2014年07月06日
軽やかさという立ち位置
今日の「まちのえんがわ」ワークショップは、建築家の林敬一さんが設計したスズメノ巣箱を製作するワークショップで、普通は、巣箱のイメージは「家型」なのだろうが、出来上がった巣箱は、まるでスピーカーのような形をした巣箱で、それは、ハヤシさんの建築のスタイルを彷彿させるわけで、「巣箱=家型」という固定観念を打ち破るユニークなカタチに、ちょっとした「軽やかさ」があって、とっても魅力的だった。
数週間前に、その巣箱をラワンベニヤで試作を作ったが、その完成した雰囲気がハヤシさんのイメージと違ったようで、ラワンベニヤより割高で木目が白っぽくて美しいバーチ合板で、あらためて試作することになった。確かに美くしいが、材料代金が高く付いて、ワークショップ料金がひとり4000円を遙かに越える金額になりそうなので、ハヤシさんは、自分の講師料はいらないので、3000円代で提供できるように、バーチ合板を製作する会社にも、直接金額交渉をして、3800円でなんとか提供出来る事になった。
合板から木取りをして、ノコギリでカットし、それをビスで組み立てるのが、ものづくりなのだけれど、今回は、木取りとノコギリで合板をカットするまでは、前日に、見習い大工のヒラボシくんが、丁寧にその作業をした。参加者の皆さんには、合板をビスでとめて組み立てるだけなのだが、そのビスの位置はハヤシさんが自ら書いた製作図面によりキッチリと決められていて、そのビスを、たかがビス、されどビスとして、いかに美しく取り付けるかが、今回のものづくりのワークショップとしてのテーマになった。それら一連のものづくりの過程そのものが、いかにもハヤシ好みのスタイルだった。
毎日のように深夜や早朝にワールドカップサッカーのテレビ放送がやっているのだけれど、ワークショップをやっていると「丁寧な仕事」を「和」といわれるようなチームワークで、次の作業者に親切にバトンを渡し続けながら、ひとつのモノを完成させて行くというのが、日本らしいものづくりに共通するシゴトのような気がしてくる・・・・。サッカーも、正確で早いパスを丁寧に蹴り、素早く走り、誰もが丁寧なパスを蹴り繋げ続けていくという、そんな日本のものづくり的職人気質なサッカーで、粘り強くパスを回し続けながら、ちょっとしたユニークなアイデアを思いついて相手チームのディフェンスを崩しきり、誰でも簡単に入るようなゴールを決めるという、カリスマ的なゴールを決めるスターがまったくいないサッカーでもエエのではないのかと、日本的なものづくりの視点からは、そんなふうに思えてくるのだが・・・。
それにしても世界のサッカーを見ながら「日本らしさ」について、ついつい考えさせられてしまうと共に、日本のものづくりって何かと思い巡らすのが、工務店という立ち位置で生きている「私」の立場なのだろう。親切丁寧でキッチリしているとか・・・。そうそう、「軽やかさ」っていうのもユニークなアイデアを生み出す大切な心の立ち位置だな・・・。
投稿者 木村貴一 : 2014年07月06日 23:59 « そして蝶々になるのかも | メイン | プロフェッショナルなワークショップ »