2009年01月18日
まろやかな柱
今にも雨が降り出しそうなどんよりとした天気。テレビや新聞で、経済や雇用が、ああだこうだと連呼されると、確かに、気分までも、 どんよりしそう・・・・。
そんな天気の中、奈良・王寺まで行く所用があって、そのついでに、法隆寺に、ちょこっと立ち寄る。以前行ったのは、 何時の事だったのか思い出せない・・・。確か、伊勢神宮に行った帰り道に法隆寺に寄って、伊勢神宮が日本的だとすれば、 法隆寺は中国や韓国的だな・・・・という印象を持ったのが、何だか記憶に残る。
その当時と比べれば、仕事として、「木」というものに関わる割合が圧倒的に増え、そんなわけで、「木」という目で見れば、 柔らかな曲線美で加工された柱や梁。斗や肘木。リズム感のある垂木を支えるための、しっかりとして繊細な木組み。やっぱり世界遺産だなぁ・・ ・と、改めておもう。
まぁ、でも、このお寺全体が持つ何とも言えないムードが好きか嫌いかは別としての事で、 そういう意味では、あの柱の曲線は、鎮魂のための、まろやかな曲線でもあるのかなぁ・・・と思えてきた。
と、終わってしまうと何だか寂しいムード。
そうそう、今週、2007年の夏にお引き渡しをした、木造2階建ての住宅に、雑誌の取材もあって、久しぶりに、 お伺いする。か なり寒い日だったが、蓄熱暖房ひとつで2階まで部屋が暖かで、心地良かった。改めて「木」ってエエなぁ・・・・・ と思った。
以前リフォームさせていただいた方が、古民家を購入して別荘として使うという事で、ガレージと塀をするために、
滋賀県の甲賀まで、仕事に行っている。今週、現場に行くと、雪だった。版築という工法で、塀を施工中で、なかなか味わい深い雰囲気がある。
完成をしたら、また、ご報告を・・・・。
雪で思いだした。今週初め、朝、京都へ打ち合わせに行くと、少し雪が残っていた。打ち合わせの前後にお寺を散歩する。 紅葉の鮮やかな庭とはまたひと味違う冬の京都がそこにはあった。
今週を振り返ってみれば、和歌山の九度山まで、打ち合わせにも行った。奈良まわりで、高速道路に乗ると、 遠くに見える三重や奈良の山々は雪で、真っ白だった。まるで、ちょっとした雪国のような雰囲気で、エエ眺め。
そうだ。今週は、大阪、京都、滋賀、和歌山、奈良と、こんな事は、私にしては、珍しい。あと近場の兵庫県で打ち合わせをしていれば、 関西圏グランドスラムだったなぁ・・・・・。めったに滋賀には行かないし・・・・。
そんな今週の、時間と場所の流れを俯瞰していると、唐突に、京都の打ち合わせで、 犬が犬なりに、 冬の日差しを穏やかに楽しんでいる、その気持ちよさそうな光景が、ふっと、脳裏を横切った。
また、脈絡もなく、今日、法隆寺で見た、一千年以上前に大工によって加工され、建てられた、まろやかな曲線の柱が、また脳裏をよぎる。
外では雨がしっかりと降り出した。なんだか、時間とか空間とか気分とかが、脈絡もなく、留まったり、流れたり・・・・・・と、感じた。
投稿者 木村貴一 : 2009年01月18日 21:22 « チェンジ | メイン | 冬の青空 »