2009年06月07日
「現地」「現場」「経験」「体験」
ある中古住宅を見に行くことになったのだが、打ち合わせが重なって、その時間には行けそうになかった。それで、グーグルで場所を検索し、スクロールをすると、ストリートビューが開き、その家の外観が現れた・・・・・。
とても、不思議な感覚だった。現地に行かなくても、その周辺の雰囲気やその建物の様子が何となく想像できるのだった・・・・。「情報」としての「現地」をバーチャルに「体験」出来るのだった・・・・。こういう事も「体験」と呼ぶのだろう・・・・・。テレビだって、映画だって、小説だって、それと似通った「体験」なのかもしれない・・・・。それにしても、「仕事上」で、こんな「体験」をしてみると、「情報革命」なんていう言葉が、まことしやかに思えてくる・・・・・。
そのうち、家の中まで、見通されたりして・・・・。
世の中が、こんなふうになって行けば、行くほど、自分自信の「五感」で、実際に「体験」してみる「現地」とか、「現場」というものが、ますます興味深くなる。「リアルな現場」でしか読み取ることの出来ない、感じることの出来ない「何か」・・・・・。「私たち工務店」の役目は、そんなところにあるのだろう・・・・。
と、真面目に考えてみるにしても、ストリートビューを見て、現地に行く必要がないとおもうのか、現地に行きたくなるのか・・・・・。ストリートビューだけで、旅行に行った気になって、もう旅行に行く必要はないのか・・・。そんな事を、問答してみると、やっぱり、「工務店」にとっては、「リアルな現場」が、なによりも大切で、「現場での経験」というものを大切にすること。「現場に行こう!」だなぁ・・・と、あらためて思い、反省もする。
さて、先週の日曜日と月曜日にバス一台に57名ほど乗り込んで、研修旅行に行く。社員や大工さんや業者の方々。まるで、小学生の遠足か修学旅行のノリ。小学生より少々タチが悪いのは、お酒が飲めるってこと。バスの中では、隔離されて良いのだが、一歩外へ出ると、ちょとヒヤヒヤする。人様に、ご迷惑を、お掛けしないものかどうかと・・・・・。
明治村で、フランクロイド・ライトの帝国ホテルを見て、INAXの陶器の製造工場とタイル博物館を見学したのだけれど、今回の旅行の事前に、資料を調べてみて、そして、現地での案内を聞いて、意外な事実を知る。
それは、INAXの創業というのは、ライトが帝国ホテルのために造らせたスクラッチタイルの職人さんを、その製造が終了後、雇い入れた事から、INAXの創業が始まったのだと・・・・。全然知らなかったなぁ・・・、ライトとINAXの意外な関係性。
今回の研修旅行では、明治村で、明治の建築の説明をゆっくりと聞くつもりだったのだが、旅行の行程の配分がまずく、帝国ホテルだけしか見れなかった。それは、行程を製作した旅行社の若い担当者が、紙の上とインターネット上だけで行程を製作し、「リアルな現地」を体験していなっかた事による、ちょっとした、調整時間の読み違いによるものだった。べつに、批判的なわけではない。工務店の現場監督なら誰しも、何度か経験する、読みの甘さだった・・・・。
とにかく「経験」してみること。そして、経験者は、未経験者に、何をどう伝えるのか・・・・。そんな事が、ほんの数分間だけ、バスの中での真面目な話題になり、そして、数分後、お酒の「あて」となって、その他の雑多な「あて」と共に、笑いの渦の中で、ごちゃ混ぜになって、醸造された・・・・・。
なんて事を書いてみると、今週は、いったい、私自身は、どんな「現場を体験」したのだろうかと、振り返えって見たくなる・・・・・・。
大和郡山に新築工事中の現場があって、目の前に水田があり、2階のLDKからの水田の眺めが素晴らしく、その手摺りをどうするのか・・・・・。見通しの良い手摺りを造ると、水田の眺めは良いが、道行く人からも、家の中を眺められてしまう・・・というのが、現場での「悩み」のようだった・・・・。
大阪市内のとある民家。高い塀があり、コンクリートの門があって、このデザイン、何とかならないものですかねぇ・・・・・という「悩み」。いわゆる外構工事というのは、町並みとの問題もあって、難しいものだなぁ・・・・。
八尾市内にコンクリート住宅のリフォーム工事があって、ウチバラシ(内部解体)が終わり、現場に行く。会社の打ち合わせ室で、お施主さんと一緒に、それなりに打ち合わせをして来たのだが、「現場」がはじまると、設計図では、考え切れていない、ちょっとした問題が、あちらこちらに、見え隠れし、「悩ましい」ものだなぁ・・・・
高槻まで、リフォームの現地調査に同行する。分電盤を見ると、その家の建てられた年代も、何となく分かり・・・。立派な分電盤があり、どちらかと言えば、大きな家とも言えそうだ・・・・。
家が傾いている・・・というので、奈良の平群まで、出かける。今回は、うちの工事部長のTくんと、「揚げ屋」さんと一緒に、現地を見る。それぞれの立場から、それぞれの「経験」からの意見を聞くと、ためになる・・・・・。
それにしても、二間続きの和室に入ると、欄間からの漏れる光が、天井に写り、それなりに美しい。今週に見た、帝国ホテルのライトは、こんな欄間を、あんなデザインへと、昇華させたのかなぁ・・・と、おもいながら、柱と襖をみると、かなりの隙間と傾きが・・・・
偶然にも、我が高校の母校のすぐ近くで、懐かしいなぁ・・・と、母校を横目で見ながら、中古住宅を見に行くと、確かに、現地でしか、読み取れない、問題点も多々あって、購入金額の問題もあり、リフォーム工事代金の問題もあり・・・と、中古住宅を購入するのには、勇気がいるなぁ・・・とおもう。確かに「中古住宅購入は悩ましい・・・」
夕方の6時、現場の近くを通ったので、リフォーム工事中の現場に立ち寄る。塗装工事中なのだが、職人さんは帰った後だった。どんな仕上がりになっていくのだろう・・・・。と、右見たり、左見たり、上見たり、下見たり、あと、もう一息だなぁ・・・・。
以前に新築工事をさせて頂いたお宅のすぐ隣の家へ、リフォームの相談でお伺いする。住人にとっては、見慣れた窓からの光景が、初めての「私」からすれば、凄く、新鮮な光景であった・・・・・。
やっぱり、「現場」だなぁ・・・・・と、反省もしつつ・・・・。
それでは、皆さん、今週も、グットウィークを!
投稿者 木村貴一 : 2009年06月07日 22:39 « 場所性(北斎と富士とB級グルメの旅その6) | メイン | 桜えびの味(北斎と富士とB級グルメの旅その5) »