2011年04月03日

影響

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小さな窓越しに7分咲きの桜を眺める。モミジが芽吹きだして、小さくてカワイらしい葉っぱに生命力を予感させる。春がやってきたのだ。毎年毎年再生するのだ。と、少々センチメンタルな感覚になるのは、震災の影響だなぁ・・・・。

震災の影響で、合板が入らなくなっていて、3月15日付けで会社に送られてきたFAXには、東北地方の石巻、大船渡、宮古などに合板工場があって、「本社事務所及び工場設備等に被害が発生し機能していない状況」はまだしも、「連絡が取れず」なんていう報告があって、東北地方が日本の家づくりの「縁の下の力もち」であったと知る。3週間が経過した今現在、どんな状況になっているのか、正確な情報は把握出来ていない・・・・。
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ところが、3月22日付けの日本合板工業組合連合会のホームページには・・・

被災地以外の組合員企業が保有する、地震発生前の本年2月末日時点の国産針葉樹構造用合板の在庫量は約8万6千立方メートル(3×6×12ミリ換算で約430万枚)でありました。

被災地以外の組合員企業による国産針葉樹構造用合板の月間最大生産能力は、約16万立方メートル(同約800万枚)であります。

これは減産していた平成21年度の月間平均出荷量である約15万6千立方メートル(同約780万枚)と同程度となり、仮設住宅や緊急復興需要にも十分にお応えできるレベルかと考えます。

今回、国土交通省から(社)住宅生産団体連合会に対して供給要請のあった、概ね2ヶ月で約3万棟の応急仮設住宅の建設に必要な合板の需要量は、林野庁試算値で約1万2千立方メートル(同約60万枚)と見込まれています。

日本合板工業組合連合会といたしましては、最大限の増産態勢を整え、住宅建設及び災害復興のための合板の安定供給に全力を挙げて参りますので、関係者の方々におかれましては、投機的行為や過剰な仮需を慎み、エンドユーザーの皆様のお手元へ円滑に国産合板をお届けいただきますよう重ねてお願い申し上げます。

ということで、合板は十分にあるはずなのだが、なぜか市場には出回らない・・・・。断熱材も相変わらず不足状態が続く。4月4日に断熱材が入荷予定のある現場は1週間前に、「白紙に戻します」という一方的な電話で入荷しなくなった。キッチンメーカーのフードは、富士工業製が大多数をしめ、そこが震災の影響で生産に遅れが出て、キッチンの入荷が大幅に遅れている。IHヒーターの部品も生産が遅れているらしい。ユニットバスの排水トラップの部品が震災の地域で製造されていて、その影響でユニットバスの入荷が遅れているメーカーもある。便器も電子部品等が絡んでいて、基盤関係が震災の影響を受けているらしく入荷が大幅に遅れているメーカーもある。

人が集まると、あーだこーだとこの震災の話題になって、合板を製造するための刃物工場が被災していて、その影響があるらしいね。と、建築とは関係のない人からそんな話を聞かされて、そうなんですよ。と、溜息をつきながら、会食をする。

そんな事が、あれこれと重なって、リフォーム現場の打ち合わせに参加して、お引き渡しの工程をどうするのかを現場の担当者と機器メーカーの担当者とお施主さんを交えて協議した。それぞれの職人さんが、自分たちが出来る範囲で、可能な所まで完成させて、機器待ちにしましょうよ。という、当たり前と言えばしごく当たり前の結論になるのは、施主の方々も、被災地の人たちの事を考慮して、和やかに工程の遅れを受け入れてくれるからだろう・・・・。

DSC02417桜井谷窯跡群23号窯跡DSC02428

そのリフォーム現場の裏山を眺めていると、お施主さんが、遺跡なんですよ。と説明してくれて、エエ陽気だった事も手伝って、見学してみることにした。それが古代の登り窯の遺跡だと知って、その立て看板を読むと・・・・

この窯跡では土器が焼きあがった状態のまま残存しています。これは取り出す直前、天井部の崩落というアクシデントにより放棄されたと推定されます。この災いが私たちには幸いして、どのような器種をどのように窯詰めするのか、またー窯あたりの生産量はどれくらいかなど、古代窯業の実態解明に欠かすことのできない資料を提供'してくれます。そして、この地域が古代における窯業地帯であったことを如実に証明してくれる貴重な文化財であります。

「アクシデントにより放棄されたと推定されます。」というコトバに、脳裏では、この震災の事が絡みついてくる。いやぁ、3週間もテレビやインターネットやツィッターでそんな記事ばかりを見聞きしていると、そんなふうになってしまうのだな。地震と津波により壊滅状態の都市を放棄して、残したままどこかに移動すると、こんな遺跡状態になるのかもしれない・・・。フクシマ原発は、いずれ遺跡群として、この地域が古代における原子力発電所地帯であったことを如実に証明してくれる貴重な文化財であります。となるのだろうか・・・・。と。

奥方も友達が集まると、この震災の話題になるという。昨年に子供が社会人になって、夫婦二人になったある奥さんは、震災孤児を二人ぐらい引き取ろうかなぁ・・・・と、真面目な顔で呟いたらしい。ある奥さんは、フィットネスのジムに行くと、数人が集まって、ジムでこうしている方が、それぞれが家で電気を使わないから、省エネになっていると思うわ・・・と呟いたとか。それぞれなりの新たな省エネ手法を考えているのだった。消防士を知りあいに持つ奥さんは、大阪から震災の手助けに行き、多くの遺体を捜索して、帰ってきてから鬱な状態が続いているのだ・・・と呟く。

朝からランニングをする。大阪城公園では、開花している桜も一部だけあって、若い人達が、早朝から場所取りをしていた。ブルーシートや残材が、ゴミ置き場に山積みになっていて、震災の人たちの事をおもうと、その後始末の光景は、ちと寂しい気分にさせられる・・・。そうそう、10キロ、約1時間のランニングのエネルギーが、電気エネルギーに変換できないものかね。震動が電気エネルギーに変換されて、携帯電話の充電が出来るとか・・・・。いやぁ、まったく、その「影響」はでかいね。

投稿者 木村貴一 : 2011年04月03日 19:33 « チャリティー花見 | メイン | 電気エネルギー »


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