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2016年06月26日

振動

中高年になって、というよりシニア-な歳になって、運動不足気味になると、身体の肥満と共に、心も肥満になるような気がするわけで、ちょっとしたコトが面倒くさくおもえて、心に軽やかさを失ったりするわけで、ま、建築の職人さんも含めて、職人さんは、面倒くさいことを、どれだけ面倒くさがらず、コツコツやり続けるかみたいなところがあり、イチローなんて、そんな見本なんだろうし、太った大工さんをあまり見かけるコトがなく、体のバランスが心のバランスに繋がっているのだろう。別に運動しなくても食べ過ぎなければそれで良さそうなんだけれど、体の細胞に振動を与える機会を作っておくのが、シニア-な生活には必要なんだとおもう。

今日は「まちのえんがわ」ワークショップがあり、左官山本組のヤマモトさんと、どんなワークショップをしようかと、新規の企画が思いつかず、行き詰まりながら話をしている時に、苦し紛れに、ヤマモトさんが、珪藻土マットの製作どうですか...と恥ずかしそうに私の様子を伺ったのが印象的で、そういえば、うちの奥方もつい先日、珪藻土マットを買ってきて、浴室の入り口に置いて、流行ってるらしいよ。というコトだった。ヤマモトさんが言うのには、金沢のあの有名な左官屋さんが、珪藻土マットが人気で、左官より珪藻土マットが忙しいらしいわ!と。そんなこんなで、即決即答で、取り敢えず、それ、その珪藻土マット製作でいきましょう!というコトになった。

世の中の人気というのは不思議なもので、ワークショップの決定期限が押し迫ってきて、苦し紛れに決めた珪藻土マット製作が、大変な人気で、当初20名も集まれば充分で、10名ぐらいで、やりましょ、って話し合っていたら、あれよあれよと20名になり、それでも続々と申し込みがあったので、ヤマモトさんが、お客さんのために気を利かして、珪藻土の材料を追加調達してくれて、それに左官のスタッフも10名ほど集まって対応出来る体制を整えてくれたお陰で、31名の参加者と一緒に珪藻土マット製作のワークショップをすることになった。

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↑ 金槌で板に振動を与えて珪藻土をまんべんなくいきわたるようにする作業

左官という職種は、大工が右官と呼ばれていた古い時代があったらしく、そのコトを考えると、大工と左官というのは建築にとってはツートップなわけで、ところが、今という時代は、大工はまだしも、左官に至っては、その存在すら忘れ去られそうな時代で、そもそも「まちのえんがわ」ワークショップの始まりは、大工より、左官屋さんや板金屋さんとワークショップをして、その職人としての存在を知ってもらおうとするコトから始まったわけで、左官という職人が、皆の前に姿を見せて、お客さんが造ったマットの型材の中に、珪藻土を流し込んで、コテで押さえる作業をお客さんと一緒にするコトに、左官職人としての何かの可能性を見出そうとしているのが、建築のワークショップとしてのひとつの有り様なんだろう。

ちなみに左官山本組のヤマモトさんは、土を学び、技を磨き… 人を創る。というキャッチフレーズのもと、左官山本塾というのを昨年に開校し、若い左官職人を育てる活動をしていて、その20代や30代の学生が7名ほどワークショップを手伝ってくれたが、左官という職業は、コツコツ仕事をやり続けて、一人前の職人になるために、10年ほどかかる、とっても面倒くさい職業なんだとおもう。

ところで、ワークショップのある日曜日の早朝は、体の細胞に振動を与えるコトにしていて、そういえば、本日の左官ワークショップでも、珪藻土を流し込んだあと、金槌で、板に振動を与えて、珪藻土が、むらなくまんべんにいきわたるようにする作業があって、体の振動は、メタボのためだけでなく、心の軽やかさを失わないために、心身の細胞を目覚めさせ、隅々の細胞までまんべんなくいきわたらせる振動でもあって、ワークショップが始まった当社はランニングだったが、ワークショップの参加者のお客さんに勧められた縁で、ロードバイクに乗り出してからは、十三峠や葡萄坂をゆっくりだけれど、ヒルクライムして家に戻ってくると、2、3時間ほどで、ま、そんな振動を与えながら心身のバランスを取りつつ、ワークショップをコツコツやり続けていこうと、心の中で呟いている、日曜日のブログとして、今日の長~い一日を終えようとおもう。

