2004年01月11日

お正月には凧上げて

 今年の大阪の元旦の朝は快晴で、暖かく、心地よい日和であった。
突然、次男(6歳)が凧揚げをしようと言い出した。手渡されたのは、紙で作られた奴凧ではなく、 ライフというスーパーで買ってきたドラえもんの絵が書かれたゲリラカイトだった。ちょっと味気ない気もしたが、 新聞紙で足を作る必要もないので、気軽に応じて、会社の屋上(3階)に上がり、50mの凧糸をドラえもんの凧にくくりつけた。

 穏やかで、真っ青な空、そして優雅な雲、東側に見える生駒さんの方角には月も浮かんでいた。伊丹空港に向けて、 高安山のあたりから着陸態勢に入る鮮やかな飛行機が何台か通過した。西の大阪湾から東の生駒山に向けて頃合いの良い西風が吹いていた。 気楽に凧を飛ばしてみた。すると、みるみると凧が揚がっていった。次男が興奮して「上がった上がった」と叫んだ。彼にとっては、 初めての体験だった。いやぁ、ほんとにみるみると上がっていった。予備に持ってきた100mの凧糸を慌てて繋いだ。 あっという間に糸を使い切ってしまった。

 糸に伝わってくる「風の力」が強くて一緒に飛ばされてしまいそうな感じがして恐ろしくも感じるのだが、その風を感じているという、、 そのことが、ほんとうに心地よかった。まるで凧糸が自分のへその緒のような感じで凧と繋がり、自分自身が大空に飛んでいるような感じだった。 何よりも、冬の澄んだ青空に浮かぶ凧の姿と、着陸態勢に入っていく飛行機の姿と、昼間に浮かぶ月のコントラストが絶妙だった。そして、 遠くにビルが建ち並ぶ姿と足下に連なる長屋の屋根の姿を居心地良く眺めた。

 次男が凧糸をつかんで興奮している・・・・。
「うわー、おもろいなぁ・・・・」
「気持ちええなぁ・・・・」
「楽しいなぁ・・・・」
「飛行機にぶつかりそうやナァ・・・・」

 携帯で、妻を呼んだ。凧の姿と次男の喜ぶ様子を見て嬉しそうだった。
長男(17歳)も呼び出した。次男とけんか腰で凧糸の取り合いをしながら入れ替わった。
「凧揚げってこんな面白いもんなんかぁ・・・」
「風の力って凄いなぁ・・・」
「凧揚げって、生まれて初めてやぁ・・・」
「何時間でもこうしてられるなぁ・・・・」
そう言えば、長男が小学生の頃はバブル期でもありコンピューターゲーム真っ盛りの頃だった。一度も凧揚げをしたことがなかったなぁ・・・。

 私の父や母もやって来た。久しぶりに大空に上がった凧を見て、嬉しそうだった。父と母が凧糸を持った。 年甲斐もなく興奮して大騒ぎをしている。思い返してみれば、私が小学生の頃にも、同じように、この場所で父に凧揚げをしてもらったのだ。

  糸を通じて伝わる風の力・・・・・。

 自然の力を五感で感じる瞬間は、ほんとうに心地良い。
私達が造る建築も「光」や「風」や「臭い」を五感で感じられる住まいでありたいと願う。

投稿者 木村貴一 : 2004年01月11日 10:17 « 暖炉 | メイン | 会社の年始 »


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