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2013年03月31日

ちょっとしたアドベンチャー

先週の日曜日のコト。イタリアの自転車ウィリエール代理店営業マンのキタムラくんと大阪の川と海と街をサイクリングしている途中、ちょうど神崎川で、海に向かうかどうしようか思案している時の事だった。携帯電話にメッセージがあって、それは「まちのえんがわ」スタッフのアオキさんからで、朝に初めてのお客さんEさんから電話があって、新築の相談にお伺いしたいので、シャチョウ、何時に会社に帰ってこられますか?という連絡だった。それで、午後3時ならなんとか到着することができそう!と伝える。

という訳で、なんとか午後2時過ぎに、「まちのえんがわ」にたどり着いて、珈琲でも飲んで一息ついていると、偶然にも、リフォームのご相談に親子3人のKさんがお見えになった。733973_487146201338476_1414413368_nそれで、黒のスパッツにサイクリングショーツ、黒のウインドブレーカーという、サイクリングの服装のままで打ち合わせをする。流石にヘルメットは脱いだ・・・・。

そうこうしているうちに午後3時になって、Eさんが家族4人でお越しになった。Kさんには事情を説明し、後日に現地へお伺いする旨のお約束をし、申し訳なくもお別れをする。そんな訳で、結局のところ着替える間もなく、黒ずくめのサイクリングウエアーのままで、2階事務所で打ち合わせを始めた・・・。

「それはそれとして」、Eさんは、新規に土地を購入するかどうか思案中で、その土地と既存建物が予想以上に高額で、それで、解体工事やその他諸経費に外構工事の予算を考えると、建築本体にかけられる予算がローコストになってしまう・・・・。さて、どうしたのもか・・・・。そんなご相談だった。

工務店にローコストな住宅を依頼すると、往々にして、可能なかぎり低価格な架構と構造材を使い、可能な限り簡素な素材で仕上げ、収納なども、できたら考慮しない簡素な間取りとして計画しながら、協力会社に超低価格な金額を押しつけて、施工する事が多い。木村工務店では、そうではないが、それでも、そういう「傾向」に陥りやすい。

そこで、ローコストな住宅だからこそ、建築家に依頼して、構造的な工夫や素材感、シンプルな間取りと小さな床面積などなど、設計的な工夫により、「豊かなローコスト住宅」を造れる可能性があって、もちろん、建築家への設計料はそれなりに必要だが、工務店の代表者である「私」の立場からみても、それは価値ある設計費だとおもう。

こんな話をEさんにしながら、何件かの建築家と建てたローコスト住宅の施工例を紹介し、そのうちの「コトバノイエ」を紹介している時に、そうそう、その日の日曜日は、古本屋さんとして、コトバノイエのオープン日で午後5時まで開店しているらしいですよ。とお話したのが、午後4時頃の事だった。Eさんに聞いてみると、今から是非行ってみたい!という、明快で軽快な意向がご主人からブワーンと発散されて、そのエネルギーに「私」が乗っかる形で、大阪小路から兵庫県川西まで、これからすぐに、一緒にお伺いする事になった。

「私」が自分の車に乗って、後ろに付いてきてもらって、誘導するという方法もあったが、それだと、道中に全くコミュニケーションがとれないのが、なんとなく、違和感があった。一緒に車に乗っかって、帰りは電車で帰るのがベストに思えたが、この時点での「私」の服装は60kmほど走ったあとの黒いサイクリングウエアーとスパッツ姿で、流石に、この服装のまま、電車に乗って梅田で乗り換える勇気はなかった・・・。

ところで、Eさんもロードバイクをお持ちで、「まちのえんがわ」の前に停めていたロードバイクを見てウィリエールですね!と仰るほどの自転車通で、打ち合わせ中は自転車の話題で盛り上がったりもした。そんなこんなで、つまるところ、まったく予想外な結論が導き出されて、「私」の自転車をEさんの車に積んで、一緒にコトバノイエまで行って、「私」は川西から小路まで自転車で帰るという、妙な結末。

Eさんの車の荷物室には、前輪と後輪が外されたロードバイクが詰め込まれ、その横にはEさんの乳母車。ご主人が運転手、後部座席には、奥さんと乳飲み子の赤ちゃんと、道中に笑いを振りまく愉快な息子さん。助手席には黒いサイクリングウエアーの「私」が同乗しながら道を案内し、あれやこれやとご家族とコミュニケーションをしながら阪神高速を走る一台の車。今思い返してみても、不思議な光景だったのだけれど、妙に印象に残るドライブだった・・・・。