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2016年06月19日

リイマジン

朝から梅雨な日曜日。久しぶりに予定がない休みなので、自転車にでも乗ろうかと早朝に目が覚めたが、しっかりと降る雨音に、ちょっぴりがっかりし、その雨音を聴きながら再び寝入った。

雨降りだから、読書と音楽だな。なんていうのが、ライフスタイルのひとつとして、あるとおもうのだけれど、アマゾンからCDが届いていて、それとなく聴いただけで、じっくり聴く時間もなく、というより、息子夫婦と同居し、孫なる生命体と共に暮らしていると、それはそれなりに気を使っているわけで、ひとりで音楽を聴く時間という時間の使い方に、なんとなく気を使う「私」を発見するに至り、もちろん、専用のオーディオルームがあるわけもなく、ところが、そうやって、少し気を使いながら部屋をシェアーする事そのものに心地良さを見出している「私」も発見するわけで、家族の中で、それぞれが「独りあること」の心のスペースを持てる家族間の気配りと建築的工夫が、二世帯住宅に必要な事のひとつなのだろう....。

そういえば、先日の槇文彦さんの講演会でも、まちの中のオープンスペースで、独りを楽しめるスペース。それは人の行き交いを眺めながら独りで座れるカフェであるとか、ギャラリーのオープンスペースの椅子とか、そんなオープンスペースの必要性の話があって、この金曜日の現場に向かう車の中でも、設計のタナカくんやタカノリと話をしていると、まちに、オーディオルームのような場所があり、コンサート会場のようにスピーカーに向かって、数人で座りながら、CDやレコードをDJのチョイスで聴けるところがあって、ま、例えば、ヒップホップ特集とか、ハードロック特集とか、ウエストコースト特集とか、ヘビメタ特集とか、JAZZ特集とかクラシック特集などなどありながら、趣味が同じもの同士が、一緒に生演奏でない音楽を聴く場所があって、そんなん誰かオーナーとして、うちに注文してくれへんかなぁ.....っていう話になった。

一緒に過ごしながら独りあることを楽しめるスペースというのも、まちと住宅に求められているコトのひとつで、先日の社員や大工さんや協力会社の旅行で、比叡山延暦寺で、54人が一緒に坐禅体験をした感覚に近いものかもしれない....。

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このCDのライナーノーツに、「Remix」でも「Cover」でもなく「Reimagined = 再考/再創造/再生」というコトバがあって、建築でも、過去の有名な建築を、カバーするだけでなく、もしくはリミックスして活かすだけでなく、確かに、新しい空間をリイマジン=再創造するというのが魅力的な手法で、ホームページを見ていると、ユニバーサルスタジオは、Reborn=リボ~~ン=再誕生らしく、パタゴニアは、いわゆる4つの「R」、リデュース(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)、リサイクル(再生)を推進することで、新しい世界をリイマジン(再考)しようと提案しています。とあり、「リイマジン」なリフォームと新築を目指してみたいとおもえる音楽だった...。

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親父から引き継いだ生野区のある会合に出席すると、お隣の席の大先輩から、この本を進呈しますと、お言葉を頂戴し、2冊の本が届いて、古代史の謎の世界に巻き込まれた一週間で、ちょうど先週に、三輪山のすぐ麓で、山辺の道沿いの住宅のリフォームの話があり、現地にお伺いし、纒向遺跡の近くを通過しながら、大和と邪馬台国と卑弥呼を想像し、三輪山と出雲の関係性を想像してみたりするタイムリーな偶然性に遭遇し、遺跡や本を通じて、日本をリイマジンすることは、確かに、とっても面白い。

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土曜日は地鎮祭があって、祝詞奏上に、産土(ウブスナ)大神や大地(オオトコ)主大神などのコトバに遭遇し、今日の本の中では、天照大神や饒速日(ニギハヤヒ)や大己貴神(オオナムチ)や卑弥呼や台与(トヨ)などなど、古代史のスター達に翻弄されて、日本という国の「Reimagined = 再考/再創造/再生」の道はそんなに簡単ではなさそう....。

