2008年05月18日

ハイオク

個人タクシーの運転手が、レギュラーガソリン仕様のクラウンを運転しながら言うのには、「私は、ハイオクガソリンを入れてまっせ。 それやぁ、値段は高いけど、車のためを考えたら、車を長く持たそうとおもったら、やっぱり、ハイオクの方がええんとちゃいまっか」と。

あっというまに150円も160円もするようになってしまったガソリン代金を考慮しても、燃費の事と、 何よりも車のエンジンを出来るだけ長く使えるようにするという長期的な視点で考えると、 ハイオクガソリンの方が車のエンジンのために良いのだ。と言うのだった。

少しでもガソリン代を押さえる方が良いはずのタクシーの運転手がそんなふうに、「わしは、そうしってまっせ」と、「信念」 を持って語るのだった。へぇー、へぇーと、何回も相の手を入れながら、後部座席に深く沈み込みこんで聞いていた。

ハイオクガソリンとエンジンの関係の真偽のほどは、定かでないのだけれど、最近、建築界では「200年住宅」 というのが話題にあって、最近の30年ほどの寿命だといわれている住宅を200年持たせるようにするのだという。

『スクラップ・アンド・ビルド(つくっては壊す)」のフロー消費型社会からストック型社会への転換・・・・とか、いい家を「つくって」 「手入れして」「何回も流通させる」・・・・・』というような言葉が並んでいる・・・・。

丈夫なエンジンが自動車メーカーで造られ、運転手は純度の高いガソリンを流し込んで、エンジンを大切に使っい、 エンジンオイルを頻繁に替えながら長持ちさせるのか・・・・。中古車の市場が成り立つのは、エンジンが何年も何年も使えるからかだな・・・・ ・。足回りがしっかりしている事も大切だな・・・・・。メンテナンスという心がけも大切だな・・・・・・・。

などと、大阪のオッサン丸だしのタクシーの運転手が語る、濃ぉ~い大阪弁のハイオクの話が、私の頭の中では、 200年住宅の話題と微妙に絡みあい、二重螺旋のように交わりそうで交わらぬ状態が続いて、頭の中をくるくる回転しているその間に、 自宅近くの地下鉄小路駅の交差点に到着してしまた。

私の住まいの一部は戦前に建てられた長屋をリフォームして住んでいる。建てられておよそ60年目で、内部を大改造した。それで、 あと30年ほど住みたいなとおもっている。それには、そろそろ土葺きの瓦屋根は、屋根断熱をした軽い板金屋根に替えて、 断熱性能と耐震性能を同時に向上させたいし・・・・。外壁もメンテしたいし・・・。

今まで、中古住宅を購入したリフォームを何軒も手がけてきた。また、現在、工事が進行中の現場もあるし、 これから計画しようとする現場もあるし、只今、土地探し中の物件もある。だいたい、使えそうな中古住宅であると、 全面リフォームをしたとしても、その土地に新築の住宅を建てるよりは、かなり安く出来る。まぁ、その「かなり」という金額は、 いたって曖昧な言葉で、スミマセン。

中古住宅として、コンクリート住宅の例も鉄骨造住宅の例も数例はあるのだけれど、ほとんどが、木造の在来軸組工法で、 だいたい2~30年の周期で、骨組みと外壁と屋根を残したスケルトンの状態にしたリフォームをすれば、 様々な補強やメンテや工夫を加えながら、次の30年ほどの維持再生が可能な場合も多い。外壁と屋根は、 住みながらでもぼつぼつとメンテが出来るしね。

こういう中古住宅は、リフォームを繰り返して、いったい何年間「流通」できるのだろうか? だいたい50年ほどか、 100年ほどなのだろうか・・・・・? これからはそれを200年持つような住宅として造っていこうとする試みが200年住宅か・・・?  などと自問自答する。

そういえば、以前乗っていたクラウンのステーションワゴンは20万キロちょっと乗った。 会社のカローラのバンは30万キロを超していた。先ほどのタクシーの運転手は何十万キロ乗るつもりなのだろうか・・・・。だいたい、 車のエンジンの寿命って、何十万キロなのかね・・・・。と、考えながらインターネットで調べてみると、30万~50万キロはざらだって。

家も、しっかりとメンテとリフォームを繰り返しながら、「この家は、私で、6代目のオーナーになりまして、もうこれで、 200年目になります・・・・。」なんていう、家自慢の時代がやってくるという事なのだろうか・・・・。

確かに、それには、車でいうところのしっかりとしたエンジンと足回りにあたる、 住宅の骨組みと基礎を私たち工務店がしっかりとつくらんとアカンのでしょう。また、 オーナーの家にたいするメンテの心がけも必要なんでしょう・・・・。で、ところで、そういう200年住宅というのはどんな家か?というのが、 近々、いろいろと提案されるらしい・・・・。

というような事を、すっかり気候が良くなって、過ごしやすくなった、デッキで、心地良い気候を味わいながら、 ソトメシならぬソトブログなどと称して、ウダウダと書き綴ってみるのでした。

P1130907 そうそう、なんで、こんな話題になったのか・・・・。

昨日の土曜日は、3年前にリフォームした堺のお宅が浄化槽から放流に切り替わるにあたっての相談にお伺いした。

P1130945その日の夜、 2年前に「IAT STUDIO」設計によって新築させていただいた八尾の住宅で、 設計の方や現場監督や大工さんを交えて、竣工2年目の宴会を催していただいた。 (感謝)

と、「メンテ」とか「長く快適に使う」という事にまつわる土曜日があったからだとおもう・・・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2008年05月18日 22:47 « 音の刺激 | メイン | お饅頭を食べた記憶 »


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