« 2012年07月 | メイン | 2012年09月 »
2012年08月26日
模型製作ワークショップ
お盆休暇も終わり、もうすっかり通常の仕事モードなのだけれど、8月中はまだ夏休み。という、一種独特の夏の響きがあって、まぁ、そんな夏休みが終わろうとしている寂しさと残暑が入り交じるムードの中で、模型製作ワークショップを催す。
今回は、木村工務店の設計部の3名が中心となって、吉村順三設計による軽井沢の山荘を題材として模型を製作することにした。参加定員は20名。どんな方々が参加されるのかと思っていたら、家を建てたお客さんや工事中のお客さんが、小学生のお子さん連れで、夏休みの宿題も兼ねて参加された方が半分ぐらいで、あと大人の単独の参加者が男女それぞれ3名づついて、それに高校生が3名で、そのうちの1名は女子で、建築志望で、お父さんが設計事務所をしていて、なんていう父と娘の二人参加で、娘さんにダメ出しをされながら笑顔のお父さんの姿があって、息子二人の父親という私の立場からすると、とっても羨ましい感じの製作風景。
ちなみに、つい3年ほど前に突然、建築を志して、東京の学校に通う長男が、きっと模型製作で鍛えられてちょっとした自信のようなものを持ったのだろうか、模型製作ワークショップの手伝いを兼ねて大阪に帰ってきた。それに、はじめてこのワークショップに参加することになった高校生の次男がいて、確かに工務店の息子という立場でありながら、ワークショップ初参加というのも、親として微妙な立ち位置を感じる訳なのだけれど、もちろん参加してみたらどう。なんて軽やかに促し続けていたものの、クラブとかデートとか、などなど様々な理由をもって断り続けられての今回の初参加。
そういえば珍しいことに、小学校に通う二組の双子の兄弟がいて、どちらもうちで新築とリフォームをしたお客さんで、その双子のお母さんとバアバがそれぞれ付き添いでやってき、どちらの二人の親も一生懸命に手伝いながら、いやいや、ほとんど二人の親が子供そっちのけで楽しみながら、微妙に個性が違う双子を相手している姿に独特の雰囲気があって、とっても楽しそうな感じだった。
そうそう、時間が経つにつれて、子供そっちのけで、オトナが本気で製作にのめり込み、子供達は畳の間でファミコンをするというとっても現代的な構図があって、そういう光景の中に、「ものづくり」が本来的に持つ「オトナの魅力」が潜んでいるのだとおもう・・・。そういえば、夫婦二人で仲良く共同製作をするオトナのカップルが二組あり、単独のオトナの参加者は、無口で黙々と、でも、うっすらとした微笑みを持ち続けながら模型造りを楽しんでいた・・・・。
午後1時30分からはじめて、賑やかだった会議室に誰もいなくなったのが、午後7時30分頃で、ほとんどの人がちょっとした休憩だけをはさみながら、約5時間ほどの時間を連続して模型製作に集中したわけで、毎回の事ながら、5、6歳から70代までの幅広い年齢層が、一緒にものづくりを楽しむ姿とエネルギーに接すると、その渦巻くエネルギーと歓声のお陰で、主催した私たちにも、独特の喜びと感謝の気持ちが湧いてくるのだった・・・・。
仕事の都合で、早く帰った人がいたのだけれど、ほとんど全ての参加者が、多少の不完全さはあっても、皆で一緒に、「できたぁ!」という共有体験と笑顔を持てたことが、何よりもの出来事だとおもう・・・・。
2012年08月19日
室戸のクワガタくん
ホテルの部屋の扉を開けて廊下に出ると、外回廊のようになっていて、目の前の足下にクワガタムシが這いつくばっていた。次男が手に取り上げて、木々に向かって放とうとしたのを、ちょっと待って! と私の手に持ち替える。足とハサミをのけ反らせながら、あの甲虫類独特の抵抗があって、指を挟みの間に入れ込んだり、手に引っかかる足のとげを振りほどいたりし、久しぶりにクワガタの感触を楽しみながら部屋に戻って、ソファー横のサイドテーブルに何気なく置いてあった奥方の麦わら帽子の下にクワガタくんを確保する・・・・。
結婚してから初めて、ということは27年間で一度もお盆に大阪に居た事がなく、14日の朝、初めてのお盆のお墓参りをする。私の兄弟姉妹とその子供も一緒で、弟の子供が、まだ幼稚園児の男の子で、そうそう、そのユウタにクワガタをあげようと思ったのが15日で、夕食を食べるためにレストランに行こうとした四国室戸のホテルでの出来事。