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2016年06月12日

ものづくりの潤滑油

夏が近づいてきたのを感じる蒸し暑い日曜日。今日は、住宅相談会があり、午前中のAさんは、堺で住宅の建て替えを検討中で、ハウスメーカーでプランを検討していたそうだが、どうも、おもうような、コストパフォーマンスな家にならないので、インターネットで見つけた弊社に、家族でお越しになった。

熊本であのような震災が起こると、まず耐震性能というのが、気にされるわけで、建築の専門誌には、耐震等級2の住宅でも倒壊した住宅があったという報告があり、今後の調査報告が待たれるところだが、それでも基本的には、長期優良住宅の基準である耐震等級2以上というのが、標準の時代になりつつあるのだろうし、そういう耐震や断熱の基本スペックを満たしつつ、間取りであるとか採光や素材や収納や居心地の良さなど、その住まい手のライフスタイルに合致した要素のコストパフォーマンスの良い家が求められているのだろう。

お昼からのBさんは、数年前の木村家本舗にお越しになったご家族で、今住んでいる駅近の新築か中古住宅の購入をお望みなのだが、ここ最近は、打ち合わせ室に、プロジェクターを設置して、それに、うちのホームページの施工例やインターネットの住宅情報やグーグル地図を表示し、大画面で共有しながら、一緒に打ち合わせをするスタイルで、これが、意外と楽しいコミュニケーションになって、画面をみながらコメントしあう事を通じて、土地や建物に対する知識や見立てを知ってもらい、私たちも、お客さんの好みを知る事になり、こんな感じの共有するコミュニケーションのスタイルから、ちょっとした好みやライフスタイルの違いを建築と暮らしの中に実現していくのが、家造りの面白さのひとつなのだろう。

午後3時からのCさんは、ご両親の実家の介護住宅をリフォームするためにご家族でお越しになって、リフォームですか?と問いかけると、リフォームというよりリノベーションです。というコトバが返ってきて、家全体の全面リフォームな、リフォームを、リノベーションと呼ぶ傾向にあるのだと、建築の専門家のなかでもリフォームとリノベーションをどのように区別するのか、微妙な傾向にあるのだけれど、そんな曖昧なコトバを、一般のお客さんが、感覚に基づいて、限定的なコトバに規定していくのが、コトバの持つ面白さだなぁ....なんて、ほんの一瞬だけ、脳裏を駆け巡った。

介護のための住宅リフォームの要望が最近増えてきて、多くが、2階に個室があり、1階に寝るための部屋がない住宅を介護的住宅として、どのように機能させれば良いのかが問われるわけで、食べるとか寛ぐより、まず寝る事が一番で、洗面便所浴室がすぐ隣にあり、そして簡単に食事が出来ればエエですよぉ。という順番になってきて、若い世代の住宅では、寝室は寝るだけですから、テキトーでエエですよぉ。っていう傾向からすると真逆で、こんな世代間のライフスタイルの違いが、間取りや予算配分として実現されていくのも、建築の面白さのひとつなのだろう。

そうそう、先週の日曜日と月曜日は、協力会社でつくる精親会という親睦会の総会と研修旅行があり、もちろん社員や大工さんや手伝いさんも一緒に参加して、ものづくりの仲間54名が、2階建てバスに封じ込められながら、旅をし、今年が60回目になると、もはや伝統といえる訳で、建築というものづくりは、なんだかんだ言っても最終的には現場の職人さんによって造られる訳で、その技術と共に、コミュニケーションが大切なのだと、徐々に徐々に理解してくるにつれ、旅や研修や宴会が、そのコミュニケーションの潤滑油のような役目を担ってくれるのだと、確かに、機械とかシステムなどは、潤滑油がないと、暫くすると壊れてしまうのが通例で、この精親会旅行という伝統としての研修旅行が、社員や職人さんや協力会社を大切にして、潤滑油が枯渇せぇへんようにせんと、ものづくりがでけへんでぇ...と、先代先々代が伝えてくれているのだろう。

