2010年02月21日
古材の魅力って何なのかね
お城を持っているベルギー人が、ヘリコプターに乗って、古材を買いに、日本にやってきて、まるまる一軒の古民家をベルギーに移築し、それを「スパ」にしたという写真を見せられると、日本の古民家の文化的価値を誇らしく思うものの、私たち工務店の今、現状の家を造る「スタンス」は、これでエエのかと、それなりの自問自答をしてみたくなる。
ハワイという、あのトロピカルな場所に、古材で出来た、古民家が移築再生されているその写真を見せられると、日本の大工が精魂込めて、脈々と造り続けてきた、民家建築という庶民の文化的価値が、日本の浮世絵のごとき、芸術的価値があるのだな・・・・と、思えてきたりする感覚が、何とも不思議だった。
ベルギーの大工が造る予定だった、その移築再生が、実際にやり出してみると、施工が出来なくて、わざわざ日本から大工が行く事になり、日本の大工が造りあげたのだ。と聴くと、大工という日本の技術と文化を誇らしく思うものの、そんな事よりも、その地で、言葉をしゃべれない日本の大工が、牛乳を買うために、自分の胸を絞るジェスチャーをしたそうだ・・・・・、とか、パーティーでは、トムクルーズもやってえきたらしいよ。なんていう話のほうに、かなりのリアリティを感じている「私」が居て、でも、もうそろそろ、年齢的にいっても、そんな事で、喜んでいる場合ではないのかもしれない・・・・・。
それは、今週、森田建築設計事務所の森田さん設計による、工事中の現場で、古材を使うために、滋賀の島村葭商店(しまむらよししょうてん)へ古材を見に行った時に、お聞きした話であって、以前にも、同じ森田さん設計のナンバパークスのURBAN RESEARCHや、難波神社裏のDOORS DAININGで、島村葭商店さんの古材をうちの加工場に搬入してもらって、加工はしたのだけれど、現地を訪れるのは、初めてだった。
事務所件自宅を拝見させて頂く。200年前の民家を移築したそうだ。それもこの民家はこれで、2回目の移築になるのだと聞くと、数奇な運命を辿っている民家だともいえるが、それにしても、この民家の木組みを設計と施工した大工の棟梁の精魂がたっぷりと宿っているから、生き残り続けているのだろう・・・・・。
数寄屋の座敷を二間みせてもらう。古材を使った大胆な木使いだった。社長のお話を聞かせてもらいながら見る、座敷には、確かに、不思議な魅力が溢れていた。この古材を使った、魅力は、いったい、何なのだろうかね・・・・。
作業場で、今度の現場で使う古材を検品する。何よりも「洗い」の技術が素晴らしいことに、感心する。古材を古材らしく使うために、手間暇をかけて、風合いと、味を残したまま、「洗う」事が必要で、それは、「掃除」を超えた、ジーパンの洗いざらしのような工程といえるのかもしれない。
一緒に同行した施主の方が、古材が立ち並ぶ姿を見ながら、「この古材が、うちで使われるのを待っていたかのように見える・・・・・」という呟きが、印象的だった。
その古材を加工するために搬入される、うちの加工場では、先日の吉野で検品した、吉野杉の梁を、大工と一緒に、そうそう、現場監督や設計者や施主も交えて、木取りをし、どの場所に、どう使うかを、あーだ、こーだ、ケンケンガクガと、打ち合わせをした。めんどくさいけど、楽しいねぇ・・・・・・。
まぁ、大げさに言えば、そんな「神聖」ともいえる加工場で、この土曜日、90人ほどの協力業者の社長さんや番頭さんや職人さんを交えて、弊社で施工した清見原神社の宮司さんに来て頂いて、初午の安全祈願祭をする。また、この機会に、木村工務店での「いま」の取り組みを職人さんたちに、生の声で、お伝えもした。
社員で、豚汁をつくったり、焼きそばをつくったり、おでんをつくったりして、職人さんたちをおもてなしする。もちろん、たっぷりのお酒も。それは、社員皆の協力があってのことで、感謝です。それにしても、夜の12時を回っても、少々、声が大きかった数名は、近隣に、ご迷惑をお掛けしていたのかも・・・・・、この場を借りて、陳謝。
来週には、この加工場に、あの古材が搬入されてくる予定。今度は、じっくりと、その古材と対峙して、その不思議な魅力を探ってみようとおもう・・・・・。
投稿者 木村貴一 : 2010年02月21日 23:00 « つぶやく | メイン | オリンピックのある日曜日 »