« 2014年08月 | メイン | 2014年10月 »

2014年09月28日

サンデーモーニングライドと「自転車」とNYの休日7

image

早朝、久しぶりに自転車に乗ってみる。午前6時前に目が覚めて、久宝寺緑地を抜け、八尾寺内町を抜け、小さな川沿いを走り、柏原の葡萄坂をはっはっいいながら登って、のどか村でジュース飲んで休憩する。猫ちゃんどうしてるかなと辺り見回したけど、まったく気配もなく、それにしても、あまりにも気持ちの良い天気なので、信貴山朝護孫子寺に向かって、自転車を押しながら階段を歩いて参拝した。舞台から眺める朝の太陽と秋晴れの青空と大和の山々の景色が、心を軽やかにさせてくれる・・・。

Evernote Camera Roll 20140929 085722

信貴山から柏原の青谷への下り坂は、ほんとに気持ち良くて、カーブの切れ目から垣間見る山々の景色、山に這いつくばるように建つ集落、葡萄畑の緑とビニールシートの織り成す光景、それらが下り坂の爽快さと共に目の前を映像のように順番に通り過ぎていく、そのシチュエーションがきっと好きなんだろうね。折角下ったのに、ちょっとした登りがまたあって、やぱりはっはっいって登るうちに、丘の上の葡萄販売所と眺望の良い場所に着く。その葡萄畑に下る階段に腰掛けて、霞立つ大和の山々を眺めながら水筒の水を飲んでると、まさしく秋晴れで、一句詠んでみたい爽快でセンチメンタルな気持ちになるのだけれど、ぜーんぜん俳句など湧いてきませんわ。

Evernote Camera Roll 20140929 085722

今日は少し時間があったので、三郷の方におりて行く。歳とってくると、別に大きな目的があるわけでもないのに、祈りたい気分の時があって、ゆるい上り坂を漕いで龍田大社に着き、二礼二拍手一礼の参拝をする。祈るコトバのない祈り。Evernote Camera Roll 20140929 085722すぐちかくにあるカフェフェンチーナに寄ってひとりでモーニングを食べることにした。近所に住んでいたヨネクラくんとサンデーモーニングライドをしてた時は、ここで一時間ほど四方山話をしたのだけれど、彼は、そんな日々の中で、会社を辞めて独立する事を決断したらしく、奥さんの実家の熊野で、ライフスタイルショップ「compi」をオープンさせて、この9月21日がOpen!!だったらしい。送られてきたカードには「コンピレーションアルバムのような雑貨と洋服」と書かれていた・・・。

image

そういえば、「NYの休日」で、セントラルパークでレンタサイクルを借りて、セントラルパークの中を自転車で走り抜け、フランクロイドライトのグッケンハイム美術館に行った。サラッと見て移動するつもりだったのに、なんだかとっても居心地が良くて、螺旋の斜路をぐるぐる巡る心地よさと共に、世界からの多民族な人々と美術作品を一緒に共有する事の心地よさなのだろうとおもう。いままで味わったことないような感覚で、あっそういえば、どこか旅した時に、これと似通った場所があったのような気もしたけど、とにかく、MOMAやホイットニー美術館でも同じような雰囲気で、芸術好きでも美術館好きでも、まったくなかったのに、NYの美術館はおもいのほか居心地が良かった・・・。

DSC07542

そこからハドソン川のサイクリングロードをひたすら走ってWTCのグランドゼロを目指す。天気の良い自転車日和で、なかなか気持ちの良い自転車道だったので、途中にあった、「Frying Pan」で休憩がてら食事をとると、川風がとても心地よくて、時差ボケをフワーッと吹き飛ばしてくれたような気がした。パラパラと行き交うサイクリストとすれ違いながら、DSC07670WTCに着くと、多くの人人人でいっぱいだったのには少々驚いた。槇文彦のWTCビルが長男との共通するお目当てのひとつで、世界からの観光客がその存在に気付かないほど、存在感が希薄で、長男の話によると、如何に存在感を消すかに建築的意識が注がれているらしく、廻りのビルを如何に写し込み、空を如何に写し込み、できるだけ自分の存在を消すか・・・。確かに、如何に存在感を示すかを設計し建てるのとは対局にあるわけで、NYのこの場所に建っている槇文彦設計のWTCを眺めていると、なんだかとっても日本的な美学を感じるのだった・・・。

