2005年08月13日

香り

朝起きて、やかましいぐらいの蝉の声と、抜けるような暑い夏空と、想像力をかき立てる入道雲を期待したら、全く曇っていた。暫くして、 しとしとと雨が降り出した。キャンプをしていると、雨にも、よく出くわす。雨に息づく木々。タープからしたたれる雨滴。 漂う物寂しさとアローンな雰囲気。スローに流れる時間。本とコーヒー。そして、それら全ての「香り」が漂う・・・・・。 時にはタープの下で過ごす雨のキャンプもなかなか味わい深いものがある。そんなタープの雰囲気を持ち込みたいと出来たのが、 我が家のデッキスペースでもあった。

来客があると、たまに、ほの かに木の香りがするね。と言われる時がある。うちの家の居間に入った時の感想だ。 リフォームしてから4年も過ぎると、住んでいる私たちは、なんとなくそんな感じもするかなぁという程度になってしまうのだった。  P1011107RIMG0952

夏みになるとなぜか長男の友達が入れ替わり立ち替わり、数名押しかけてきて、泊まる。デッキはバーベキュー広場と化し、 居間は18歳の若者に占有されてしまうのだ。皆がゴロゴロしながら、テレビゲームをしたり、だべったりしている・・・・・。 そんな姿を見ると、自分のその当時の事を思い出す。遠い昔のようでもあり、つい先日のようにも感じるのだ。そうそう、そして、 奥方は女将と化すのだった。

エネルギーを持てあます若者達が去った後、ガラガラという戸車の音と共に居間の引き戸を開けると、ほのかを通り越し、 もはやはっきりと漂うのは、若者のニオイだった。臭いともいえるのだ。香りと呼ぶのは、あまりにも上品すぎる表現だろう。 木の香りの漂う部屋は体育会系のクラブの部屋の雰囲気へと化していくのだった。そしてそれが数日間、まるで残像のように残る。その「香り」 から連想される残像が私の内面に青春時代の「思い」と共に、いまここでの私の現状を再認識させ、その若者のエネルギーが私の内面の「何か」 を突き動かしてくるのだった。

相変わらず外は雨。つがいのヒヨドリが木にとまり、ぴーぴーと騒ぎ立て、飛び去る。かわいらしい、 しじみ蝶が実にランダムな動きでやってくる。飛行機がその音と共に伊丹空港に向かっていく。なぜかトンボがすっうと飛んでくる。 ipodからランダムに音楽が流れる。そしてパソコンに向かう私。そんなムードでお盆休みが始まった。 RIMG0995

投稿者 木村貴一 : 2005年08月13日 12:00 « ギャップ | メイン | 聴く »


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