2013年04月07日

コミュニケーションの道具としてのロードバイク

ロードバイクの話をこのブログに書くと、何人かのひとから、シャチョウ、最近自転車乗ってるらしいですね。と話しかけられて、それで、そうそう、実はね・・・。なんてかんじで、調子に乗って話しているうちに、私自身が、かなりの自転車好きのような錯覚にとらわれて、っといっても、たかだか1ヶ月ほど前に、買っただけのこと。既に自転車好きのひとからすれば、今頃何を言っているのぉ、なんて感じだと思うのだけれど、とりあえず、サイクリング以上ロードレース未満。スピードを出すなんてとんでもない。ちょっとした山には登りたいのだけれど、ヒルクライムと呼べるほどのパワーがあるはずもなく、それでもそれなりに、少しスポーツよりに自転車を楽しもうとおもう。

先週の日曜日は、ウィリエールのキタムラくんに誘われて、京都府美山茅葺きの里へ、自転車を車に積んで出掛け、里山の道を45kmほどサイクリングする。街の中をサイクリングするのとは違う楽しさがあって、それは通常の歩くスピードの3倍速で、山や川や村の景色を眺めることができる魅力とともに、気になったところで自転車を気楽に停めて見学したり飲んだり食べたり出来ることが魅力なのだろが、何よりも景色を眺めながら適度なスポーツとして坂を登ったり下ったりして汗を流すのがエエのだとおもう。そうそう、それにもうひとつ付け加えるのなら、自分の愛馬を持ったような美しい道具を所有する魅力。

こんな感じでサイクリングをしたのだけれど、道中でさまざまなコミュニケーションがうまれて、それがなんとも不思議な感じがし、ロードバイクとその服装の雰囲気がそうさせたのだろうか。そういえば、先日の「旅は道連れ建築行脚」では、参加者の中での会話ははずんだけれど、外のひととのコミュニケーションはほとんどなかった。

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朝、モーニングを食べるために、走り出して10分ほどのところで見つけた水車が回る喫茶店に入ると、どうも地元のひとが集まる喫茶店のようだった。珈琲とパンを頼んだら、今日はパンがないのでと言って、カステラと卵を出してくれて、囲炉裏の上に置かれた暖炉の上の「おかき」もすすめてくれる。それで「珈琲と卵とカステラとおかき」という、きっと生涯二度と味わうことがないとおもわれるスペシャルなモーニングを食べた。

地元のおっちゃんとの話がはずんで、田舎暮らしを望んでやってくるひとが長続きしない話や、ここの電灯が水車による発電で担っていて、その発電をするための水車の直径は2mがエエのや。という話などなど、気付いたら30分ほど経過していて、まだ2kmほどしか走っていない・・・。そういえば、帰り道にこの水車の喫茶店の前を通過すると青いシャツを着た店主が店の前で水車をいじっていて、自転車で走りながら、今朝はどうもおおきに!と声をかけると、気ぃつけて行きやぁ!と手を挙げて応えてくれた。

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茅葺きの民俗資料館があって見学する。柱と梁をじっと眺めて不思議な顔をしながら立ち止まっているヘルメットを被った黒い服のスパッツ姿の「私」を見て案内の女性が、実は火災で焼けて全て新しい材料で建て替えたのです。と説明してくれる。そんな訳で、古民家の魅力と言うよりは、新築でもこんな茅葺き民家は出来るのだという、へんな魅力を感じながら見学した。

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道中、お米で出来たパン屋さんに立ち寄り、ようやく、モーニングのパンにありつけたり、ポストの前で記念撮影をしたりするという、とってもベタな観光客的楽しみ方をするのがサイクリングとしての面白さなんだろう。そうそう、トイレ休憩をしていると、停めているロードバイクを見て話しかけてくる家族があって、民俗資料館でも一緒になったひとで、あーだこーだと面白可笑しく会話をしているうちに15分ほど過ぎていく・・・・。京都市内から自転車できている高校生のロードレーサーと出会う。まぁほとんどの場合、まず声をかけるのはキタムラくんで、20万円以上するロードバイクを買って、本気で走っている高校生がいるなんて、まったく知らなかった世界観。考えてみれば、これまで、いろいろと旅しているけれど、これだけ短時間に見ず知らずのひととコミュニケーションをした経験はそうそうない・・・・。

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ところで、工務店のシャチョウとして、遊んでばかりのように思われると、ちょっと困るので、ロードバイクを家で吊り下げるために、どうしたらよいのかを思案してみるという、ちょっとした義務感が押し寄せてきて、それでスケッチを描いてベッショ大工に相談すると、ここをこうしてこうやれば簡単に出来そうなので、試作を造ってみますわ。といって、現場から早めに帰った時に試作してくれた。「木」なので、カーボンを傷める心配もなく、それはそれなりにエエ感じなのだけれど、ロードバイクが大工とのコミュニケーションを誘発してくれたのだとおもう・・・・。

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ちなみに「私」が自転車に乗っているときに感じるリズムと気分は動画のバックで流れるマイルスの「メイーシャ」。そんなこんなで、先月のブログも含めて、こんな一連のロードバイクにまつわる出来事が、ひとや街や村や自然やお店や音楽や身体との「コミュニケーションの道具としてのロードバイク」なのかなとおもう・・・。

投稿者 木村貴一 : 2013年04月07日 23:59 « 出張ワークショップ | メイン | ちょっとしたアドベンチャー »


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