2012年11月11日

家族写真

住宅風呂巡礼というお遊びがあって、本日はその撮影日だった。
ちなみに以前書いた文章を再び引用すると・・・。

「ひと」の存在が企画をよぶのだとおもう。

温泉ソムリエぐっちとの出会いは、木村家本舗という自宅をオープンホームしたイベントで、彼が迷い込むようにやってきて、お互いに温泉入浴自慢を競い合ったのが最初だった。暫くして彼のホームページを眺めていると、どの入浴シーンにも自分撮りした姿が写っていて、それが、とっても不思議だった。いったいどうやって自分撮りしているのだろうか・・・と。 後日、再び木村家本舗に彼がやってきた。曖昧な会話をあれこれしているうちに、そうそう、温泉もエエけど、住宅のお風呂に入って自分撮りしたらどう。それも、いろいろな家のお風呂。有名建築とか無名建築とかのお風呂を巡る旅。住宅のお風呂の写真は数々あれど、ひとが入浴してるシーンはないし。そんなコトバを口走ると、即座にしかも軽やかに、やりましょ!と返事が返ってきた。

西宮の目神山に建築家石井修さんの回帰草庵という超有名建築があって、その草屋根の上で、息子さんの建築家石井良平さんが、炭火串焼き宴会を催してくれた。写真家の多田ユウコさんが同席していて、温泉ソムリエぐっちとの住宅のお風呂を巡る旅の話をした。その日の彼女は、草屋根の穴に落ち込んで尾てい骨を強打してしまうほど酔っぱらっていた。きっとそれが幸いしたのだとおもう。その写真撮影、私やりましょか!と、とっても軽やかに答えてくれた。

2011年12月4日日曜日木村家本舗とも呼ばれている自宅のお風呂で、主演は温泉ソムリエぐっち、撮影は多田ユウコ、企画は木村貴一で、第1回撮影をしたのが始まりだった。ぐっち自身が自分撮りをするか、私が撮影するのかとオロオロしていたのに、プロの女性カメラマン多田ユウコの出現によって手持ちぶさたになった「私」が唐突にとった行動が「making of 住宅風呂巡礼」だった。

ちょうど、12月1日に、自邸直ぐ近くの「まちのえんがわ」という木村工務店の路面店がオープンしたばかりで、そこで、撮影終了後3人でお茶を飲みながら和んだ。その時に多田ユウコさんが撮影してくれた写真が「まちのえんがわ」の写真になった。

そういえば、住宅風呂巡礼と命名をしてくれたのは、建築家の矢部達也さんで、第1回撮影の様子を伝えたブログを見て、第2回の撮影場所に自宅のお風呂でやりましょう!と名乗りをあげてくれた。2012年1月8日日曜日に第2回住宅風呂巡礼が大阪・野田・矢部邸で催されて、ヤベさん自らが演出をしながら撮影をした。撮影後、そこで小宴を催し、それがとっても楽しいひとときだった。その撮影現場を見学するためにコトバノイエの加藤博久さんがやってきた。コトバノイエというのは矢部達也さんが設計した家で、その住人が加藤さんで、その家を施工したのが木村工務店でその会社の社長が「私」だという、施主と設計者と施工者という奇妙な構図。ちなみに、住まい手の加藤さんの古本好きが高じて、本棚か構造体になった家がコトバノイエで、家が出来て暮らし始めてから、自宅でコトバノイエという古本屋さんを開いてしまった。

そんなこんなで、様々な奇妙な縁によって「ひと」が集い、繋がった。主演は温泉ソムリエぐっち、撮影は多田ユウコ、演出は矢部達也、協力は加藤博久、企画は木村貴一、制作は「まちのえんがわ」という住宅風呂巡礼団クインテットが生まれて、どこに向かってどこに連れて行かれるのか、流れるままに何かが広がり始めた・・・。