お盆休暇初日の12日は、「流しそーめん」を長男の同級生とそのお母さんやその知り合いとして、いやそれが、えー、ほんとに、流しそーめんするのぉ、スイカ割りするのぉ、とかなり懐疑的だったのに、やてみると、とっても楽しくて、通りがかりの20代のカップルやそのお友達まで参加してくれて、終了間際には、アメリカ人とフランス人の飛び入り参加もあったりし、それなりの歓声が響いていて、ちょっとご近所さんにご迷惑をかけたかも。それにしても、いつかは社員や職人さんとやってみようかな。とおもうほどの意外な盛り上がりだった・・・。
ちなみに、うちの奥方もスイカ割りをして、いやそれが、何でも誘われたら年がいもなく参加してしまうのには驚くのだけれど、それよりも、振り下ろした木の棒がスイカに当たらずに地面を叩いて、それが、棒の勢いあまって、跳ね返り、奥方のおでこにぶつかって、大きなたんこぶが出来た!というのが、笑うに笑えぬお盆休暇初日のトッピックス。
お盆休暇の前半の三日間は、大工の古材の手加工を見たり、家庭「イエニワ」で、朝から晩まで過ごしながら、本を読んだり、昼寝をしたり、炭火焼きしたりして、イエキャンプなお盆休暇だった。
↓古材を手加工する大工さんたち
↓お盆休暇初日。「流しそーめん」が終わって2次会をイエニワですると、なぜかアメリカ人とフランス人が交じっていて、あとは長男の同級生ばっか。なのに長男は東京。
↓お盆休暇二日目。古材の加工を見て本を読んでお昼寝し夕食は夫婦二人だけで炭火焼きをして、暫くしたら、どしゃぶりの大雨になった。
↓お盆休暇三日目。朝から両親兄弟妹とお墓参りをし、お昼は皆でホテルのバイキングを食べて、夜は花火という「Theお盆」。
お盆休暇4日目の15日早朝から四国室戸へ向かう。道中、サーフィンを見るために生見に立ち寄ったのは、30年以上前に、サーフロッジ生見に2泊ほどした経験があって、当時は松林のなかにポツンとロッジがあった記憶しかなく、防波堤とか駐車場とか大きなホテルとか野球場とか様子がすっかり変わってしまったのかどうかさえ判断がつかないほど薄らいだ記憶・・・。確か尾崎で波に乗った・・・。海部で防波堤から波乗りを眺めた・・・。そんな楽しかった記憶を奥方と次男に語ってみた。
室戸で宿泊し、それはたまたま1ヶ月ほど前にホテルの予約が取れただけの理由で、いや、こじつけるのなら、今、高野山で小さな宿泊施設を施工していて、その高野山のスーパースターの空海さんは、室戸の洞窟で修行をし、悟りをえて、洞窟から「空と海」を見て、「空海」なのだという。まぁ、そういう「縁」を頼りに、室戸に宿泊し、プールに浮かび、レストランでイタリア料理を食べ、デッキの椅子に寝転がって満天の星を眺め、部屋に戻って、あっそうそうクワガタクワガタと思い出し、麦わら帽子をめくると、クワガタくんはいなかった・・・。
↓空海と大日
翌朝、日の出を眺めてから室戸岬まで3キロほどランニングをし、部屋に戻って、便器に座ると、なんと目の前にクワガタくんがウロチョロしていた。それなりの親近感を感じて、麦わら帽子の下に戻し、それで、チェックアウトの時にクワガタを手に持って、さてどうしようかと迷っていると、ホテルのスタッフの女の子が、わざわざ箱を持ってきてくれたので、行きがかり上、大阪まで連れて帰る事にし、車のトランクにその箱を詰め込む。
まぁ、そんなこんなで、次男の美術館見学の宿題があるというので、高知を経由して、丸亀の谷口吉生設計の猪熊弦一郎現代美術館に立ち寄り、ついでに、さぬきうどんも食べ、よくある家族の事情で、倉敷のアウトレットで買い物をし、16日の夜遅くに大阪に着いた。さて、どうなっているのかと、車のトランクに鎮座している箱を開けると、空っぽだった・・・。またもや、クワガタくんは脱出していて、これはこれで良かったのだ。と。
翌朝は仕事で、朝風呂に入って、その続きに次男もお風呂に入ると、大きな叫び声がした。クワガタがお風呂におるでぇ! きっと、トランクの中で、箱から脱出し、鞄に紛れ込んで、洗濯物か何かと一緒に洗面所までやってきて、いや、これはまったくの憶測で、とにかく、「彼」は我が家のお風呂の中に出没したのだった。愛着感まで沸いてくる・・・
