2016年11月06日

元町高架下

以前に、神戸元町の高架下を歩いたのは、ハッキリとした記憶がないが、確か、阪神淡路大震災が起こる以前の事で、3日の木曜日の祭日の朝に、奥方が、唐突に、神戸に行こうと言い出した。それなら、久しぶりに、高架下にしようと。

近鉄電車と阪神電車が繋がって、奈良から難波を経由して三宮まで行けるのは、ちょっと不思議な感覚で、便利なようだが、今まで一度も利用したことがなく、地下鉄小路を使う「私」は、難波から梅田に出てJRや阪急電車を使って神戸方面に行くことの方が圧倒的に多かった。地下鉄で鶴橋に出て、近鉄線に乗り換えると、そこからは直通で三宮まで行けるわけで、JRより少し時間はかかるが、座ったまま行けるのは、やっぱり便利。ところで、奈良から難波を経由して神戸三宮に行く人って、多いんですかね。一日で、朝の奈良公園を歩き、昼の難波に降りて道頓堀をブラブラし、夕方の三宮を遊ぶというのも関西圏の文化の違いを肌で感じられて面白いかもしれない。

三宮駅から高架下を元町駅に向かって歩くと、まず、「靴」が目に飛び込んでくるのが、神戸の感覚で、大阪との違いだろう。きっと奈良では、靴や服を感じることはないに違いない。高架下にしては綺麗な内装のお店で、メーカーなしの革のトートバックを売っていて、そんな革製品が置いてあるのも神戸らしいが、手ぶらで出てきてたし、ボッテガとかエルメスとかゴヤールとかブランドものは手に届く値段のはずがなく、似合いそうにもないので、手頃な安い値段で、奥方のすすめもあって、何となく買って、そのまま肩にかけて歩いた。

三宮から元町までは、そこそこの人が歩いていたが、元町から神戸駅に向かう高架下はガラガラで、シャッターも降りていて、怪しい感じの店が多いが、感覚的には、こっちの方が断然楽しい。古着を見る。ネルシャツがいっぱい売っていて、最近、着ることほとんどないが、何となく、エエ感じのチェック柄を、まとめてオトナ買いでもしてみるのが、気分なんだろう。IMG_1945レコード屋も数件あって、雑然と置いてあり、中に入っていくのもタイヘンで、見るのにも疲れてしまうが、おもいのほか値段が高く、そういえば、先日の枚方のTSUTAYAでも、レコードの値段の高さに驚いて、うちのあのレコードが12000円、えっ、これ、5800円!。と、価値観とブームのサイクルは不思議なもの。ところで、最近の我が夫婦の買い物時の価値観とブームは、「マゴ」ちゃん用の服とおもちゃで、こんな価値観を持つとは思ってもみなかった。

午後1時もかなり過ぎていて、お昼をどうしようかとおもっていたところに、64というカレー屋さんに遭遇して、キーマカレーとココナツミルクのあいかけを食べる。たまにカレーを食べたくなると法善寺にあるインデアンカレーに行くが、奥方は、私の食事に困ると、どうも、カレーを食べさせておく傾向にあり、ま、「私」は、日本人的な普通のカレー好きなんだろう。

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カレーの旨味が口の中に残りながら、暫く歩くと、MR BONDという服屋さんに出会す。まだ、店があったのだ。高校生の頃にイナモトくんやナンブちゃんと何度か行ったが、いったい何年ぶりだろう。ふらっと入ると、奥に、IMG_1966ハリスツィードのタッグが入った、ツイードの3ボタンのIVYジャケットがあり、試着してみる。高校生や大学生の頃は、ハリスツィードと書いたあのタッグに憧れたもので、昔はあまり似合わなかったが、なんとなく、着てみると似合う歳になってきて、こんなオールドな感じも新鮮で、それに、ここのお店で、昔の形をそのまま復刻して、MR BONDのタグを貼って数着作っているらしく、そういうのが、いまの時代性を感じる、ものづくりのひとつなんだろう。

シェラデザインの64のマウンテンパーカーが何着かハンガーに掛かってあり、これで3着目ですわと70歳近いひとが買いにくるらしい。ケルティーのトートバックとか、ちゃんとしたフィッシャーマンズセーターや、前後どこを前にしても着られるクルーネックの漁師セーターもあり、試着すると、とっても暖かで、なんだか昔のポパイという雑誌の品揃のようで、最近、また、こういうものが、エエように見えてくるのが、価値観のサイクルなんだろう。店主は2代目だそうで、あれやこれやと話をしながら、震災を経て、生き残って行く、高架下の老舗の服屋さんに魅力を感じた。

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シャッターが閉まっているお店がどんどん増えていくなかを暫く歩くと、コンバースの靴だけを売っているお店の柿本商店の前に着くと、若いひとでいっぱいだった。別に、買うつもりもなかったし、高校生の頃か、大学生の頃か、ジャックパーセルのつま先のスマイルラインが入ったホワイトを履いていたことがあったが、それから何十年も履いたことがなく、そんな程度で、何気なく見ていると、すべて真っ白のレザー製のジャックパーセルMIDというのがあり、思わず試しに履いてみたくなった。最初のサイズは小さくて、ツーサイズ上しかなく、ところが、中敷きを入れて履くと横幅もぴったりで快適だったし、接客してくれた、おじいさんとおばあさんの会話の軽妙さに笑いながら、中敷きをサービスしてくれるというオマケにつられたわけでもないが、震災を乗り越えて、コンバースだけで、50年以上も続く、妙な魅力に乗っかって買うことにした。

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元町の高架下の終わりまで歩いた後は、アーケードを歩いて三宮まで戻ることにしたが、昔風の服屋さんや靴屋さんやなんだかんだのアーケード下の雰囲気は、大阪のアーケードとは違う独特のレトロ感のあるエエ雰囲気で、高級店が並ぶ路面店の感じも異国的でもありエエなぁとおもうわけで、中華街の勢いも凄く、高架下、アーケード、中華街、高級店とそれぞれの異なる雰囲気を通りを歩きながら一気に見られるのが神戸の魅力のひとつなんだろう。

投稿者 木村貴一 : 2016年11月06日 23:59 « 民主 | メイン | ガラスの茶室の縁。 »


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