2009年10月18日

読書の秋

それが、ここ10年ほど、本をあまり読んでいなかったのだけれど、施工をさせて頂いた、「コトバノイエ」の施主のKさんの企画に乗っかって、「コトバノイエの30冊」を選んでから、そのコトバノイエのKさんに影響されて、また、本が、無性に読みたくなった。

30冊の中に、選んでおきながら、読んでいない本が、何冊かあって、とりあえず、手始めに、「澁澤龍彦の高丘親王航海記」を読むことにした。数日間、不思議なファンタジーにずるずると引きずり込まれてしまい、幻想を創り出しながら、時代考証や自分の事、風刺・・・、小説の表現方法って、やっぱり、面白いなぁ・・・と、あらためて、おもった。それが、再び本をよもうとする、口火を切ったのだとおもう。

続いて「山本健吉のいのちとかたち」を読むことにしたのだが、未だに、読了できず、思い出したように、そのハードカバーの本を手に取ってみては、格闘し続けるものの、やっぱり、進まず、もう、ひょっとして、挫折するのかも・・・・・。っていうのも、本を読んでると、まま、あることだな。

そういえば、その前に、「中村英樹著の北斎万華鏡」という本をKさんから、勧めてもらった。いままで、葛飾北斎に抱いていた、私のイメージと同じようなイメージが、その中に表現されてあって、きっと、それが、あのゴールデンウィークの「北斎と富士とB級グルメの旅」につながったのだとおもう。そうそう、それで、旅行から帰ってきて、暫くしてから、澁澤龍彦を読んだのだ。

そんな訳で、少しずつ、手元にある本で、まだ読んでいなかった本を読むようになった。ある日のコトバノイエのブログの本の紹介に「隆慶一郎の吉原御免状」の紹介があった。読んだことはなかったが、松岡正剛の千夜千冊に掲載されていた、うっすらとした記憶があって、コトバノイエには売っていなかったので、アマゾンで、早速、購入してみる。

読み出すと、一気に引き込まれた。お昼休みの数分間にも、その続きを読みたい・・・・・と、お昼休みの時間が、楽しみになった。夜、家に早く帰れた時は、食事が済むと、いつもは、テレビニュースなどを見るのだが、その時ばかりは、その本を読むのが、何よりもの楽しみだった。食卓のテーブルを前にして読んだ。ソファーに座って読んだ。ソファーにゴロゴロとしながら読んだ。ソファーから、ずるずるとずり落ちて、ソファーの座面を背にして、床の上に寝転がりながら読んだ。独り用のソファータイプの椅子に座って読んだ。デッキの椅子に座って読んだ。

久しぶりに、そういう、本の読み方をした。本の内容は各個人によって、好き嫌いがあって、まま、いろいろあると、おもうのだけれど、そんなふうに本を読める「時間と空間」が、「本を読む」という、何ともいえない、幸せな時間だぁ・・・・と、あらためて思う。やっぱり、いろいろな態勢で、本が読める家を造りたいものだなぁ・・・・・。

先週の日曜日、息子が、「ふるいち」に行こうと言う。「古本市場」のことをそう呼ぶらしい。それで、一緒に行ってみる。まぁ、これで、3度目の事。1階がゲームとCDで、2階の売り場が古本になっていたので、直ぐに2階に行く。それが、不思議な事に、なぜか、まず、頭に浮かんだのが、「隆慶一郎」だった。売り場を探すと、あっ、あった。あった。3冊ほど。それで、「死ぬことと見つけたり」を上下で買うことにする。

あまりの本の山に、まったく、買いたい作家の名前がピントこず、うろうろと、本棚の間を彷徨っていた。岩波文庫の古本が数冊だけあって、「ダーウィンの種の起源」に目が止まる。それは、先日のシルバーウィークに、山小屋に宿泊したのだけれど、そこに、お医者さんのDr.Aさんが居て、昆虫のマニアでもあって、いろいろな会話を、長らくする。そんな会話の中の言葉に、人間は、「霊長類」で・・・・、なんて言う、長い間、忘れていた言葉が出てきた。それに、「ダーウィン」という言葉も。きっと、それが、頭のどこかに残っていたのだ。420円ほどなので、買った。いつか読もうとおもう。

同じ岩波文庫のその本の隣に「フィッツジェラルド短編集」という本が目に止まる。久しぶりに、アメリカを読んでみたいな、となぜか思った。もちろんフィッツジェラルドのアメリカを良しとするかどうかは別にして・・・・。350円で買う。

そういえば、毎年、日本ミツバチの蜂蜜を届けてくれるひとが、居て、そのひとと話をしていると、今年はミツバチが非常に少なくて、蜂蜜があまり取れなかったのだ。とお聞きする。その話に触発されて、「ローワン・ジェイコブセンのハチはなぜ大量死したのか」をアマゾンで買った。新刊で1905円。そして、少しずつ読み進む。

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もう「秋」だ。今日の大阪は、気持ちの良い秋の日曜日だった。この小路周辺では、先日から秋祭りがあって、だんじりが、会社の前を練り歩いていた。本日は生野祭りというのもあって、毎年、影ながら、その舞台を造る仕事をしている。そんな、うららかな秋の日曜日。奥方が、布団を干していた。それが、とっても気持ち良さそうだった。その気持ち良さに誘われて、太陽を浴びているその布団の上にゴロとして、本を手に取ると、フィッツジェラルドだった。おもむろに短編を読んでみる。やっぱり、このアメリカでないアメリカの方が好きだなぁ・・・・。

それで、一編だけを読んで、その横の本を手に取ると、「隆慶一郎の死ぬことと見つけたり」だった。葉隠武士の物語であるらしい・・・。なのに第一話に入る前の前書きが、隆慶一郎の二十歳と戦争体験の語りから始まった。その語りが、何とも、泣かせる・・・。

そんな訳で、「読書の秋」を満喫してみようかとおもう。

投稿者 木村貴一 : 2009年10月18日 21:19 « 歴史と人柄 | メイン | 間伐 »


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