2013年07月28日

岬めぐり

「しまなみ海道とびしま海道」DSC02311

岬が3つも4つも連なって先に見え、あの一番向こうの岬を回った向こうに、集落があるだろうとおもい、ペダルを軽快に廻し続ける。ようやくその岬に自転車でたどり着き、期待を込めて岬をぐるっと回り込むと、集落でなく、またその先に3つも4つも岬が連なって見える。急にペダルの回転数が落ちそうになり、心も萎えそうになるのを何とかやり過ごし、今度こそあの岬の先に集落が。とおもって、またペダルを廻し続ける。時折、磯の香りが、風に揺らいで漂う、海と岬。

そうこうしているうちに、空があっという間に、どんよりと曇りだして、ピカッと稲妻が光って、数秒後に、猛烈なスコールが降り出した。自転車を停める場所もなく、そのままスピードを落として走り続ける。前を走るウィリエールのキタムラくんの直ぐ後ろに着くと、後ろのタイヤから、こちらめがけて、水鉄砲のように水しぶきが噴出されて、顔にかかりそうになるのを避けながら走り続けた。メチャクチャに暑い日だったので、キツ~イシャワーを浴びるような感覚で、心地良さすら感じた。速乾性の素材のシャツのおかげで、心身がクールダウンされて、海と岬と真っ黒な空とスコールと自転車と私。

DSC02316どしゃ降りの雨の中、岬を回ると、やっと大崎下島の御手洗町並み保存地区の集落に到着し、遅い昼食を食べることにした。海の記念日、大三島の宗方港から岡村島の岡村港まで8時50分発のフェリーに自転車を積んで出発し、とびしま海道の5つの島をそれぞれぐるぐると一周しながら約80km3時間30分ほどを写真撮影休憩とアイスクリーム休憩を数回しただけで走り続けての、ようやくの昼食だけに、岬の向こうの集落が恋しかったこと恋しかったこと。

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江戸時代の面影をとどめる歴史の街、大崎下島の御手洗。ここは、江戸から明治にかけて、長旅の船乗りたちが心身を休める潮待ち・風待ちの港として栄えた。小さな港町ながら、船宿やお茶屋が立ち並び、当時珍しかった映画館まであり、通りには夜遅くまで三味線が鳴り響き、にぎやかな町だったという。そんな背景もあるせいか、古さの中にどことなく華やいだ雰囲気を感じさせる。

なかなか魅力的な町で、「長旅の船乗りたちが心身を休める潮待ち風待ちの港」にあやかって、自転車旅の心身の疲れを休めるために、じっくりと遊んでも良かったのだが、帰りのフェリーの時間が迫っていて、それに、まだフェリー乗り場まで、12kmほどあって、もちろん、その日は大阪まで車で帰る事にもなっているので、ささっと自転車で町を走り抜けた。

IMG_0035そういえば、前日の日曜日は朝5時30分に大阪を出発して、しまなみ海道の生口島にあるペンション輪空に9時頃に到着し、オーナーが自転車乗りで、ウィリエールのキタムラくんの知り合いでもあって、3人で生口島と大三島をそれぞれ一周80kmほど走る。「私」をご存じの方は、知っての通り、どうみても本格的な自転車乗りにはなり得ず、ファッション的な部分も大いにあって、なのに、超本格的な自転車乗り二人に「強化合宿」だと宣言されて鍛えられ、体育会系とはほど遠い「私」としては、それなりに頑張るのだが、大三島にある何カ所ものアップダウンでは、ガクーンとスピードが落ち、登りに弱いシャチョウという分析結果が発表されるのだった・・・・。

それにしても、大三島での登りのモチベーションがひとつあって、それは伊東豊雄建築ミュージアムが大三島にあるのだと出発の3日ほど前に知ったこと。「シルバーハット」が再建築されて、実物が見られるのは、とっても、楽しみのひとつだった。

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DSC02181写真: 2年前、いちばん最初の「木村家本舗」のアーカイブ。
このころは twitter 全盛でした。
http://www.kimuko.net/honpo/cat92/cat176/

右の写真はうちの家の大きな庇が覆い被さったデッキスペースなのだけれど、おそらく、潜在意識のどこかにシルバーハットの存在があって、そのお陰でこんなスペースをうみだせたのだとおもう。そうそう、ウィリーエールのキタムラくんは、とびしま海道でペンションをするのが夢らしい。自転車で走りながら海に面した土地をみては、ここどう?と語り合いながらペダルを廻し続けた。輪空のオーナーとシルバーハットの下で心地良い海風に心身を癒されながら、こんな空間いいねぇと語っていた。きっと、いつか、シルバーハットのようなペンションが、とびしま海道沿いに出来るのかもしれない・・・。

追伸1
自転車に乗ると、ジェラードが今まで以上に美味しく感じられ、伯方の塩工場を見学した時に食べた、塩を振りかけた塩ソフトクリームが、スイカに塩を振るような感じで、とっても美味しくて、生口島にあるドルチェというジェラード店も並ぶぐらいの超満員で美味。自転車に乗った直後のジェラードリバウンドというのがありそうで、自転車がほんとうにダイエットになるのかどうか疑問・・・・。

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追伸2
大三島にある大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)がエエ神社なのには驚いた。「社号を大日本総鎮守という大地を支配する大神であるとともに海神として航海漁業神として瀬戸内海の海上生活者の尊信を集めてきた。さらに建設業・鉱山業者の信者も多く・・・。」らしい。輪空のマスターの薦めもあって、テープが着いた小さなお守りをヘルメットに貼り付けることにした。

追伸3
お世話になった、生口島のペンション輪空の紹介でもしておこうかとおもう。目の前が海で、今年の初泳ぎは、自転車で走ったあとの、この瀬戸内海の海だった。 そうそう、ペンションに泊まったのは30年ぶりかな。
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追伸4
坂道で、「私」を待つ間にウィリエールのキタムラくんが撮影した岬の写真を掲載しておこうとおもう。この海へ飛び込むような下り坂の気持ち良さは、しっかりと記憶に残っているのだけれど、登り坂では、いつも、遙か彼方を行くお二人に、粘り強く坂道を漕いで、ようやく追いつき、「お待たせ」と言うのだった・・・。
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投稿者 木村貴一 : 2013年07月28日 23:59 « ものづくりのパワースポット | メイン | ある種のエネルギーが「私」の中のある場所に補給されたのか。 »


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