Eさんにとっては、コトバノイエで、初めて体験する建築家の設計による家。息子さんは家の周囲にめぐらされた縁側的なデッキをぐるぐるぐるぐる走り回りながら、まだ帰れへん!とだだをこね。こんなローコストハウスならエエわと奥様も気に入ったご様子。いちど、この家を設計した建築家の矢部さんにお会いしてみたいですと語るご主人。さてさて、これからEさんの家づくりが、どんなふうに経過していくのか、全く予想はできないが、それにしても、「ローコストだからこそ建築家に依頼する」という選択肢は大いに「有り」だとおもう・・・・。

ところで、コトバノイエで打ち合わせが終わったあと、ひとりで、自転車に乗って川西の、一の鳥居から大阪小路へ向かう「私」。流石に、池田豊中辺りは寂しかったなぁ・・・。十三までたどり着いて、ビルの明かりやネオンが見えてきた辺りから、心強くなってきて、夜の御堂筋を走る時は、うきうきしてきたぐらい。
自転車地図

考えて見れば、ちょっとしかリフォームしないのですけど、お頼み出来ますか?と言ってちょっとした勇気をふるってお越しになったKさんも、取り敢えず話を聞いてみたいと、やっぱりちょっとした勇気をふるって朝からお電話を頂いた上に、一緒に川西のコトバノイエまで「旅した」Eさんも、それに、夜な夜な兵庫県川西の一の鳥居から大阪小路まで、35kmを自転車で「旅した」私も、それはそれなりの、「ちょっとしたアドベンチャー」だとおもうのです・・・・。

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2013年03月24日

旅は道連れ建築行脚

そもそもの始まりは、Forwad to 1985 energy lifeという、省エネのイベントが埼玉であって、建築の設計をしている48歳のウエノくんと明石で工務店をしている35歳のオオツカくんの3人で大阪から車で埼玉まで出掛けて参加した。それが珍道中で、延々とあれやこれやと喋り続ける二人に、突っ込んだりしながら、往復の合計18時間、一度も会話が途切れるコトがなかった。あまりにも愉快な旅だったので、次は3人で日帰りの建築巡礼をしようよ!というコトになった。

暮らし省エネアドバイザー試験というのがあって、前々回のブログでぐたぐたとその様子を書いたのだけれど、とりあえず、ぎりぎりの成績で、なんとか合格してホッと胸をなでおろした次第で、「それはそれとして」、とにかくその時に、久しぶりに3人が一緒になって、じゃぁ、3月20日の祝日に建築巡礼をしよう!と、お互いのスケジュールを強引に調整して決定した。「何かを為すためには、まずスケジュール調整から」なんていうコトバがリアリティーを持って理解できるようになってきたのは、50歳を過ぎてからのコトだとおもう・・・・。

金沢の谷口吉生設計による鈴木大拙館と同じく谷口吉生設計による片山津温泉街湯が今回のメインテーマで、いわゆる「谷口吉生モード」な旅なのだ。それで、そうそう、建築家のヤベさんと、いつか谷口吉生を見に行きましょうよ。なんていう会話があって、それが脳のどこかに引っかかっていて、それでお誘いすると、ご夫妻で参加しますよ。という返事だった。

車は6人乗りのミニバンで、あと1席空いているので、お誘いする順序があるのかどうか、それは定かではないが、いままでの流れから判断すると、まずは、お施主さんでもあるコトバノイエのカトウさんを駄目もとでお誘いすると、参加しますよ! というちょっと意外な返事だった。この20日は水曜日の定休日と祭日が重なったカトウさんにとっては特別な祝日だったらしい。そんなこんなで、この一連の経過をウエノくんとオオツカくんにフェースブックのメッセージとして送ると、いいですよ!と快い返事と共に、「旅は道連れ」ですから、というウエノくんからのメッセージがあった。

「旅は道連れ」かぁ。このコトバは、久しぶりに聞くコトバで、なぜか、とっても新鮮な印象を「私」にもたらした。「旅は道連れ世は情け」。故事ことわざ辞典によると・・・・

【意味】
旅は道連れ世は情けとは、旅をするときに道連れがいると心強いように、世の中を渡っていくには人情をもって仲良くやっていくことが大切だということ。
【注釈】
昔は情報量も少なく旅先に知人などもおらず、今と違って旅は大変不安なものだったことから、旅に同行者がいるということはとても心強く感じられる。同様に、人生の旅も人の情けや思いやりがあってこそ心強く感じられるものだし、助け合う気持ちが大切だということ。
単に「旅は道連れ」ともいう。
『江戸いろはかるた』の一つ。

