2012年08月19日

室戸のクワガタくん

ホテルの部屋の扉を開けて廊下に出ると、外回廊のようになっていて、目の前の足下にクワガタムシが這いつくばっていた。次男が手に取り上げて、木々に向かって放とうとしたのを、ちょっと待って! と私の手に持ち替える。足とハサミをのけ反らせながら、あの甲虫類独特の抵抗があって、指を挟みの間に入れ込んだり、手に引っかかる足のとげを振りほどいたりし、久しぶりにクワガタの感触を楽しみながら部屋に戻って、ソファー横のサイドテーブルに何気なく置いてあった奥方の麦わら帽子の下にクワガタくんを確保する・・・・。

結婚してから初めて、ということは27年間で一度もお盆に大阪に居た事がなく、14日の朝、初めてのお盆のお墓参りをする。私の兄弟姉妹とその子供も一緒で、弟の子供が、まだ幼稚園児の男の子で、そうそう、そのユウタにクワガタをあげようと思ったのが15日で、夕食を食べるためにレストランに行こうとした四国室戸のホテルでの出来事。

お盆休暇初日の12日は、「流しそーめん」を長男の同級生とそのお母さんやその知り合いとして、いやそれが、えー、ほんとに、流しそーめんするのぉ、スイカ割りするのぉ、とかなり懐疑的だったのに、やてみると、とっても楽しくて、通りがかりの20代のカップルやそのお友達まで参加してくれて、終了間際には、アメリカ人とフランス人の飛び入り参加もあったりし、それなりの歓声が響いていて、ちょっとご近所さんにご迷惑をかけたかも。それにしても、いつかは社員や職人さんとやってみようかな。とおもうほどの意外な盛り上がりだった・・・。

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ちなみに、うちの奥方もスイカ割りをして、いやそれが、何でも誘われたら年がいもなく参加してしまうのには驚くのだけれど、それよりも、振り下ろした木の棒がスイカに当たらずに地面を叩いて、それが、棒の勢いあまって、跳ね返り、奥方のおでこにぶつかって、大きなたんこぶが出来た!というのが、笑うに笑えぬお盆休暇初日のトッピックス。

お盆休暇の前半の三日間は、大工の古材の手加工を見たり、家庭「イエニワ」で、朝から晩まで過ごしながら、本を読んだり、昼寝をしたり、炭火焼きしたりして、イエキャンプなお盆休暇だった。

↓古材を手加工する大工さんたち
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↓お盆休暇初日。「流しそーめん」が終わって2次会をイエニワですると、なぜかアメリカ人とフランス人が交じっていて、あとは長男の同級生ばっか。なのに長男は東京。
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↓お盆休暇二日目。古材の加工を見て本を読んでお昼寝し夕食は夫婦二人だけで炭火焼きをして、暫くしたら、どしゃぶりの大雨になった。
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↓お盆休暇三日目。朝から両親兄弟妹とお墓参りをし、お昼は皆でホテルのバイキングを食べて、夜は花火という「Theお盆」。
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お盆休暇4日目の15日早朝から四国室戸へ向かう。道中、サーフィンを見るために生見に立ち寄ったのは、30年以上前に、サーフロッジ生見に2泊ほどした経験があって、当時は松林のなかにポツンとロッジがあった記憶しかなく、防波堤とか駐車場とか大きなホテルとか野球場とか様子がすっかり変わってしまったのかどうかさえ判断がつかないほど薄らいだ記憶・・・。確か尾崎で波に乗った・・・。海部で防波堤から波乗りを眺めた・・・。そんな楽しかった記憶を奥方と次男に語ってみた。

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DSC05990室戸で宿泊し、それはたまたま1ヶ月ほど前にホテルの予約が取れただけの理由で、いや、こじつけるのなら、今、高野山で小さな宿泊施設を施工していて、その高野山のスーパースターの空海さんは、室戸の洞窟で修行をし、悟りをえて、洞窟から「空と海」を見て、「空海」なのだという。まぁ、そういう「縁」を頼りに、室戸に宿泊し、プールに浮かび、レストランでイタリア料理を食べ、デッキの椅子に寝転がって満天の星を眺め、部屋に戻って、あっそうそうクワガタクワガタと思い出し、麦わら帽子をめくると、クワガタくんはいなかった・・・。

↓空海と大日
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翌朝、日の出を眺めてから室戸岬まで3キロほどランニングをし、部屋に戻って、便器に座ると、なんと目の前にクワガタくんがウロチョロしていた。それなりの親近感を感じて、麦わら帽子の下に戻し、それで、チェックアウトの時にクワガタを手に持って、さてどうしようかと迷っていると、ホテルのスタッフの女の子が、わざわざ箱を持ってきてくれたので、行きがかり上、大阪まで連れて帰る事にし、車のトランクにその箱を詰め込む。

まぁ、そんなこんなで、次男の美術館見学の宿題があるというので、高知を経由して、丸亀の谷口吉生設計の猪熊弦一郎現代美術館に立ち寄り、ついでに、さぬきうどんも食べ、よくある家族の事情で、倉敷のアウトレットで買い物をし、16日の夜遅くに大阪に着いた。さて、どうなっているのかと、車のトランクに鎮座している箱を開けると、空っぽだった・・・。またもや、クワガタくんは脱出していて、これはこれで良かったのだ。と。

翌朝は仕事で、朝風呂に入って、その続きに次男もお風呂に入ると、大きな叫び声がした。クワガタがお風呂におるでぇ! きっと、トランクの中で、箱から脱出し、鞄に紛れ込んで、洗濯物か何かと一緒に洗面所までやってきて、いや、これはまったくの憶測で、とにかく、「彼」は我が家のお風呂の中に出没したのだった。愛着感まで沸いてくる・・・

そんな「縁」で、虫かごの中で、スイカと共に大阪で暮らすことになった室戸のクワガタくんなのだが、今朝、虫かごの中を覗くと、お亡くなりになっていた・・・。なんだか、とっても複雑な心境で、連れてきて良かったのかどうか・・・。なので、合掌。

投稿者 木村貴一 : 2012年08月19日 20:07 « 模型製作ワークショップ | メイン | お盆休みの朝 »


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