DSC07698DSC07696

グランドゼロでは日本的合掌をし、帰り道もハドソン川のサイクリングロードを走りながら、「ハイライン」に立ち寄って散歩した。「グリーン」の使い方がエエ感じなので、うちの庭にも取り入れたいなと想いながら、アイスクリームを食べたりしたのだけれど、考えてみれば、自転車的街歩きがNYで出来るとは思ってなくて、それは長男の「私好み」に対する心遣いとしてのコーディネートだったのだなぁ・・・と、今更ながらだけれど、たまには息子に感謝しておこうとおもう。あっ、これ、神社とお寺での祈りの効果かね・・・。

Share (facebook) 


2014年09月21日

堀山の家と「JAZZ」とNYの休日6

DSC09653
IMG_6258

DSC09688

この連休に神奈川県の丹沢にある「堀山の家」に遊びに行く。堀山の家の親父(通称ヒゲさん)がこの小屋で亡くなって、そのお悔やみと、その後を突然引き継ぐ事になった小屋の仲間たちへの激励も兼ねての登山で、25年間に少なくとも年に1度以上は訪れているので、それなりの愛着があるわけで、それに「小屋」でなく「家」だと名乗っているように、この丹沢の大倉尾根を歩く何人ものひとにとっては、確かに「home」のような存在でもあったわけで、それはヒゲさんの「存在感」が、大きく影響していたとおもう・・・。

以前のブログで、「私」のメンタリティーを形成してきた要素のひとつに「建築」と「JAZZ」があって、その建築とJAZZが「NYの休日」と結びついたと書いたのだけれど、建築とJAZZが「堀山の家」とも結びつく訳で、ヒゲさん以前のこの小屋の親父が、この建物をリフォームする姿を何度も見てきて、外部の杉板貼りと内部の杉板貼りの間に、梱包用の「プチプチ」を挟み込んでいて、それは、隙間風を無くすために考えた方法で、当時は、少し懐疑的に見ていたが、それでもこんな断熱材の全く入っていない簡易的な造りの小屋にもかかわらず、もちろん全体的な温度は低いものの、確かに隙間風が少ないお陰で、薪ストーブひとつで暖がとれているわけで、考えてみれば最近の建築では、気密シートというのを貼る工事が増えてきて、あらためて、そういうシートの存在を見直してみると、それが堀山の家での建築体験と結びついたりする訳。

堀山の家のヒゲさんの以前の職業はJAZZ喫茶のマスターで、「私」はヒゲさんからJAZZを伝授されたようなもので、薪ストーブとランプの明かりの下で、どれほど多くのの時間、JAZZ談義をしたものか…。それにここ10年ほどは、年末になると丹沢の木の実を使った手作りのリースを届けにきてくれて、深夜までJAZZを聴きながら四方山話をしたものだった。いま、ヒゲさんの多くのCDがうちの家に鎮座することになった。

そんなこんながあって、実は「NYの休日」は建築よりJAZZの方が思い入れが強かったのかもしれない。様々な事情が重なって、前半の3日間を建築巡礼に費やして、朝早く起きて動き回ったために夜も早く寝るスタイルだったが、後半はNY在住のJAZZ歌手のコガマリさんのコーディネートのお陰で、NYのレストランとJAZZライブハウスを巡礼できて、それで、後半の3日間は深夜遅くまで遊んで朝遅く起きるというスタイルになった。

IMG_5986
IMG_5988初日のビレッジバンガード http://villagevanguard.com/ は憧れのライブハウスで、地下の階段を下りて扉を開けると正面奥にステージがあり、奥から三角形で客席が広がっていて、如何にも音響が良さそうな雰囲気で、最終日のバードランドのエンターテイメントなライブハウスと比べると、アグレッシブな演奏が聴けそうな雰囲気が充満していて、コルトレーンやマイルスがステージに出てきて欲しい!と思った。正面左にスタインウエイのピアノのがあって、そのすぐ側の席で演奏を聴けて、このピアノでビルエバンスのWaltz For Debby"が演奏されて、あの録音の背景に聞こえるグラスの音やひとの話し声が響く空間がこんなスケール感の空間だったのかと、いま再びあの雰囲気を思い返してみた。