写真: 男四人の日帰り建築行脚の旅。最終的には仕事の都合でヤベさん夫妻は参加出来なくなって、ウエノ、オオツカ、カトウ、キムラの男だけの4人旅になった。その旅の様子を、オオツカくんはフェースブック上で、「男四人の日帰り建築行脚の旅」と表現した。

あんぎゃ【行脚】とは、中国禅僧行雲流水のごとく天下を遊行すること」をいうのだそうだ。確かに「行雲流水」のごとく建築を見て回る旅だった。大阪小路 → SANNA:金沢21世紀美術館谷口吉生:鈴木大拙館中村好文:モノヒト谷口吉生:片山津温泉街湯堀部安嗣:イヴェール・ボスケ → 大阪小路 と、谷口吉生以外は、現地でのフェースブックを通じた情報などから、行く雲のごとく、流れる水のごとく、見学場所を決定し、昼食場所を決め、お茶をし、さまざまな会話繰り返し、男4人でお風呂に入り、男4人でケーキを食べ、男4人でぺちゃくちゃ建築談義をし、それは行雲流水のごとき建築行脚というより、女子会のごとき「旅は道連れ建築行脚:谷口吉生編」だったのかもしれない・・・・。
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そうそう、鈴木大拙館で、4人が印象深く受け止めたコトバがあって、鈴木大拙の口癖だったそうな「それはそれとして」。おそらくこのコトバは、ひとに「リセット」ボタンを押すような役目を担うコトバなのだろう。そこで、鈴木大拙さんにあやかって、そのコトバを発してみようかとおもう。「それはそれとして」かねてより躊躇していた、ウィリエールというイタリアのカーボン製ロードバイク(自転車)を購入したのが、この金曜日のコトだった。

「まちのえんがわ」ワークショップに参加してくれているウィリエールの日本代理店、服部産業の営業マンで自転車乗りでもあるキタムラくんは、「旅は道連れ世は情け」的なひとなのか、「私」にロードバイクの魅力と面白さを体験させてくれて、それまで、全く何の興味もなかったロードバイクの遊び方と楽しみ方を垣間見る。そんな訳で、本日の「私」の初乗りサイクリングを企画してくれて、神崎川の「なにわ自転車道」をメインに61kmほど走る、まぁ、いわば「神崎川モード」なサイクリング。

サイクリング地図2013年3月24日

当初、京都まで、という予定もあったが、神崎川で、京都の山へ向かうより、大阪の海に向かうことを選択し、つまるところ、大阪の川と海と街をサイクリングし、54年間大阪の下町に住んでいて、小路布施近辺をママチャリで走る以外、自転車で走った経験がなく、それで、今までまったく見たことのない大阪の光景に出くわして、意外と大阪もエエ街やなあ・・とおもったりした。ところで、大阪の街をサイクリングすると随所で、うちで施工した現場近くを通過することになって、ちょっと気になって立ち寄りながら何度か記念写真を試みた。撮影はしなかったが立ち止まった家も多数。この地図の近辺で、うちで施工したお施主さんが、このブログを読んでおられるのなら、さりげなく、家の前を通過してますから。そうそう、四天王寺さんでは、建築家のデザインエンジンの藤原さんに、偶然お会いした。

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キタムラくん曰く、結局は、木村工務店の建物探訪になりましたね・・・・と。そういわれれば、今日のサイクリングは、「旅は道連れ建築行脚:サイクリング編」だだのね。

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2013年03月17日

図と地

建築は背景を造ること、暮らしの背景を造ること、という捉え方があって、主役はひとが営む日々の暮らし。建築には、「図と地」の関係性があって、建物を造るのか外部空間をつくるのか、どちらが主役で脇役なのか、主と従や図と地がそれぞれを補完し合いながら内と外が一体になったスペースを創造する。下の平面図は代官山のヒルサイドテラスで、図と地の美しい関係性の教科書のような建築。
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マイルスディビスというトランペッターは様々な音楽を創造したのだけれど、1960年代前半頃までの自分自身がトランペットを吹きまくるスタイルから、1970年代は自分自身は、ほんの少ししか吹かないスタイルになって、ほとんど吹かないのに、それでもマイルスミュージックになっているという、ある種のオーラを曲の中に宿すような手法があって、そんなのを聴くと、なんで、こんな雰囲気が流れるのだろうか・・・と、好奇心のようなものが湧いてきて、何度も繰り返し聴いてしまう。