やり出してみて、もっとも面白い出来事は、住宅風呂巡礼団はチンドン屋さん的だというコトだった。もっとも日常的でプライベートな私たち家族にとってのお風呂という場所に、住宅風呂巡礼団というクインテットがにこやかに現れて、その一員の温泉ソムリエぐっちといわれる怪しいひとが、いきなり服を脱いで、素っ裸で、私たち家族のお風呂に入るのだった。その非日常性が「笑い」をうんだ。撮影された写真はどことなくシュールになった。お風呂の撮影中にそこの家族と交わす何気ない会話には「機微」が生まれた。住宅風呂巡礼にはアフォーダンスがあるのだろう、それが家族写真に独特の表情をもたらし、家族写真撮影がひとつの定番になった。時には、そこのお宅で小宴を催して、一緒に楽しんだ。

きっとこのクインテットからチンチンドンドンと音が鳴り響いているのだ。

そうそう、住宅風呂巡礼って、あれいったい何やってるんですか。と聞かれることがある。いや、それが、つまり、と口ごもりながら、例えば日曜日にゴルフに行くとするでしょ。メンバーを4人や8人集めて、前もってゴルフ場を予約して、それで、ゴルフして、楽しんで、お酒なんか飲んだりもして、健康のためだとか、社交のためだとか、何だかんだ理由を付けて遊ぶ。そのゴルフ場の代わりに、住宅風呂巡礼者は、住宅風呂巡礼のための家を日曜日に予約して、5人ほどのメンバーと一緒に、訪れて、時には、沢山のギャラリーもいたりして、例のごとく撮影を楽しむ。いつも飲んだり食べたりし、そこの家族とのコミュニケーションも楽しむ。そんな「遊び」なんです。

そんな住宅風呂巡礼を続けるには、住まい手の方々の了解とスケジュール調整があって、昨年の12月から今年の11月までの一年間に月1本ずつ合計12回催す計画だった。それで、本来なら10月と11月に予定していた物件があったのだけれど、様々な「事情」が重なって、上手くブッキングが出来ず、そうそう、どちらかといえば、今まで順調にスケジュールが組めたのが奇跡的な出来事だったのかもしれない。

こんな流れになって、「遊び」ゆえに、ここで無理をして、物件を探し、無理矢理なスケジュール調整をするのも気が進まず、そういえば、会社的には、本日は住宅相談会があったのだけれど、設計のタナカくんに住宅相談会はお任せする事にして、住宅風呂巡礼メンバーとのスケジュールを優先し、本日をもって住宅風呂巡礼を一端終える事にした。

そんなこんなで、10月の木村家本舗で催した特別編を正式な10月とし、11月は、設計の林敬一さんの中古住宅を買ってリフォームした自邸をもって最終回とすることで、ハヤシさんの快諾を得て、本日に至る・・・・・。

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ハヤシ邸には、こんなぐるぐる回れる素敵なキッチンがあって、ハヤシさんと奥さんが手料理を作りながら、時には向かいどおしになったり、横の位置関係になったり、平行になったりと、ぐるぐるとキッチンを回りながら、夫婦で料理を用意してくれて、お昼から、ビールやワインで、ワイワイガヤガヤとしたスタート。

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↓ コトバでは表現しきれない、FRPで出来たユニークなお風呂が最終回を飾る。

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↓ エンディングはハヤシ夫妻の写真で締めくくる・・・・・。

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この住宅風呂巡礼での偶然の産物が、家族写真だった。勿論、温泉ソムリエぐっちがお風呂に入るシーンが写真的なメインであるのだけれど、こんな非日常的で、可笑しなシチュエーションを経過したのちに撮影された家族写真には、独特の表情があって、「家族写真」を提供できた事が、住宅風呂巡礼団から住まい手の方々への、ささやかな贈り物とお礼なのかもしれない・・・・。訪問させて頂いたご家族の皆様に感謝です。

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_DSC0910そうそう、この住宅風呂巡礼の家族写真から派生したのかどうか、それは定かでないが、木村家本舗では、カトウさん主宰による「ハニカミ写真館」というイベントを催した。詳細は「2012木村家本舗の5日間」を参照にして欲しいが、期間中に、私たち夫婦も「ハニカミ写真」をIMG_3934撮影してもらった。奥方は写真を掲載するなんて・・・と言っているのだけれど、カトウさん+ハニカミ写真団員へのお礼として、

many thanks!

投稿者 木村貴一 : 2012年11月11日 23:59 « トラブルと工夫 | メイン | 縄文アイドル »


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