その日のヴァンガードで見たピアニストは http://www.fabianalmazan.com/  で、もちろん、上手な演奏なのだろうが、シリアスな感じがして、もっと軽やかさがあっても良さそううに思えて、建築も同じような傾向に陥る時があって、「真摯であってシリアスにならず」なんていうコトバを聞いたことがあるが、施主や観客に喜んでもらうプロとして、いろいろと考えさせらる演奏だった。そのヴァンガードの後に、卓球場やプールバーのあるジャズライブの http://www.fatcatmusic.org/ に・・・・。
IMG_5995
IMG_5993
IMG_5992
そのfat catのリラックスした雰囲気が、とっても居心地良くて、シリアスな演奏を聴いた直後だっただけに、そこでみたピアニスト http://haroldmabern.jazzgiants.net/ の高齢にもかかわらず、とってもエネルギッシュで落ち着いてグルーブする演奏とやりとりが、とってもカッコ良くて、きっと、周囲のビリヤードや卓球場の喧噪が心地良い雑音となりながら、内面的な何かをアグレッシブに刺激していたに違いない・・・。それはかつてのビレッジバンガードのビルエバンスのワルツフォーデビーのグラスの音やひとの話し声が背後で聞こえる雰囲気は、こんな雰囲気だったのかもしれない・・・と、いま、そうおもった。そうそう、そのピアニストのおじさんは、周囲のひとたちからはレジェンド呼ばれていたのだけれど、演奏が終わると阪神タイガースの帽子を被って、ひょうようと歩いているその姿に、ちょっと驚いたが、でもなんとなくカワイかったのだ・・・。

二日目は、バードランド http://www.birdlandjazz.com/ に行く・・・。
IMG_6021IMG_6025IMG_6027
エンターテイメントなビッグバンドの演奏を聴いて、それはそれで、とっても楽しくて、ちょうど、その前のディナーが、寿司屋さんでフュージョンな鮨を食べたこともあって、それはそれなりの美味しさと、こんな寿司も有りかなとおもえる味で、きっと、NYはエンターテイメントな街なんだ・・・。

三日目はブルックリンのジャズクラブ http://www.barbesbrooklyn.com/ で・・・。
IMG_6133IMG_6132IMG_6048
ひとがひしめき合うカンターバーの奥に小さなホールとステージがあって、ぎゅうぎゅう詰めになって立ちながら演奏を聴くスタイルで、演奏を聞くも良し、お酒を飲むのも良し、話し込むのも良し、という、そのリラックスした雰囲気と一体感が、居心地良く、「堀山の家」での夜の雰囲気のようでもあり、そんなこんなな、シリアスであったり、軽やかさであったり、エンターテイメント的であったり、真摯であったり、話し込む雰囲気があったり、遊び心があったり、・・・、なんていうJAZZ的な何かが、「私」のメンタリティーの一部を形作っているのかね・・・・。

Share (facebook) 


2014年09月14日

津軽と「スーパームーン」とNYの休日5

10647014_693028814104615_3764154571984847974_n

スーパームーンなんていうコトバを聞くようになったのは最近の事で、月が地球に接近して普段より明るく大きく見える満月のことらしく、通常の満月に比べて、大きさが14%、明るさが30%増しだそうだ。この9月の十六夜がスーパームーンで、その前日の中秋の名月の日、うちの会社で設計を手伝ってくれている青森弘前出身のササオさんという女性がいて、彼女の実家がリンゴ農園で、段ボール箱に入った採れたての「津軽」というリンゴを会社に届けてくれた。

なんでも、少し傷があるだけで、値段が落ちるらしく、そんなのって、日本人のヘンな潔癖症のような気がするのだけれど、ま、それはともかく、そのリンゴの濃厚で美味しそうに見える色を見て、「祖母」がフラッシュバックした。そういやぁ、おばあちゃんは、市場の果物屋さんにリンゴを買いに行って、手搾りのリンゴジュースをよく作ってくれた。あの独特の甘みと旨みと喉ごしのすっきりとした感覚が、おばあちゃんの「はんなりした」柔らかい大阪弁のコトバと共に蘇る。