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小雨降るなか、小路を2階建てバスで出発。

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肌寒い霧の比叡山延暦寺で坐禅体験をした。

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佐川美術館を見学。10人限定で茶室を見学したが、素晴らしかったなぁ...。

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小浜で宿泊し宴会。

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美山の田歌舎でキャニオニング体験。川を歩いたり泳いだり飛び込んだり滝を登ったりとエンターテイメントなプログラムを体験。

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河原でジビエのカレーを食べる。

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2016年06月05日

お「トモダチ作戦」

先週の日曜日は「まちのえんがわ」ワークショップがあり、ステンドグラスのタナカトモコさんと造園のイエタニさんが合体した蚊取り線香置きを製作し、ちょっとアバンギャルドなスタイルと少々高めな価格から参加者は少なめだったが、それはそれなりに面白いワークショップと出来映えになって、うちの家族でもひとつ製作して、いま、目の前で、金鳥の蚊取り線香の渦巻きが、ピラミッド型のステンドグラスの上で、煙を立てている。最近はワークショップ終了後に講師がマスターやママとなったBARを催して、今回は怪しいメキシカンbarとして、四方山噺ができる楽しい時間となった。

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そのワークショップの時間に、「まちのえんがわ」常連でもある近所に住むSさんが、ちいさなカワイイ生まれたての黒猫を抱えて遊びにやってきて、誰かこの猫を貰ってくれるひといませんか...と、猫の可愛さと共に、ちょっとした困惑が入り交じった表情で皆に語りかけていた。

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数日前に、長屋続きの2階の天井から猫の鳴き声が聞こえて、それも赤ちゃんが数匹生まれたらしく、一晩中子猫の鳴き声で寝られなくて、ノイローゼになりそうなんです...と「まちのえんがわ」にやってきたSさんに、きっと暫くすると壁の間に子猫が落ちるのが通例で、壁を破るしかないかなぁ....と話していたら、翌日、助けて欲しい!というヘルプの電話があり、近所でリフォーム工事を担当していた、うちの新人現場監督のナンバくんが駆けつけた。翌日、たまたま、うちの家のリフォーム工事をしていたベッショ大工が緊急出動するコトになり、壁を破って、壁の間に落ちた猫を見事に救出した。それで、その子猫は、その家のすぐ近くにノーベル製菓があり、この一連の騒動を知った、カワイイ女子社員によって育てられるコトになったという。

それから、二日後に、再び子猫が、壁の間で泣いているという困惑した電話があり、お「トモダチ作戦」と名付けられた一連の救出作戦が、ナンバくんとベッショ大工によって再び成功をおさめたが、あの夜中中に悩まされた子猫を救出してみると、カワイイ真っ黒な子猫で、想わず情が移ってしまいそうで、猫に名前を付けて呼んでしまうと、ダメになっちゃいそうなので、飼いたくなってしまうその気持ちを抑えるために、ナンバくんと呼ぶようにしていたと語るSさんが、「まちのえんがわ」のベンチに座っていた。

ワークショップに参加したそれぞれが、製作の合間を縫って、その猫を眺めにやってきて、わー、カワイイ!と言いながら、抱きかかえ、可愛がっているうちに、Sさんの困り果てている様子を見かねたうちの会社のとんちゃんのおトモダチでもある和歌山県の橋本から参加者の女性のKさんが「私、その子猫、育ててあげるわ!」っと、助けの手を差し伸べてくれた.... 感謝。

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この金曜日と土曜日には、地元で、数十年前に工場付き住宅を新築したお施主さんから、換気扇に、鳥が巣を作っていて、なんとか助けて欲しいという連絡があり、やっぱりお「トモダチ作戦」として、現場監督のシノダくんとベッショ大工が駆けつけて、今度はヒヨドリ3匹を救出するという救出成功秘話があり、そのヒヨドリに、食事を与える、シノダくんとナンバくんの姿を土曜日の夕方6時の加工場で発見したのだけれど、今週は、北海道で、しつけ子供事件の小学生が発見されたりして、先週の母の死とか、命とか、救出とか、隙間とか、子育てとか、躾けとかが錯綜する2週間だった。

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