2011年07月10日
端居(はしい)する。
「室内の暑さを避けて縁先や風通しの良い座を占め涼をとることをいう。 また縁先から水が打たれて涼しげな庭の風景を楽しむことや冷房設備が一般に普及した今日においても風呂上がりの夕方など団扇を使いながらの端居は格別である。 」
http://www.a.zaq.jp/haiku/07/4c/4c_003.htm「家の端近くに出て座っていること。特に夏、涼をとるため縁先などに出ること。」http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/175873/m0u/%E3%81%AF%E3%81%97/
「夏、縁側などに出て涼を求めてくつろぐこと。「端」とは家屋の端で、つまり縁側のようなところ。夜分とは限らないが、夕方や夜のことが多い。風呂から上がって浴衣に着替え、涼しい風にあたってほっとするひとときである。「納涼(すずみ)」は外に出て涼を求めることが多いが、端居は家にいて涼を得るのである」 http://kigosai.sub.jp/kigo500a/305.html
「端居」というコトバを知る。恥ずかしながら、全く知らなかった。家の便座の前の壁に貼ってある24節気カレンダーに「端居」とあり、いやぁ、おそらく、去年も、それに一昨年も、そのコトバが書いてあったのかもしれないが、きっと、私の脳ミソは、興味のある情報しか受け入れようとしない、都合のエエ脳だったのだ。全く、そのコトバを気にとめていなかった。
もちろん、風通しの良い家への意識の芽生えは、数年前からハッキリとあって、今にして反省すると、それは、スタイルとして模索し、楽しんでいる程度だったのかもしれない。何と言っても、これほど深刻な原子力の問題と向き合わう機会がないと、「端居」というコトバを本気で考えて、クーラーを出来るだけ使わないような生活を始める気にはならなかっただろう・・・・。
現場で端居する。土曜日。炎天下の中、天王寺区でリフォーム工事のお引き渡しがあり、設備業者が集まって、器具説明をする。涼しい居場所を求めて、それぞれが、ウロウロする。家の前の、高いマンションに囲まれた3mほどの道路に、なぜか風が、勢いよく通り抜ける。そこに数人が集まって、涼む。昔のヒトが、道路に床几(しょうぎ)などを持ち出して、夕涼みした光景を思い出した。クーラーがまだ設置されていない状態なので、あちらこちらの窓を開け放つと、確かに風の通り抜ける「端」があって、設計のカワモトくんと現場監督のタツタくんと、そんな居場所を見つけては、涼む。いやいや、端居する。
家で端居する。日曜日の午前中、家の中の涼しいところを見つけて、端居する。うちの家は2階にLDKがあって、それに、天井の断熱材は、今の基準からすると低く、たいして入っていなくて、その上、天窓もあって、暑い。先日、お引き渡しをした戦前の長屋では、天井に155mmの断熱材を入れ、土壁の外側に断熱材をはり付けて、いわゆるQ値が2.3ほどになった家を体感すると、断熱材の素晴らしさを、あらためて、感じて、まずは、断熱リフォームだな。とおもうものの、いやいや、それより前に、まずは「端居」なのだ。
1階の座敷に端居して、パソコンをする。北向きの玄関戸を開けたままにすると、風がよく入る。それに、薄暗さが心地エエではないか・・・。暫くして、庭の木陰に出る。庭土に白ツメ草を植えた効果が、なんとなくあって、熱気がなく、草むらにゴロンと寝転がりたい気分にさせる。木陰の下で、キンチョウの蚊取線香をたいて、サーキュレータを掛けて過ごす。じわーっと暑いが、心地よい。椅子を少しずつ動かしながら、風の流れる場所に端居して、短パンランニングで、過ごした。風が吹き、木漏れ日がゆらいで、心地良さを誘う。その「ゆらぎ」がとってもエエ感じ。
そんな「苦労」を「私」がしているのに、2階のLDKに上がると、息子と奥方が、クーラーをかけて、気持ち良くパソコンをしていた・・・・。部屋に入った瞬間、いやぁ、それが、確かに、涼しくて、心地良い。まるで楽園楽園。
いやいや、それじゃぁ、「いま」は、アカンのです。麻薬的な心地良さ。電力マフィアに犯された心地良さと呼ばなくては・・・。まぁ、取り敢えず、クーラーのそばの小さなソファーが置いてあるコーナーに暫し端居する。それが、やっぱり、涼しくて、気持ちエエのですわ・・・。
と言っても、「ゆらぎ」と「薄暗さ」による心地良さにも、ナチュラルハイな魅力があって、今日は麻薬的クーラーと暫し縁を切って、1階に端居する・・・。
午後1時頃になり、ピーク電力の削減に協力するために、家のクーラーを止めて、家を出て、「都市の中を端居」しようと、家族で、話がまとまる。まぁ、単に、息子の買い物があったのと、新しくなった大阪駅を見学しながら、ついでに、都市の中を端居しようという、こじつけに過ぎないのだが・・・・。
都市で端居する。立体的な繋がりが出来た大阪駅のショッピングモール。以前よりっずっとエエ感じ。節電のため、さして涼しくない、店舗で、ショッピングをし、風の広場や空中農園で、端居する。けっこう、大勢のひとが、都市の中を端居しているのだ。それはそれなりに、皆さん、心地良さそう・・・。
日が沈んでも、まだまだ明るい夕刻に、帰宅した。2階のLDKには熱気が溜まっていて、窓を開け、熱気を追い出しながら、クーラーを掛けるが、夕刻になると、西風の吹き込む居場所があり、そこへ端居する。サヌカイト石の風鈴が鳴り響いて、体感温度が下がったような気がし、その居心地の良さを奥方とシエアーした・・・・。
端居を楽しむのが、以外と楽しい。節電にも繫がる。と言うことは、今、求められている建築とは、端居が出来る建築なのか・・・・・。
投稿者 木村貴一 : 2011年07月10日 22:15 « 日常。 | メイン | 「すまいは夏をもってむねとすべし」かぁ・・・・ »