど、2年間やってみて、感じることは、案外、学生の態度に好感が持てることと、女子がしっかりしていて、男子が角に追いやられているような感じで、これからの建築業界は、女子が背負って立つ時代になるのかもしれない。と思えるほど、積極的。男子も頑張って欲しいねぇ・・・・。
それよりも、「工務店」がやっている仕事の内容を説明する事は、ムツカシイな。という事が、一番なのかもしれない。それは、つまるところ、何よりも、私も含めた社員それぞれが、真剣に、工務店とは何か?と、考えなアカンね。と言うことになるのだろうし、そんなのは、日々の精進の中からしか、うまれないよねぇ・・・。という事に行き着くのかもしれない。
複雑系という考え方の中に、「カオスの縁」というのがあって、物事に新たな秩序が生まれたり、新たな生命が誕生したりするのは、「カオス」の「縁」であるらしい。海と陸との間の海岸とよばれる場所とか、個体と液体の中間領域とか、ひょっとして、「縁側」なんて言われるものも、外と内の曖昧な中間領域で、新たなコミュニケーションや寛ぎをうむための、カオスの縁とよんでも良いのかもしれない・・・。
社会に出る前の学生と、うちの会社で接する事が、カオスの縁のような状況下になって、工務店とは?とか、リフォームとは?という考え方に、新たな秩序や整理をもたらすのだろうか・・・・。そういえば、このブログも、うちの家、別名、木村家本舗の、内と外が曖昧な、庇のかかった、縁側のようなデッキスペースで、書く事が、ほとんどで、今や、この場所でないと、書けないくらい・・・。
これからは、うちのこのスペースを「カオスの縁側」とでもよぶかね。
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