2015年12月06日

夜明け前

早朝6時過ぎ、あたりはまだ薄暗く「夜明け前」のエエ感じ。何ともいえない秋冬の寂しげなムードの中、久しぶりに自転車で十三峠を往復してみる。1ヶ月ぶりの運動で、ペダルを回すとちょっと嬉しい気持ちが湧いてきて、それにしてもなんだかんだ朝が小雨だったり、土曜の夜が遅くなったり、早朝から所用があったりと、そんなちょっとした内的ブツクサに耳をかざず、少し強引にでも、「とにかくやり続けないと」、継続なんてできないもので、ま、「続ける」というのはそんなもんだなぁ....という内的ブツクサを後方にすり抜けさせながら夜明け前を疾走した....。

今日は日曜相談会の日で、そういえば設計のタナカくんも最近ランニングを始めたらしく、都島の自宅から会社まで10kmほどをランニングでやってきて、それから打ち合わせに望んだようで、そんなこんなで、二人で呼吸量をいっぱいに増やしてから日曜日の打ち合わせを始めたわけで、きっとお互いにこうして、仕事と肉体と精神のバランスを取ろうとしているのだろうね。

午前中のAさんは、ご夫妻と小さなお子様連れでお越しになり、最近分譲された土地を購入予定で、奥さまが、在来工法で構造設計をきっちりしている工務店に依頼したいという事で弊社の話を聞きにこられた。もう何十年も木造2階建ての新築工事でも構造設計事務所に構造設計を依頼していて、それは、基礎の適正な大きさと鉄筋量を知りたかったり、屋根の小屋組の適切な梁の大きさや木組みのバランスを知りたかったりし、開口部を大きく取りたい時もあり、また吹き抜けを取りたい場合もあって、そんなさまざま要件のなかで、当然ながら安心安全な構造にしたいわけで、それには構造設計者のアドバイスと計算は重要だとおもう。

そうそう、在来木造の仕口が断面欠損が出来て弱わくなるので、仕口を金物で継ぐ工法の方が強いですよ。という営業トークを聞いて、在来木造に不安を抱いたそうで、確かに金物工法はラーメン構造となる良い工法だが、その金物を使い構造設計をしてもらうための費用と利権関係があって、同じように構造的な費用が発生するのなら、伝統的な在来工法の構造設計費に費用をかけて、在来工法による自由度の高い設計を模索していきたいというのが、木村工務店の方向性なのだろう。

お昼からのBさんもご夫妻と小さなお子さま連れでお越しになって、この方も土地を購入予定で、ご主人が、組織事務所で大規模な建築設計をされていて、木造住宅の経験は少なく、自分で計画されたごく簡単な計画案を持ってお越しになった。建築家の伊礼さんの家が好みであるという...そんな話題を中心にしながら、2階LDKの屋根の形と、どれぐらいの木の量を見せるのか、「低い室内高」が好みであるとか、そんなことをお互いに確認したりし、木造2階建て住宅として建築できるように図面化しながら概算見積を目指す事になった。

午後3時からのCさんもご夫妻とお子さま連れでお越しになって、中古マンションを購入したリフォームをお考えで、奥さまは、うちで施工したお宅の奥さまの同僚で、こちらはハウスメーカーの設計をされているそうで、持参された不動産用のマンション図面をコピーし、それに修正液を使って、いまの間取りを消して、新しいリフォームプランを設計のタナカくんが即興で手書きしながら、アーダコーダ、ワイワイガヤガヤと4人のコトバが飛び交って、その場でプランを一緒に作り上げた。その背後ではお子さまが模型やおもちゃで遊びながらうろちょろしていて、こんな雰囲気の中で、セッションのようにして生まれてくるプランには、独特の喜びでがあったりする...。

今回は3組とも小さなお子さまが一緒で、打ち合わせの最中に、お子さまが遊んでいる、ちょっとしたガサガサした雰囲気が、適度なバックグランドミュージックになって、そんな雰囲気の中で一緒に考えたりするのが、意外に良かったりし、そんなように感じるのは、歳のせいなのかもしれないが、それより、ほとんど、酸欠になりかねないほど濃厚な打ち合わせが3本続いたのをなんとなく乗り越えられたのは、タナカくんも私もお互いに、ランニングと自転車で呼吸量を増やしておいたお陰に違いないと、そう思うことにしようとおもう...。

投稿者 木村貴一 : 2015年12月06日 23:59 « 風邪の心象 | メイン | まな板のカニ »


Share (facebook)