2006年09月10日
ソトメシ(北海道の旅その5)
外メシというのは、いわゆる外食ではなくて、今日は、ベランダにでも出て、ご飯でも食べてみようかぁ。というような意味らしい。 メシという表現を使うところが、大阪的だ。豪華な食材を用意して外で食べようとするのじゃぁなくて、そこそこの素材で、「うまいなぁー」 と言いながら、ウダウダと食べるわけだ。テーブルと椅子が似合わない場合もある。敷物を敷いて、 座って食べるのが似つかわしいのかもしれない。
私はそんな風に解釈しているのだが、「外メシ」と宣っているのが、弊社で施工させて頂いた、 コトバノイエという住宅の設計者の矢部さんだ。 (矢部さん、解釈間違ってたらツッコミいれてよね。)そんなわけで、竣工の時には外メシをご馳走になった。 それは深夜まで続いた楽しい一時だった。そうそう、その家の施主が書いたイエにまつわる文章がいかしている。「世界の中心で、イエーッと叫ぶ」 というタイトルだ。是非、読んでみて欲しい。
まぁ、そんな影響が加速材となって、我が家でも「通路件デッキ」で外メシをする。この夏、 長男が帰ってきた時などは、その友達が何人か加わって、けっこう楽しい。自分がその年齢の時は、どうしていたのだろうか・・・・ と、思い起こしたりもするわけだ。もう40代の後半なのだが、若者と話しをしていると、自分自身に対して、 「このまま眠りこけるな」「まだまだもっともっと目覚めよ」と叱咤激励されているように思えてくる・・・。そうそう、 そんな話ではなくて、ソトメシ空間を創っていくのは、魅力的なことだなぁ・・・・という話をしたかったのだ。
キャンプでは 外で食事をするのが何よりものご馳走だ。北海道旅行でもそうだった。 時間的なゆとりが少なかったせいもあって、地元の食材を調達できなかった。偶然、イエから持って行った、 チープな食材だけでの食事だった。それでも、outdoorで食べると、それなりの満足感があるのが不思議だ。「食物」 を食べるだけでなく、 おいしい「空気」も一緒に食べているからだろうか。何よりも、空気と一緒に、その場の「印象」 を食べているからかもしれない。 ソトメシでは「印象」がいちばんのご馳走なのかもしれないなぁ・・・・・。
北海道はカニでしょう。ウニでしょ。イクラでしょ。と大きな声で訴えるように次男が叫んだ。ロクナモノ食べさせてもらってないでぇ・・ 。コンビニとか、イエから持ってきたラーメンとか・・・。それは違うでしょ。と、9歳の息子に諭された。確かにそうなのだ。僕は、そんな 「印象」や「雰囲気」にはごまかされないでぇ・・・。というのだった。私が、あまりグルメでないのが、そうさせているのかもしれない。 外食よりソトメシの方が好きだからかもしれない。そこそこ食べられれば、まぁええかぁ。てな感じなのだ。今回の北海道旅行での外食は、 ウニでもイクラでもカニでもなくコタン丼とスープカレーだった。
15年ほど前に屈斜路湖のコタンで食べたコタン丼がおいしくて、不思議な印象を持った。 今回の旅行でも吸いよせられるようにその地に向かった。コタン丼を食べたかったわけではなく、 湖と木と露天風呂に囲まれたその雰囲気をもう一度味わいたかった。 確かに口がもう既にコタン丼の口になっていたのかもしれないなぁ。
丸木船というレストランのすぐ横には毛綱毅曠氏設計のアイヌ民俗資料館があって、 意外と周囲の雰囲気になじんでいて、結構、好きだ。以前に見た釧路にある同じ設計者の細岡展望台や釧路市立博物館より、 かわいらしさがあって、ええかなぁ・・・と。屈斜路湖のコタンは緑の大地に湖と木、それに露天風呂があって、15年ほど前は、そこで2日間ほど、キャンプした。 今はキャンプ禁止になっていたが、そのおかげで、砂湯などに比べて、人が少なくて、静けさが満ちていて、良かった。
そこで、コタン丼と新コタン丼とジンギスカンを食べた。 コタン丼は見た目は普通の卵丼のような感じなのだが、 ギョウジャニンニクと豚が入っていて、関西にはありそうで、ない味で、それなりの旨味があって、やっぱり美味しかった。 新コタン丼というのが豚のかわりにエゾ鹿の肉が入っているらしい。何だか精力がついたような気がした・・・・・。
も うひとつの外食がスープカレーだった。帰りの小樽からのフェリーに乗る前に、
時間が出来た。そこで、札幌の市街地のはずれにある「マジックスパイス」というスープカレー店に行くことにした。
本当かどうか知らないけれど、スープカレー発祥の地だとか。
市街地のなんでもない住宅街に目立つ建物が・・・。カラオケ店か風俗店かとも思った。中にはいると、靴を脱ぐことになっていてのが、
意外だった。靴を脱ぐカレー屋さんだった。1階はもう既にいっぱいだったので2階に通された。2階もほとんどいっぱいだった。
店員の男の子に、大阪から来たんですかぁ・・・とすぐに聞かれた。まぁ、それぐらい、ベタベタの大阪弁を使う家族なんだなぁ・・・と、 あらためて、自分たちの地域性を意識した。「わざわざ大阪から来てくれて嬉しいですぅ。私も京都出身ですぅ。」と言いながら、 「この春に大阪店もオープンしましたので、大阪に帰った時はそちらも是非よろしくおねがいしますぅ。」・・・・・と、言うではないかぁ・・・ ・。まるで、ハワイ旅行で土産物を買って、帰国してからメイドインチャイナだと気付いた、「間抜けな私」状態だった。
それでも「俺は北海道の本店でスープカレーを食べたのだぁ」と、自慢をすることで、 気を取り直すことに決めた。スープカレーを食べるのは初めてだった。豚汁とかそういった、具材がいっぱい入った汁もんの、 その汁がカレーなのだ。というようなイメージだった。いわゆるカレーをイメージするよりは、 具材のいっぱい入ったラーメンの麺なしで、スープがカレー味。そんなふうにイメージした。それに、黄色のライスが付いてきた。 ラーメンライスとはまたちょっと違うイメージだな。
お味噌汁にご飯をぶっかけて食べるのをネコ飯と呼んだりするが、それは、どの地域もそうなのかな・・・、急に、 地域性が気になったりして・・・・。兎に角、そんな風にして、スープカレーのスープや具材をライスにかけて食べる。 あまり期待していなかったので、意外に美味しくて感激した。思わず奥方はその店のスープカレーの素を買って帰った。
スープカレー、コタン丼、旭山動物園、モエレ沼公園、それにソトメシも付け加えるかぁ。「ちょっとした」 視点の違いによる新鮮さが共通項目かなぁ・・・・・・。
投稿者 木村貴一 : 2006年09月10日 14:44 « 地鎮祭とイナウ(北海道の旅その6) | メイン | 木に囲まれて過ごす(北海道の旅その4) »