今日は、「まちのえんがわ」ワークショップの開催日で、昨年も主催してくれた絵本作家の谷口智則さんと絵のコラボレーションするワークショップだった。谷口さんが普段描いているのと同じ黒い紙やアクリル絵の具を使って、それぞれが自分のフィーリングで動物の絵を描き、その途中で、谷口さんがサルの絵をその参加者の皆さんが描いた絵の中に付け加えて、最後はそれぞれがその絵を完成させる。そういえば、サルが嫌だというひともいて、パンダとか別の動物も。

それは、建築の図と地の関係性のように、背景と主役の関係、主役と脇役の関係、絵を描く私と谷口さんとの関係が、渾然一体となりながらひとつの絵として成立するのだろうか・・・・。ほんの小さなスペースしか占めない谷口さんの描いた絵ではあるけれど、それはやはり、谷口さんの作品としてのある種のオーラを放つのだろうか・・・・。何よりもこの一連の作業が参加者と谷口さんにとって楽しい時間となり得るのだろうか。こんなコトが、今回のワークショップの大きなテーマだった。

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30分ほど谷口さんのライブペインティングによるレクチャーのあと、それぞれがテーブルに別れて描き始める。沢山の子供達が参加しているのに、誰もが無言でシーンとした空気感が1時間近く辺りを覆う。まるで、カニを食べている時みたい・・・。黙々と食べるように、全員が黙々と描いているわ。っと言ったのは大阪のお姐さん。流石に上手いこと表現するね・・・・。

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記念撮影やサイン会などをしながら、完成した人から随時解散になったのだけれど、子供さんたちや、オトナのひとたちも、皆が笑顔でお別れの挨拶をしてくれたのが、「私」のなによりの励みだった・・・。で、この話が終わる予定だったのだけれど、今回はうちの奥方がワークショップに参加し、前回のブログにも少し書いた、フランス帰りで、お仏蘭西に少々かぶれ気味で、パリのお店か何かを画くのはエエのだけれど、ひとり時間内に終わらず、家に持ち帰り、このブログを書く横で画き続けて、いま完成したらしい・・・。

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うちの夫婦の「図と地」の関係性はどんなんかなぁ・・・と考えてみたのだけれど、まぁそんなことより、参加者の誰もが熱中したワークショップだったことは確か。皆さんthanks!

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2013年03月10日

深夜の高速道路

土曜の夜、8時30分、会社を出る。応接室で、お客さんと打ち合わせ中だったが、設計のタナカくんとヤマガタくんにあとの事はお任せして、車で出発する。ららぽーと横浜で、と言ってもグーグールでしか見たことがなかったのだけれど、とにかくそこで、アーバンリサーチ・ドアーズの店舗工事をしていて、スチール、大谷石、漆喰、無垢床材、古材、塗装、といううちのレギュラーメンバーの職人さんたちが大阪から横浜まで出張している。

なんばパークスのアーバンリサーチ・ドアーズは設計が京都の森田さんで、うちで施工した服のセレクトショップなのだけれど、いわゆる自然素材を使った手仕事による現場施工をしていて、「なんとなくそれが何なのかはっきりとは理解できないかもしれないけれど、手仕事の空気感が店舗に漂っているのが大切なんです」みたいな事をアーバンリサーチの社長さんが仰って、同じような雰囲気を持った店をあっちこっちに造るので、どぉ、行ってよぉ。と頼まれたのが昨年の秋。

頼まれるという事は大変有難いことなのだけれど、現地で初めて会う職人さんを使うのには、かなりのリスクがあって、なんばパークスで施工した職人さんたちが遠方まで行ってこそ、「手仕事」の信頼に応えられるわけで、はじめは、私も、それに現場担当のムラカミさんも、それに職人さんたちも尻込みしていたのだけれど、アーバンリサーチさんの「勢い」がそうさせたのだとおもう、ほな、いっちょう挑戦してみましょか。ということになったのが昨年末の事だった。

一部が営業中なので、夜の10時から翌朝の7時までが施工時間で、朝の7時までに横浜の現場まで到着していないと、何のために横浜の現場まで来たのか意味ないじゃん。なので、電車より、車を選択する。というより基本的にひとりで長距離を運転することが好きなのだ。そんな訳で、出発したものの、すぐに空腹な事に気付いた。

