2008年01月06日
量より質
一年に一度だけ使う座敷で、朝、新年の「おとそ」をする。家族同士があらたまった挨拶をするのは、この時だけだなぁ。 両親を含めた家族の間での毎年の変わらぬ行事。
若い頃は、その習慣に反抗し、何度か「逃亡」した。長男が東京から帰省するという父の立場になると、 これも楽しみな行事だとおもえるのは、やはり「とし」のせいか。けっこう白髪も増えてきたしね。今思えば、 当時の祖父母や両親に寂しい思いをさせたなぁ・・・・・・・・。
1月1日の朝8時頃、庭続きにある両親の母屋に行くため、 息子の部屋を覗くと、 6畳ほどのその部屋に、5人の二十歳をこす、むさくるしい若者が寝ていた。元旦の深夜の初詣の帰りに、皆で「仮眠」したらしい。
それぞれの家族の元旦の行事のために、一月一日の朝8時、我が家の玄関から、「おめでとうございます」と言葉をかけて、 ほんの少々のお年玉を手渡ししながら、寝ぼけ眼の4人の若者を、我が家から送り出す光景は、意外と滑稽なシチエーションだなぁ・・・・・。
そういえば、昨年はテレビで話題になっている有名料亭Kのおせちだった。流石に今年は、たのめない。今年のおせちを「眺め」
そして食べながら、残していきたい習慣や伝統と新たに再構築したい「こと」。
そんな事が頭をよぎっていく・・・・・。
今年の大阪の元日は意外と風が強かった。次男がたこ揚げをしようというので、 一月一日から開いているジャパンとい店に行って、ゲリラカイトを買う。意外と、簡単に大空に舞う。確かに、 糸から伝わる風のエネルギーを体で感じるのが心地良い。と同時に、怖い感じもする。その勢いに翻弄されて、 おもわず手から糸を放してしまう気持ちもわからないではない。その結末は、・・・・?
3日、日帰りでスキーに行く。突然の寒波。たっぷりの新雪。不思議な事に、うちの庭のモミジは黄色く紅葉したままで、未だ、
散っていない。そういえば、新春の新聞やテレビには地球温暖化の話題が多かった。そんな事を考慮した家づくりが必要だなぁ・・・と、
いまさらながら、あらためて、考えてしまう。
それにしても、ちょっと滑っただけなのに、節々が、痛い。家の近くまで帰ってから、スーパー銭湯に入る。この正月休みに、3回、
その銭湯に通った。いつもいっぱいだったのには驚かされる。近場で、温泉気分ってとこかな。お風呂上がりのまわりの人々の、
まったりとした笑顔が良かった。
4日、昨年の暮れに竣工したばかりの森小路教会で、ニューイヤーコンサートがあった。 東京音楽大学声楽科出身の3名のプロのソプラノ女性歌手が開いたコンサートだった。
そのうちのひとりの方が教会員で、体を弱らせているその方のお父さんを励ますためのコンサートでもあった。何でも、 その3名が学生時代、あるコンサートに行って感動した事をそのお父さんに伝えると、「今、学校では技術を学んでいるのだけれど、 その感動は心が伝わったことによるもので・・・・・・」と言って、そのお父さんがホームコンサートを開いてくれ、緊張しながら、 歌う練習をしたのだと。そして、それが彼女たちの音楽の原点なのだと・・・・。
ホールに美しく響く、マイクを通さない生の肉声。それが、何とも素敵で、凄い。心底のふりしぼる声を聞くと、一瞬、鳥肌がたった。 コンサートの後、そのお父さんを囲んで涙する3名の女性の姿が、何よりも美しく思えた・・・・。
政府の新たな住宅政策は「量から質へ」だという。その「質」は「技術」だけでなく「心」の質も大切なんだ・・・・。と、 そんなメッセージをもらったコンサートだった。
社員、大工、業者の方々70名ほどで、この混沌とした変化の時代を一生懸命生きて行こう! と、その絆と親交を深めあう。
あらためまして、新年明けましておめでとうございます。
本年も木村工務店をご愛顧賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
投稿者 木村貴一 : 2008年01月06日 23:23 « 家守り・会社守り | メイン | 年末に祖父に会った »