2011年07月24日

デジタルテレビが省エネ冷蔵庫に取って代わった日。

月に一度、日曜日に住宅相談会を実施していて、3組がお越しになる日もあれば、ひと組の日もあって、今日は、3組で、午前中の、そのひと組目の方は、岡山県在住で、堺にある実家に帰る予定になっていて、その堺にあるコンクリート造平屋の建物が、どんなふうにリフォームの可能性があるかの相談だった。

わざわざ、岡山県から家族でお越し頂いた。初めてお会いした人と、まだ見ぬ現地の建物に想像をめぐらしながら、お話をお聞きし、家族の持つ背景や土地の持つ背景を感じ取り、その家族のライフスタイルに想いをめぐらすのは、素敵な経験であって、個人的にはこちらこそが、感謝したい気持ち・・・・。

正午、ほんの少し前、アナログデジタルの切り替えの瞬間を見るため、会社から直ぐ近くの自宅に急いで帰える。家にはソニーのトリニトロン6インチアナログテレビKV6AD1があって20年ほど前に、車載用テレビとして買って、そのテレビを、10年ほど前に、キッチンのテレビとして、本棚の中にひっそりと置いていた。ダイニングテーブルの前に、シャープの21インチ液晶テレビを買うまでは、その6インチのテレビの前で家族3人が立ったままテレビ番組を見入る。という、とっても不思議な光景の日々が続いていた。

主に、奥方がキッチンの作業をしながら見るテレビなのだが、「私」はこのテレビの大きさと映像が好きで、立ちながら小さな6インチテレビを見るという通称「立ち見」をする時が、かなりあった。それにしても、テレビ映像が映らないテレビほど役に立たないものはないので、今日は、そのテレビとお別れする日であり、奥方などは、これを機会にキッチン用のテレビとして、新しいテレビを買うかどうか、家電の折り込みチラシを、朝から楽しそうに見ていた。6インチのテレビの前に二人で立って、笑っていいともの秒読みを見る。4秒前、3、2、1、・・・と、そこで、アナログ放送のあの「青色の画面」が現れるのが楽しみだった。

ところが、切り替わった瞬間。そのまま、デジタル放送が流れた。あれぇ。えっ。タモリが歌い出している。おかしい。NHKにチャンネルを替えると、デジタル放送の正午のニュースが流れている。そんなはずは・・・。青色のあのアナログの画面が現れるはず・・・。それが、普通に映像が映っている・・・。

という事は、うちのUHF用のテレビアンテナの向きがデジタル放送の向きと偶然に同じだったのか?事前調査をしていた訳ではなく、写らんかったら写らんかったで、まぁエエか。ケーブルテレビに接続しているテレビがあるし・・・、というノンビリした家族のムードだった。アンテナは、今設置しているUHFアンテナが偶然に使えたとしても、地上デジタルチューナーが必要だとホームページにも書いてあるのだが、なぜか、そのまま見れている。なぜなのだろう・・・。シーク機能が付いているからなのか・・・。全く理解出来ていない「私」。

もっとも、大騒ぎしているのは、奥方だった。えっ!なんでぇ!ブルーバックちゃう!見れてるぅ!嬉しい!いや、残念!せっかく、新しいテレビに替えようと思っていたのに・・・嬉しいような嬉しくないような複雑な心境。・・・・と。という訳で、はっきりとした事実は、歴史的といっても、かなり大げさすぎる表現なのだが、兎に角、そのブルーバックに切り替わる歴史的瞬間を見逃したのだった。

さて、昼からのお客様は、大阪市内の鉄骨造3階建て2世帯住宅に住んでいて、家族が結婚をして出ていかれたり、ご主人や祖母がお亡くなりになったりと、奥さんひとりの住まいになった。その家を減築などして、独り住まいの快適な住まいにしたいという事で、娘さんとお二人でお見えになる。

施主というコトバは、家を建てるお客様というニュアンスだが、単に家を買ったり、建てるお客様というコトバを越えて、その家族の背景や、その建物と土地の背景、施主の社会的背景や住む地域風土、果ては地球環境まで含めた、家を建てる人の様々な背景を含蓄する広がりのあるコトバかもしれないなぁ・・・・と、リフォームに至る経緯のお話しをお伺いする度に、そんな事をおもうのだった・・・。

その2組目と3組目の間に、奥方から電話があったのだが、あれやこれやとバタバタしていたので、「只今、電話に出る事ができません・・・」と電話を切った。

3組目は、近所の方で、昨日の土曜日の夜に、突然お見えになって、急遽、本日のこの時間にお打ち合わせをする事になった。工場兼事務所を20年ほど前に施工させて頂いて、数年前に、ご長男の家を中古物件を購入してリフォームをし、今回は次男の方も中古住宅を購入してリフォームする事になって、東成のその現地を設計のタナカくんと一緒に見に行くことになった。その場所が、最近お引き渡ししたばかりで、戦前の長屋をリフォームした工事のその家の前の道路に面する、少し斜め前の家だったのには、いやぁ、実に、驚いたなぁ・・・・・。

その打ち合わせが終わり、会社に帰ってから、奥方に、何の用事かと、電話をすると、もう、エエねん。用事、終わったのぉ。もう、冷蔵庫買い終わったからぁ!、と言う。えっ、それぇ、何のこと?

そう言えば、数日前に、米谷良章設計工房のマイタニさんが製作した。「冷蔵庫買い換え省エネ度合いは何%」というとってもエエ資料があって、それを奥方に手渡していた。そこには、沢山の数値が並んでいて、その数値をたどっていくと、 我が家の冷蔵庫は1998年製で450リッターであり、その消費エネルギーは850kwh/年で、それを2010年製の同じ450リッターの冷蔵庫にすると、メーカーによる違いはあるものの、消費電力は約220kwh/年となり、約75%の消費エネルギーを減らせる。と書かれてあって、今週の我が家のダイニングテーブルの上には、その資料と各社の家電メーカーの冷蔵庫のカタログが、散乱している状況が続いていた。

残念にもデジタルテレビに買い換えられなかったので、省エネするために、冷蔵庫を買い換える事にしたわ!と言のだった。そういえば、最近、急激に、冷蔵庫の調子がおかしくなり、氷がうまく出来ないとか、なんだかんだと、冷蔵庫の悪口をぼやいている姿があって、いやぁ、きっと、冷蔵庫の調子が悪くなるように、念力を掛けていたに違いない。これは、主婦の誰もが共通にもつ、強力な念力だと、信じて疑わない「私」。

そんな訳で、地デジ化の日は、住宅相談会の日で、冷蔵庫を買い換えた日なのだ。

投稿者 木村貴一 : 2011年07月24日 23:45 « うしろ姿 | メイン | 日常。 »


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