そんな「縁」で、虫かごの中で、スイカと共に大阪で暮らすことになった室戸のクワガタくんなのだが、今朝、虫かごの中を覗くと、お亡くなりになっていた・・・。なんだか、とっても複雑な心境で、連れてきて良かったのかどうか・・・。なので、合掌。
2012年08月12日
お盆休みの朝
お盆休みが始まって、木村工務店では、今日の12日(日)から16日(木)の5日間の休みを頂戴し、ほとんど全ての現場が休む。まぁ、建築業界、特に職人さんにとって、大手を振って「平日」の休みが取れるのは、お盆とお正月ぐらいで、それに便乗するような形で、私たちも大きな顔して、休む。
1985年に結婚してからこれまで、お盆休みは、「旅」をする日であり、大阪の小路から離れる日でもあって、それが最も嬉しいことだったのだ。と、いまここで気付く。お盆休みの初日に、こうしてこのブログを、先週に書いた、「過ごす庭」で、そうそうそのテーブルを硝子テーブルに置き換えて、流石にソファーと椅子は躊躇しているのだけれど、そのテーブルの上に金鳥の蚊取り線香の香りと煙が漂い、楠とモミジの木陰で、それなりの涼しさがあるものの、いや全く風が吹かないどんよりした日で、それで、ファンを回して、無理矢理風を起こし・・・。そんなこんなで、とにかく家の「過ごす庭」で、過ごす事を選択したお盆休みで、27年目にしてはじめての出来事。
大きな要因はキャンピングカーが動かなくなった事なのだけれど、それだけが原因でもなくて、今月は難波パークスにある「URBAN RESEARCH DOORS なんばパークス店」の増床工事中で、5年ほど前に、京都の森田建築設計事務所のモリタさんの設計で、滋賀の島村商店さんから古材が加工場に入って、うちのベッショ大工やササキ大工の若い大工が、苦労しながらも嬉しそうに古材を木組みした。前回はパークスがオープン前で、昼間に工事が出来て、それなりの余裕があったのだけれど、今回はパークスの全店舗が営業中だという事もあって、深夜の突貫工事の真っ最中。
その二人の大工は昼間に住宅の現場に行っているので深夜の工事が出来なくて、それで、このお盆休みを利用して、会社の加工場で、今回も、やっぱり滋賀の島村商店から運ばれてきた古材で、明日から加工する予定になっている。きっと、うちの若い二人の大工も古材を扱う仕事でなかったら、休みの予定を無理矢理作っていたのかもしれない。私にとっても楽しみと言えば楽しみで、そんな現場の事情もあり、「私」という会社の立場もあって、15日と16日以外は、家庭(いえにわ)で過ごすことにした。
それにこんな時には、へんな頼まれゴトも迷い込んできて、長男の同級生のシモヒラくんが、そういえば彼の家は無有建築工房の設計による小路の有名建築なんだけれど、その彼が同級生など友達皆と、「流しそーめん」パーティを企てて、うちの加工場を貸して欲しいという・・・。もちろん、何度か、「まちのえんがわ」に出入りしてくれていて、丁度、「私」も家で過ごすお盆という事もあり、12日(日)なら大工の作業もしないのでエエよ。と軽く答えた。
暫くして、流しそうめんの「竹」って、どうしたら手に入りますか心当たりありませんか?と彼から問い合わせがある。私も流しそうめんを食べた経験もなく、テレビか雑誌で見た程度なのだけれど、工務店という環境に長年いると、「やったことはない頼まれ事をなんとかカタチにしてみるという面白さ」があって、竹屋さんに電話をしたり、木村工務店の裏匠でもあるトミマス部長に相談したりして、そしたら、型枠大工のモモヤマさんが、奈良で農業をしていて、その近くの竹藪から太い竹と、それだけではなく素麺の出汁を入れる細い竹まで親切に段取りしてくれた。その竹を奈良の帝塚山で工事中の現場監督のフルカワくんが運搬してくれる。
なんというのか、そういう、ものづくりの仲間と、まったく、くだらない事だけれど、あれこれと、大まじめに考えるのが、とってもオモロイし、そんな遊びから学べる出来事がいっぱい眠っている・・・。
そんな訳で、一昨日には、トミマスくんが、竹を半分に割る作業を引き受けてくれて、昨日には流し素麺セッティングの仮設置作業をシモヒラくんを交えてし、そんなのをあれやこれや工夫して、周りの人に実験台になってもらって、食べてもらうのが嬉しかったりする・・・・。
と、まぁ、「いえにわ」でブログを書きながら、こんなお盆休みが始まるろうとしている朝。
それでは皆さん、素敵なお盆休暇を!