それで、自らリンゴを搾って満月を見ながら次男と奥方に飲んでもらったのだけれど、そういやぁ、まだ私が小学校の5年生の時に祖父と祖母がアメリカのロサンゼルスに旅行することになり、もちろん、まだ海外旅行が一大事だった時代で、祖母が私を一緒に連れて行くと言ってくれた。一週間ぐらい学校など休んでもかまへん。とそんな風に言っていた。ちなみに祖父は木村工務店の創業者なのだけれど、「勉強をし過ぎるとアホになるから、おまえ、あんまり勉強するな」とそんコトバを何度か私にかけた。そんな祖父と祖母に孫というより子供のように可愛がられたが、いや、それで、父と母は、見聞を広めるのは良く解るが、学校を休んでまで「遊び」に行ったらアカン。と反対されて、私のアメリカ本土上陸は実現しなかった。

いま、気付いたけれど、それが、トラウマになっていたのかもしれない。結婚してからの20代に、ハワイには1度だけ行ったが、アメリカ本土に上陸したのは、なんと、55歳になったこの「NYの休日」が初体験で、11歳のあの時から数えて44年後の実現だった。

ちょうどNYに到着したのは現地8月10日の夕方で、8月11日午前3時がNYのスーパームーンらしく、夜の8時過ぎに大衆的なペンシルベニヤホテルにチェックインし、早速、夕食を食べるためにNYの街に繰り出すと、ライトアップされたエンパイヤステートビルが見え、その横に、もうすぐスーパームーンになる満月が、ビルの間から見え隠れしながら、尖った姿のエンパイヤステートビルと、まんまるのいつもより明るいスーパームーンが横に並んで佇む姿がとっても印象的で、初めてのアメリカなのだけれど、日本と同じ姿の月が、いまとここに心を落ち着かせてくれたのだとおもう・・・。

IMG_5893

タイムズスクエアーに向かって歩くに連れて、ネオンサインが沢山増えてきらびやかに輝き、人もどんどん増えてきて、まるでお祭り騒ぎの夜の街のようで、タイムズスクエアのステージのような階段に世界からの観光客が、ただただ座って、光り輝く街を眺めている姿は、確かに東京や道頓堀とは全く違う、「インターナショナル」な気分を感じさせる不思議な街だった・・・。。

DSC07267 (2)
DSC07274 (2)

「津軽」という美味しいリンゴジュースの味が、おばあちゃんの記憶を蘇らせてくれて、それが偶然にも「スーパームーン」と結びついて、まだ昨日の鮮明な記憶のようなNYの摩天楼と月の姿が蘇り、それとともにあのタイムズスクエアーの喧噪も再び肌で感じられて、それにそれら全てが混ざり合うコトで、11歳のあの時のなんともいえない感覚まで蘇って、それは、「津軽」と「満月」と「NY」の合わさった力なのかね・・・・。

Share (facebook) 


2014年09月07日

住宅相談会と「グーグルマップ」とNYの休日4

朝10時からのAさんは、実施設計に入る前の模型確認で、2世帯住宅のご両親が打ち合わせにお見えになり、明日は息子さんご家族の打ち合わせで、仕事の都合で時間が合わないので日曜日の本日の住宅相談会と月曜日の明日平日との別々の打ち合わせになった。それで、お母さんが、徐々に力が入らなくなっていく難病らしく、車椅子の生活を余儀なくされていて、そのうち立てなくなったり腕に力が入らなくなっていくらしいのだけれど、今は車椅子であるものの元気にされている。打ち合わせは、「まちのえんがわ」で、車椅子のお母さんとご主人が土間で、設計のタナカくんと私が縁台に座って打ち合わせするという、「縁側スタイルな打ち合わせ」

そのお母さんの部屋は、8帖に2間長さの収納があり、ベットから庭が見える引き違いの吐き出し窓がある設計で、壁を隔てたすぐ隣に、便所と洗面所と脱衣室とお風呂があるなのだが、それでも夜中に誰かに声を掛けて便所に行くことになり、毎日の事だと非常に気を使って辛くなるので、それで、ポータブルトイレを横に置いてたりするかもしれないねぇ・・・・と、アイスコーヒーでも飲みながらコミュニケーションをしていると、それじゃぁ、思い切って、ベットのすぐ横にトイレをそのままの姿で設置すれば良さそうですね・・・と言うと、なんか贅沢で我が儘すぎるようで、そんなん言い出せなくて・・・と仰る。

