2014年11月16日

フクシマ

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今週、福島県の土湯温泉に行くと、みぞれ交じりの小雨で、紅葉を通り超して冬を感じる気候で、寒かったなぁ・・・。野池さんが主催する、Forward to 1985 energy life 第4回全国省エネミーティング in 福島というのがコラッセふくしまのホールであって、『再生可能エネルギーを増やしながら、小さなエネルギーで豊かに暮らそう!』というテーマのもと、福島市長による「福島市における再生可能エネルギーの現状と今後の方向性」という公演もあり、その夜は懇親会を兼ねて土湯温泉で宿泊し、翌日バイナリー発電所と小水力発電所の現場を見学した。

住宅における省エネの基本は「断熱材を入れて隙間風をなくす」コトだ。というのが、結論のようになっていて、そのための断熱と気密の施工技術が問われているのだけれど、そうそう、そういえば本日は住宅相談会があって、午前にお越しになったAさんから、太陽光パネルを付けて省エネをしたいと思うのです。という話題があって、太陽光パネルというのはエネルギーを創り出すいわゆる創エネのコトで、再生可能エネルギーでもあって、結果的に省エネに寄与するのだけれど、まず家の冷暖房や照明や給湯に使用する電気エネルギーが小さくならないと、その効率と効果は薄く、そのためにも断熱や気密や日射遮蔽の技術と工夫による冷暖房使用量の省エネが必要になるのだろう。ついでに付け加えると断熱気密は、省エネだけでなく、家全体の温度ムラを解消して、ヒートショックを予防する役目を担っていて、これからの高齢化社会では必須の技術でもあるのだろう・・・。

ま、それと、給湯エネルギーが家庭の全エネルギーに閉める割合が30%ほどあって、そんな意味でも、できるだけ少ないエネルギーでお湯を沸かすためのエコキュートやエコジョーズなど高効率の給湯器を使うコトが省エネへの貢献度が大きく、そう考えると、太陽光発電よりも太陽熱給湯パネルを屋根に設置する方が、省エネに貢献する割合いが大きいと云われているのだが、おそらく、電気の使用量やガスの使用量が減るので、積極的に宣伝しないのだろうね・・・。

そういえば、Aさんから太陽光パネルと共にオール電化はどうですか?という質問があって、東北のあの震災以降にこの質問を聞いたのは久しぶりで、震災前はあれだけ毎週のようにオール電化を勧めるためにやって来た関電の営業マンはバッタリと一度も来なくなって、それは原子力発電をどう考えるかの問題意識と関わるコトなのだろうが、そんな背景を考慮すると、電気エネルギーの消費をできるだけ減らすコトが、社会的にも求められているコトになってきて、住宅では、IHかガスコンロかの問題意識もそれなりに大事だが、消費エネルギーの観点からは、給湯エネルギーを電気で賄うのか、ガスで賄うのかの問題意識に力点を置くコトになり、都市ガスがある地域では、ガスでお湯を沸かした方が、必然的に電気エネルギーの省エネになったりするわけで、もはや家の家計だけの問題意識だけに留まらず、日本の国のエネルギーを何によって創り出し、そのエネルギーをどのように小さく消費して豊かに暮らすのかという問題意識に繋がってきて、そんなのが今回の全国省エネミーティングin福島のテーマだった・・・。

その「フクシマ」の抱える原子力発電と放射能に関わる問題意識をこのミーティングで、小学校の校庭や学校給食の放射能問題を例として聞かされると、確かに福島市内にある土湯温泉が温泉熱を利用したバイナリー発電と川の水力を利用した小水力発電という再生可能エネルギーで町のエネルギーを自給しようとする取り組みそのものが「フクシマ」の復興と日本のエネルギーをどのようにして創り出すのかという問題解決への取り組みであることが、切実に伝わってきて、ともすれば薄れがちになってきた「フクシマ」という問題意識を想起させてくれた。

そうそう、本日の住宅相談会の午後からのBさんは、20年ほど前にうちで建てた木組と自然素材を使った家の施主の娘さんご夫妻で、生憎、1歳ちょっとのお子さんが風邪を引いて、急遽ご主人だけがお越しになったのだけれど、いまマンション住まいで、やっぱり奥さんが実家のような家に住みたくて、土地だけを探してうちで家を建てたいというご希望で、あの実家を親に譲ってもらいたいという、とっても嬉しいお言葉まであって、ご主人は、家にあまり興味がなくどっちでもエエんですけど、奥さんの実家に行くと、確かにエエ感じの家なので、こんな家に住みたいと思えてきて・・と、そんなこんなで、実家と同じ小学校の地域で、土地探しからはじめるコトになった・・・。

今おもうと、その当時の家は、木組とか自然素材がテーマだったが、「省エ」という意識はまったくなく、あの東北の震災以降に「省エネ」というコトを本気で意識するようになったのは事実で、それは結局のところ「フクシマ」という問題意識が日本の世の中に投げかけた大きなテーマなのだろ。再生可能エネルギーへの取り組みは、家庭の省エネルギーへの取り組みを同時にやってこそ効果を発揮するのではないでしょうか!という問いかけが、今回の全国省エネミーティングの野池さんからの発信であって、確かに「再生可能エネルギーと省エネ」のバランスと工夫が日本のエネルギー問題のひとつのテーマであり、プリウスというハイブリットな自動車が世界的にも評価され売れている事実にも関係するのだろうし、それらが、「フクシマの復興と日本の将来」という問題に繋がっていくのだろうなぁ…と、そんなコトを「ちょっとだけ」考えて、大阪へ帰る東海道新幹線で、頂上に白い雪が積もった美しい富士山を眺めている「私」を発見するのだった。

投稿者 木村貴一 : 2014年11月16日 23:59 « 小さなものづくりのパワースポット | メイン | 木を組みたてるという「ものづくり」の共有体験がもたらす何か »


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