2012年08月05日
「木陰」
朝、クマゼミの大合唱を聴く。先週のブログで、クーラーの事を書いたり、別にそんなに大層におもっていない、太陽光発電の事を書いたりして、なんか自分のコトバに自分自身が毒気をあてえられて、それで、なんとなく反省のようなものがあって、今朝は外の木陰で、風を感じながら過ごす事にする。曇り空。時折強く吹く風。時折ゆらぐ木漏れ日。
物心がついた頃から、という事は40年もっと前から楠木の大きな木があって、10年前に自宅をリフォームをした時に、その大きな木の下で木陰を楽しめるように、デッキを作って、それからウミヒラ造園さんに頼んで、少しずつ丁寧にその楠を剪定をしてもらった。その木の下にモミジも植えて、それが10年経って、ちょうど頃合いの大きさに成長し、お陰で、「木陰」なるものが出来た。
「眺める庭」というのがあって、それはそれで、心の広がりを感じて、エエのだけれど、「過ごせる庭」という感覚もあって、いつぞやのブログに書いた、ヒッグス粒子発見風に云うと、体の回りにまとわりつくように存在している自然(じねん)といわれる何か。そういう、人間にまとわりつくように存在して環境を構成する粒子のような、光や風や臭いやゆらぎやその他さまざまな要素を五感で感じながら、一体感のようなものを伴って、「軽やか」に過ごすひととき。そんなのが「過ごす庭」の感覚なのかとおもう。
長男と次男がそれぞれが小学校5年生の時に縄文杉を見に行った。1回目に長男と見た時は縄文杉の根本までいけて、その木の下に佇んで、暫く休憩し、その時に、おもいのほか木が前に傾斜していることに、妙なリアリティを感じた。2回目の次男と一緒の時はすでに10年を経過していて、とっても多くの人がいて、木を守るために、デッキから縄文杉を眺めるようになっていた。それはそれなりの良さがあったのだけれど、あの初回に体験した一体感とは少し趣が違った。
テレビで見たり、本で読んだりした話に、ブッタが悟りを開いた菩提樹の木というのがあって、悟りはその木の下で座って寛いだ時の事らしい。その事がどんな意味を持つのかは別にして、「木の下」とか「木陰」には独特の寛ぎ感があって、フリーのキャンプサイトなんかに行くと、まぁほとんどフリーのキャンプサイトしか行かないのだけれど、とにかく居心地の良さそうな木を探して、その木の下でキャンプをしたものだった。そうそう、「木」には「神」が「宿る」らしい。
家にもそんなスペースを作ってみたいとおもったのが10年前のリフォームの時。ようやく2年ほど前から、木陰のデッキスペースが心地良い状態になって、そこで過ごす時間が徐々に増えてきて、楠の木に感謝したい気分なのだけれど、それはそれとして、そのスペースにキャンプ道具の椅子とかベットとか机にテーブルクロス、バーベキューコンロなんかを置いていて、そんなので過ごしていると、キャンプ道具でないアウトドアー用のエエ椅子とかソファーがないものかと思い始める・・・。
それで、インターネットで検索してみると、カッシーナからLC3 OUTDOORなるソファーが発売されている事を知り、そのホームページの写真を眺めながら、あぁ、うちのデッキに置いてみたい・・・と、朝からブツブツと言いながらの物欲というやつ。
いや、その値段が90万円以上もして、当然、全く、すぐに買える値段でもなく、ところが先日オーバーヒートをして動かなくなったキャンピングカーの修理費が80万円近くすると言われて、流石に躊躇して、諦めかけている状況で、お金のコトを考慮しないのなら、「キャンピングカーからLC3アウトドアーソファーに乗り換える」というのがエエのかも。
悟りの話なんか持ち出してきたはずなのに、とっても物欲的な話な訳で、朝から、そんなアウトドアーソファーを置くことを夢見て、このブログを「木陰」で書いて過ごす「私」。もちろんちょっとしたエコ意識も大いにあり。ところが、リビングキッチンの大テーブルでは夏休みの宿題をぎんぎんにクーラーを効かせて過ごす「次男」。友達とランチやわ・・・といって朝から出掛けてしまった「奥方」。まぁだいたい家族ってこんなもんですよね。
« 2012年07月 | メイン | 2012年09月 »