日曜日の休みを利用して横浜まで出掛けたのには、家族的な事情が絡んでいて、高校生の次男が修学旅行で海外旅行中で、その次男の修学旅行を利用して奥方も友達とふたりで海外旅行に出掛けてしまって、まぁなんと段取りのエエ奥さま。ひとり取り残された旦那さんの「私」。そうそう、このブログの読者の方なら、「出発直前奥方パスポート見あたらない事件」をご存じの方も多いとおもうのだけれど、今回は、1週間前から、毎日、パスポート大丈夫か?と、挨拶代わりのコトバを放り投げると、大丈夫に決まってるわ。みたいな関西人のノリがあって、そんなこんなで、ひとりぼっちの日曜日なら、家にいるより3人が別々に出掛けてみようかと・・・・。

家族不在で、急ぎで、空腹を満たすための通り沿いにある牛丼店は有難い。そんなのが狙いなのだろうが、そういえば、この4年間ほど、関西大学の木造設計製図の後期授業のお手伝いに通っていて、お昼の時間帯の混んだ学生街で、手短に空腹を満たすために、牛丼を食べるようになって、それまで、数回ほどしか食べた事がなかったのに、利用回数が少々増えた。牛丼食べると、ちょっとした侘しさも一緒に食べてるような気もする。

キャンピングカーに乗っていた時は、夜の9時や10時頃に出発して・・・というパターンが多かったので、夜の9時頃から夜中の1時頃までに走る夜の高速道路が好きで、それはなんともいえないムードの孤独感がじわっと忍び寄ってきて、そんなムードの中で暗闇の中、一定スピードで数時間走り続けると、車のゲームのように、自分が止まっていて景色が流れていくような錯覚にとらわれる時間帯があって、それがちょっとしたナチュラルハイを伴う。景色の流れと共に、時々いろいろな思考と感情も走馬燈のように流れて、心配事であったり、くだらないギャグのようなコトバであったり、会社のコト、家族のコト、設計のコト、哲学的なコトなどなど・・・。それで、こんなのと共に、独特の「旅」の高揚感のようなものも湧いてきて、それが例の夜の時間帯や午前4時から午前6時前後の明け方の時間帯だったりする。

久しぶりに味わうちょとした孤独感と旅ムードを満喫しながら、深夜の新名神や湾岸自動車道や新東名を快適に走りながら、午前0時半頃に、足柄SAに到着し、唐突に襲ってきた眠気に従って、車で仮眠をとることにする。サービスエリアで仮眠をする時は、便所や店舗のそばに停めると、多くの車と人の出入りが頻繁で、エンジンの入り切りやドアの開け閉め、人のざわめきなどなど、落ち着かなかったりするので、トラックが沢山停車している間に車を停めて、トラック野郎達と一緒に仮眠をする。それが、ちょっとした気分だったりするのだ。

偶然にも停車中にフェースブックからのメッセージがあって、そんなやりとりをしているうちに、30分ほど、眠れないままに、うとうとして、気がついたら寒さでなんとなく目が覚めて、あっ、寝ていたな。と知ったのが午前3時30分だった。それでエンジンをかけて暖房を効かすと、今度は深く寝入って、再び目が覚めると午前5時30分をすっかり回っていた。きっと本当は前日の土曜日の打ち合わせで疲れていたのだな・・・。それよりも寝過ごしたコトに少々慌てて、トイレをすまし、ドリップ珈琲を買って、午前7時までに到着せねばと横浜を目指す。

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現場担当のオオムラくんの案内で、工事中のエピソードを教えてもらいながら、搬入経路などを見る。丁度大工さんたちは作業を終えて掃除中だった。映画で見たような、戦地で頑張る兵士を慰問に来た将校のような配役で、お互いが瞬時に役者になりきりながら、握手をかわしたり肩を叩いたりして、再会と激励をかわす。横浜の大阪人なのだ。

ワンルームマンションと3LDKのマンスリーマンションを借りて、野郎たちが1ヶ月間の共同生活をしていて、それが独特のむさ苦しい雰囲気なのは、想像通り。まちのえんがわワークショップで左官ワークショップを主催してくれた山本左官の職人さんたちも深夜の漆喰塗りを終えて熟睡中だった。

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そんなこんなで、午後8時頃には大阪に帰り着いていて、このブログを書くいまとここ。横浜見物をする気分などまったく湧いてこなかった小旅行をこうして振り返って見ると、高速道路を運転するその行為のなかと、流れていく景色と一緒に流れる心情風景の中に、現場の無事を祈る気持ちも一緒に流れていたのだとおもう・・・。

