2008年10月05日

光と影

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内部解体の事を「内ばらし」と私たちは呼んでいるのだけれど、その「ウチバラシ」されたリフォームの現場に行く。 2階の畳が廃棄処分された床と壁を見ると、あぁ・・、なんとも、美しい「光と影」が。

しばし、おもわず魅とれていると、現場監督のT田くんが、「すきま風で寒いでしょうねぇ・・・・」と、背後から声がする。そうそう、 魅とれている場合じゃないのだ。隙間を何とかするのが、工務店の仕事なのだと、我に返る。

それにしても、隙間から漏れる光って、綺麗だなぁ・・・・。

DSC02822ウチバラシをしてみると、基礎の土台を取って、レンガを敷き詰めてあった。 ビックリした現場監督から会社に連絡が入る。おそらく、土台が腐っていたので、新たな木の土台に取り替えるのを、 レンガがにしたのだろうなぁ・・・・。レンガなら腐らないし・・・と考えたのか?

しかし、耐震性を考えると、全くもって、問題だらけで、さてさて、どうやって、解決しようかと、社内で議論する。 そういう問題を考えながら、解決していくのは、リフォーム工事の独特の魅力のひとつでもある。

もちろん、それは、施工者側の手前味噌で、勝手なおもいであって、当のお客さんにとっては、それはなんとも腹立たしい問題で、 思わぬ出費も発生するわけで、こちらとしても、何だか、申し訳なくおもう。ウチバラシのいわゆる「爪痕」を見て、施工者として、 どのようにして行かなければならないのかと、反省させられることが多い。


そういえば、昨日は清見原神社の上棟祭があって、 その祝宴の席で、現監督のM田くんが、ぼそっと、『150年後か200年後の人に、「おぉ、ちゃんと、 床下に潜れるようにしてくれてあったでぇ」と言ってもらえるのが、楽しみです』・・・・と。 さまざまなリフォームやメンテナンスに立ち会ってきた経験からでた言葉なんだとおもう・・・・・。

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完成すれば厳粛なる弊殿となるその予定の場所で、本殿に見守られながら、社員や大工や手伝職が集まって、 祝宴を開かせていただけたのは、「まだ、今は、工事現場やでぇ」という弊社会長の言葉と、清見原神社の宮司さんの理解があってのことだった。

大工が加工場で刻み続けた、梁や斗(ます)や肘木(ひじき)や彫刻を見上げながら、ワイワイガヤガヤ。・・・・・・。いつものように、 羽目を外し過ぎて、危うく、本殿のバチが当たりそうになる、その直前で、宮司さんの一本締めで、お開きとなった。

多くの人々が立ち去ったあと、静かになった本殿。壁の出来る前の、柱だけが林立する、 スケスケの隙間だらけの空間にライトアップされる「光と影」が美しかった。宮司さんと弊社T桝くんと3人で、暫し、静かな時空を体感する。

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DSC02920そうそう、その同じ日に訪問したお宅の、土曜日のうららかな秋の日が差し込むその居間の、 ちょっと変わった窓のとりかたによってうまれる 「光と影」にも、不思議な印象を持ったなぁ・・・・・。

「光」は点けたり消したり出来るけれど、「影」を、点けたり消したりするとは言わないよな。と、少し哲学的に考えてみるのは、 秋がやってきたからだとおもう。

投稿者 木村貴一 : 2008年10月05日 12:31 « MOTTAINAIを考えてみる秋 | メイン | 道 »


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