最終的に、まだまだどうなるか解らないが、車椅子で入れる寝室のベットの左横にタンクレストイレをそのまま素直に置き、ベットの右横にベットの長さ分のカウンターを取り付けて、その上に小さな洗面器も設置し、便所と洗面とテレビと外の景色が、ベット回りで快適に使える設計を目指そうかとおもっている。そうそう、用を足す時は、リモコンで、窓のカーテンかロールスクリーンを操作することが必要になるのだろうね・・・・。

午後1時からのBさんは、7年前に新築で購入した住宅を同じ小学校区内で住み換えたいというご希望で、それが、なぜ、まだ築7年なのに、家を買い換えるのですか?とお尋ねすると、3軒の新築が同時に建て売りされて、その端の家を買ったのだけれど、その横の2軒がどちらも離婚されて、ご主人だけが住んでおられて、なんか、子供の友達もいなくなってしまい、次はうちかな?みたいな気分にさせられて、まわりのムードがなんとなく良くないような気がして・・・。とお話しされて、ただただ、へぇーっと、世の中には不思議な状況が起こるもんだなぁ・・・と妙に聞き入った。

住み替えローンの問題など、日住サービスのナリタさんに同席してもらって、アドバイスをもらいながら、話をすすめる。築年数の古い真壁づくりの趣のある中古住宅を見つけておられて、IPADのグーグルマップで確認しながら、お話をお伺いしたのだけれど、それにしても「グーグルマップ」のストリートビューがあるお陰で、取り敢えずの現地確認が出来る世の中になって、初めてのお打ち合わせでも、共有認識が持てるし、コミュニケーションに奥行きがうまれて、とっても有難い事で、勿論、それでも、実際この目で見なければ、周辺のムードとかスケール感とか絶対的に解らないのだけれど、それにしてもそれにしても、「グーグルマップ」はやっぱり凄いねぇ・・・。

そうそう、「NYの休日」での「建築巡礼」での出来事。フランクロイドの落水荘の見学は、インターネットで予約ができて、日本から現地8月12日の午後3時に予約し、NYのレンタカー屋さんの開店と同時の午前6時30分に出向いて、日本語ナビがついているトヨタ車のレンタカーをゲットし、初めてのNYの街とフリーウエーをドライブするも、45分後には、フリーウエーのコース取りを間違えて大きくコースを逸脱し、危うく長男と大喧嘩になる寸前に、偶然にも正規のコースに戻るという幸運に恵まれた。それからは、「グーグルマップ」よりも、ナビが発音する、このまま右車線をお進み下さい云々・・・と喋る片言のような「ニホンゴ」だけを信じるコトにしてフリーウエーを走り抜け、その間も、FM放送から流れる、60年代70年代ロックの選曲の良さに気分が良くなり、フリーウエーをFMのロックを大ボリュームで聴きながら走るという、片岡義男的アメリカかぶれをやってみたために、ナビのニホンゴを聞き逃し、危うく車線変更を逃しそうになって、ギリギリセーフが、2度ほどあった。

郊外のフリーウエーを走ると、日本にあるようなタイプのドライブインがアメリカにもあって、いやきっと、アメリカにあるようなドライブインが日本にあるのだろうが、とにかく、そんなドライブインを初体験してみて、ハンバーガーとコーラを食らい、ガソリン補給にも挑戦し、そこで、危うく、無賃補給の犯罪者になってしまう、超寸前ハプニングに見舞われて、ま、そんなエピソードを語れる機会がくるのかどうかは別にして、とにかく、途中からは、どしゃ降りのペンシルベニヤ州の雨のフリーウエーを、そこそこのスピードで走り抜けながら、ちぇ、ついてないなぁ!っと、ちょっとアメリカ人ぽく激しい雨を嘆いてみると、そのうち、ピッツバーグ郊外のミルランという、いかにもアメリカ的田園とアメリカ的アップダウンの田舎道を走るうちに、雲の合間から青空と太陽が出迎えてくれるという、嬉しいご褒美に、すぐに踵を返して、神への感謝に転じるという、NY~落水荘580kmのドライブだった。

その間、iphoneの「グーグルマップ」で、自分のいまここの位置と目的地までの道を確認出来るのが、とてつもない安心感になって、それが、例え、グーグルマップさんであるにしろ、「見守ってくれる存在」っていうのは有難いものだね・・・。