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2013年03月03日

相談事

本日日曜日に月1回の住宅相談会があって、午前中のKさんは、大阪市内でご主人の実家を建て替える計画で話が進んでいたが、様々な事情が重なって、暫くの中断の期間があり、本日久しぶりにお会いすると、奥さんの実家近くで新築か中古住宅をリフォームしようかという考えになっていて、それと共に、奥さんのご両親や妹さんやご主人のお母さんが近くに「集まって暮らす」というライフスタイルのことが話題になった。

高齢化社会やシングルライフなどライフスタイルの変化が顕著になってきて、核家族化なんていう時代から、シエアーハウスのように、今までのような濃い血縁関係とは違う、何か別の「縁」によって、集まった人たちが一緒に暮らすライフスタイルが見直されていて、そういえば、うちの長男も東京で4年間ほど高校時代の同級生と2DKの部屋をシエアーして住んでいた。エネルギー消費から見ても省エネなライフスタイルになるそうだ。

そうそう、うちの奥方は、老後は、女子高時代の同級生6人ほどでワンルームマンションを建てて、一緒に暮らすのだという。それぞれ、メチャクチャ我が儘やけど、仲もエエし、喧嘩もするやろうし、でも「集まって暮らしたい」から、そのための設計はどうしたらエエのか、今から考えといて!と云う。きっと「私」も含めた旦那さん達は皆、既に死んでいる想定か、もしくは放り出すのか、どちらかなのだ。おとなしくエエ子やったら仲間に入れてもエエけど、まぁ男もひとりぐらいいてないと怖いし・・・。それよりオーナーとしてお金出す役目やわ。と好き放題。

お昼からは矢部達也さん設計のリフォーム工事を概算見積からお手伝いしていて、出来上がってきた実施図面をお施主さんと一緒に説明受けながら、あれやこれやと打ち合わせをする。鉄骨ALC建物の断熱リフォームが大きなテーマのひとつで、打ち合わせで窓に障子を付ける話しになった時、この下の表を思い出したので、話題にする・・・。

窓付属部品

2月28日に「暮らし省エネマイスター」という試験があって、それは、知り合いの野池さんが主催する一般社団法人 Forward to 1985 energy life によるテストで、試験管には知り合いのウエノくんやマイタニさんもいて、そんな近しい「縁」があるので、もちろん試験を受なければならないような必然性もあって、でも、軽~い試験だとおもって行くと、これがメチャクチャにハードな試験内容で、全ての問題が読みきれないほど問題量が多く時間が足りない始末。記述試験もあって、ここ10年ほど、パソコンばかり使っているので、メモ程度の文字しか書いたことがく、書き出して、消しゴム使って訂正しているうちに面倒くさくなってきて、カットアンドペーストや訂正や漢字変換が出来ない状況を嘆く始末で、こんなまともな試験は20代に受験した一級建築士の受験以来。、久しぶりに安易な50代「私」を後悔したね・・・・。

その試験で、この表があって、断熱アルミサッシュLowEペアガラスが2.91とい熱貫流率で(一番上右から2番目)数字が小さいほど高性能。それが、普通アルミサッシュペア-ガラスに障子をつけると2.53(一番下左から2番目)となって断熱LowE以上で、シングルガラスに障子を付けても3.00(一番下左端)、あまり変わらない数値で、「障子」の断熱効果というのをあらためて認識した次第。

3組目は、マンションリフォームのご相談で小さな男の子と女の子を連れての4人家族でお越しになった。イケアの家具を使ってリフォームしたいというご相談。そういえば、うちの加工場には、いろいろなお施主さんからイケアの家具が沢山搬入されて、それを現場に運搬し、大工が取り付けている昨今。そういう時代なのだ・・・・。

夕方の4組目の方は家族3人でお見えになって、ヤベさん設計による新築工事で、木造で施主支給材料を交えながら、どうやってコストダウンしようかというご相談で、思い起こせば、お昼からのお客さんは、どの方もインターネット購入の施主支給材料を交えながらの家づくりで、こういうニーズに、メンテナンス対応も含めて、どのように応えていくのか、これからの工務店の課題だとおもう・・・・。

そんなこんなで、なんだか、久しぶりに、人疲れしたのだけれど、このブログを書きながらこうして振り返って見ると、こういう「相談事」はやっぱり楽しいね。thanks!

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