2015年12月13日

風邪の心象

早朝目が覚めると、なんだか喉や鼻がおかしい。まだ、夜明け前。自転車に乗ろうとかと思っても体が起き上がろうとせず、前回のブログにあんな事書いた呪縛なのか…。だいたいブログに継続などと書くと、違う方向に向かったりするもので、ブログの内容も考えものだな。昨日は、会社の忘年会があって、その3時間ほど前には、リフォーム工事の竣工パーティがあり、ところが朝から微妙な風邪気味で、鼻がねっとりしていて、喉がくしゃくしゃして、薬を飲んで治まっていたが、加工barでの2次会が終わったあと、瞬時に寝りに陥ると、一気に風邪が爆発したのだろう…。そのまま二度三度寝たり起きたりしながら、あれは夢の中なのだろうか、鼻腔に違和感を感じながらもがいている姿があって、起きると、午前10時を回っていた。

20151212_120702958_iOSここ数年は、がんこ平野郷の蔵の部屋を借り切って忘年会をやるのが恒例で、この大きな木組みの下で、お酒が大好きだった親父と飲んだのは2年前の事だったな...とか、誰よりも賑やかで大酒飲みで面倒見が良く木村工務店の工事や見積の基礎を築いてくれた福本顧問が参加できなくなって4年ほど経つが、体の調子はどうだろうか...とか。酒癖がちょっと悪かったけど、楽しい酒で宴会を盛り上げてくれていた辻本くんが今年退社して、1年前はこの席にいたが、いま頑張っているのだろうか...とか。そんな、想い出のようなものが、ほんの瞬間的に蘇る空間というのが、きっとあって、真壁作りの木組みの蔵をリフォームしたこの宴会場は、そんなのを見守ってくれる空間なのだろう...。

忘年会の3時間前に豊中O邸リフォーム工事の竣工パーティがあって、参加した方々が、偶然にも知り合いの方ばかりだったのには、縁というものの摩訶不思議を体感するのだけれど、そのお宅も4度目のリフォーム工事らしく、座敷だけは、初代からそのまま引き継がれていて、今回もまったく手を加えることがなく、そんな座敷という木の空間が、家と家族の歴史を見守ってくれているのだとおもう...。

20151212_124703145_iOS例年2次会は、布施のスナックに行くことがほとんどで、おそらく何十年もそうだったが、加工場の断熱防音工事をしたお陰で以前ほど音漏れがしなくなったので、今年からは加工barでする事にした。現在手刻みで構造材を加工中の加工場に横たわる丸太を眺めながら、スタンディングbarで飲むのも、なかなかの気分で、かつて2次会のスナックで何度も勃発した激しい人間関係やカラオケ合戦から一転して、加工barでは、かなり和らいだ雰囲気で、しっとりとしたオトナな2次会となったのは、この木組みのトラスの下で、数々の家の構造材の加工がおこなわれ、祖父や親父の社葬もおこない、初午の祭りごとをし、お餅つきもしたり、それに最近では数々のワークショップで、何百人のひとがものづくりを楽しんでくれて、そんなのをこの木組みのトラスが見守ってくれる、そんなパワーのようなものが「木組み」には宿っているからかもしれない...。
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今日「まちのえんがわ」では、お昼からステンドグラスの田中共子さんによる4組だけの小さなワークショップを「まちのえんがわ」内で実施する事になって、その準備具合をノソノソ見に行って、スタッフのアオキさんと、ステンドグラスのトモコちゃんに、おはよう、どう?と声をかけたら、猛烈なかすれ声で、へなへなした裏声しが出ず、大きく笑われる始末で、やっぱりまだ、風邪なのだと再認識して、もう帰って休んで下さい!と微笑まれながらソソクサと家に戻って暖炉に火を付けることにした。

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冬になって暖炉に火を付けてガンガン燃やしながら本を読むか音楽を聴くのは冬の楽しみで、部屋全体がまろやかに暖かくなる心地良さは、床暖房やエアコンや温風ヒーターの暖かさとは全く違って、暖かさにも「質」があるのだと体感するきっかけになって、その暖炉が置かれている部屋は戦前の長屋をリフォームした空間で、上を見上げると小屋組の丸太が3本掛かっていて、やっぱり家族間のさまざまな出来事をその木組みが見守ってくれているのだろう...。

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体の奥まで暖かくなるような感じがする暖炉の火の横で体を癒やしながら音楽を聴くことにして、マイルスの「ソーサーラー」と「ネフェルティティ」にすることにしたのは、マイルスの大きな変換点を録音したアルバムで、若い頃はまったく理解出来なかったが、歳を追うごとに好きになるアルバムというやつで、木村工務店もちょっとした変換点であるからかもしれないし、DSC06857そういえば、ここ十年ほど、冬になると、丹沢で作ったリースを持って遊びに来てくれていた丹沢堀山の家のセツと、暖炉とJAZZを酒のあてにしながら深夜まで四方山話を繰り広げるのが冬の「ルーティーン」だったが、それも昨年から途絶え、木組みの下の暖炉とマイルスが、そんなのを懐かしく思い起こさせてくれたのは、風邪の心象のせいだな...。

投稿者 木村貴一 : 2015年12月13日 23:59 « ピザ笑顔 | メイン | 夜明け前 »


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