何よりも「グーグルマップ」さんが最も頼りになったのは、フィラデルフィアでのルイスカーン建築巡礼だった。カーンのエシェリック邸という、ライトとはまた違う趣の、憧れとしての超有名住宅建築があって、同行した、うちの長男が、日本でグーグル地図を旅しながら、その住所を正確に探し当てていて、それをナビに入力し、なかなか馴染めない車線変更をカタコトのニホンゴを唯一の頼りにして、目的地付近に到着し、いかにもアメリカ的住宅街の道端に車を停車して、散歩がてら捜し物をする観光客風日本人親子が、アメリカの住宅街を歩いている様子は、いかにも妖しげなはずで、それが、道角を右折し、行き止まりの道を歩むうちに、小さなエシェリック邸を発見すると、わっ、見つけた!と親子同時に発声し、そのうえ、想像以上にカワイらしい大きさのエシェリック邸が徐々に近づいてくる映画的映像体験が、鮮明な喜びの記憶として残る住宅巡礼となった。

怪しい日本人親子をカバーすべく、日本人的礼儀作法としての節度を守らなアカンなぁという意識が働いて、道路から芝生内には踏み入る事なく、外から見学し、「私」の記念写真だけを撮影しつつも、当然ながら息子は、俺のはいらん、そんなん撮れへんわ。と突っ張る訳で、そんなこんなの観光的喜び表現だけは楽しみながら、立ち去ろうとすると、偶然にも住人の若い男性が、ガレージに何かを取りに出て来られて、それで、目と目が合い、挨拶を交わし、どこから来たのか聞かれて、日本だと応えると、内部を案内してあげるというのだった・・・。もちろん、アメリカ本土に初上陸しているという「私」は、いつもより、喜びの表現が大げさになっている、そのちょっと滑稽な姿も想像して欲しいとおもう。

それよりも、その内部の見事なスケール感とディテールと共に住人の方が2階の浴槽のギミックを嬉しそうに説明してくれる姿があって、カーンが生活を楽しもうとするタイプのひとだという、あらためての発見があり、このインターネット上のブログで、そんなのを写真と共にシエアーしたいという気持ちがメチャクチャにあるものの、でもやはり、住人の承諾がいるよねぇ・・・という良心のようなものが、そんな気持ち以上に沸々と大きく湧いてくる訳で、いやそれは、どこの馬の骨か解らぬ唐突な日本人観光客をわざわざ家の中に招き入れてくれた住人への多大なる「感謝」の気持ちが、そんな良心となって発露しているのだとおもう・・・。

歩いて2分ほどのところにロバート・ヴェンチューリの母の家があり、ヴェンチューリとカーンのエピソードを紹介してくれたりもし、アメリカ風の感謝と日本のお辞儀で多謝の気持ちを表現してエシェリック邸を後にした。住宅巡礼最後の場所も「グーグルマップ」の恩恵に預かって、特定したカーンのフィシャー邸まで30分ほどのドライブをし、住宅地に可愛らしく佇むほんとうにエエ感じのフィシャー邸を発見し、それなりの感動と共に、道路から外観を眺めるのだが、もはや、エシェリック邸の内部を見たことで、超満腹状態なメンタリティーのために、そうそうに切り上げて、NYへ戻るべくドライブするのだった・・・。あっ、有名建築の住人にとっては、「グーグルマップ」はちょっと迷惑かもね。

そうそう、今日の住宅相談会の3組目の午後3時からのCさんは、お正月明けのお餅つきに、偶然通りかかって、参加してくれた、オーストラリア人の男性と日本人の女性のご夫妻で、ハーフの可愛らしい女の子を連れだってお越しになった。なんでも、柏原や国分や三郷や王寺のあたりにある小さな古民家を手に入れて、住みたいのだという。永住権とかローンとかさまざまな問題があるものの、ご希望の地域は、「私」がちょくちょく自転車でサンデーモーニングライドをする場所で、柏原の青谷あたりの「集落の光景」を眺めながら下りたいが故に、葡萄坂をハァハァいいながら登ったりする訳で、IPADの「グーグルマップ」で、そんな話を交えながら、地図を眺めつつ、外国のひとの、日本的ライフスタイルへの憧れを共有すべく、模索するのだった・・・。

Share (facebook) 


« 2014年08月 | メイン | 2014年10月 »