2010年01月24日
過程
冬の雲ひとつない青空。いつしか、春がやってくるのだ。と感じさせる、朝の日差し・・。
この週、雑誌の取材があって、昨年の年末にお引き渡しをした、大阪市内の新築住宅のお宅にお邪魔する。カメラマンや、取材の編集者が到着するほんの数分前、バーチカルブラインドの間から、曇り空の間を縫って差し込んだ突然の朝日。蓄熱暖房器からのまろやかな暖かさと相まって、ほんの一瞬の心地エエ瞬間 。
キッチンの横に洗面所があって、そこに電動で開閉する天窓があり、冬のどんよりした曇り空の合間から垣間見える、きまぐれな青空を眺めてみる。
リビングダイニングの天井に、その洗面所に開閉する内倒しの木製窓があって、夏には、大阪市内に流れる西風が、リビングダイニングを通り抜けて、内倒し窓を通過して、洗面所の天窓から通り抜けていく「予定」。自然という神々が、そんなデザインを受け入れてくれて、そうしてくれるものかどうか?
その後、同時に、大阪市内で、もう一軒の取材がある。間口2間、3640幅の新築住宅で、ユニットバスが2階にあって、その湯船に近い窓の向こうが、南面で、リビングの小さな吹き抜けになっていて、その向こうに窓があって、外を眺める事ができる。
後で聞くと、道路を隔てて少し向こうに高いマンションがあって、そこから覗かれるのかどうか、心配した施主の方が、マンションまで出向いて、自分の家を眺めさせてもらって、・・・・、大丈夫そうだなぁと、確認し、ブラインドも取り付ける事もなく、月を眺めながら、湯船に浸かっているのだと云う。この吹き抜けにも電動の天窓があって、風が通り向ける「予定」。
冷蔵庫の上に神棚が鎮座していたり、階段下が、テレビとオーディオスペースで、その前に縁なしの畳があって、炬燵をおいて、座ってテレビを見て、食事もする。その畳は無農薬の本床で、独特の柔らかさがあって、確かに心地良い。
それら全ての事は、お施主さんとのコミュニケーションの「過程」から出来上がってきた事で、設計担当のK本くんの提案もあれば、「私」の提案もあり、施主の提案が大いにあって、それを図面化し、見積としてT桝くんがまとめて、それに、現場では、大工のB處くんやF野くんのカイゼンがあり、それらを現場監督のI尾くんやT田くんが調整作業をし、少々のエッセンスを加えて、出来上がった訳で、そういう、「工務店流のものづくり」には、皆で、こだわる。
この週始め、奈良の佐保川近くに行く所要があって、通過すると、映画のロケをやっていて、この橋の向こうでは、どうやら、高橋克典さんが演技をしているのだと・・・。ほんの少々テレビにも関わらせてもらった経験もあるが、映画の撮影スタッフや監督には憧れるなぁ・・・。あの現場での「ものづくり」の「過程」とその肌で味会う感覚が羨ましい。
マイケルジャクソンの「This is it」も、叱咤激励と、一生懸命さと、あの愛情とが宿る、その「過程」に拍手した。工務店流のものづくりも、施主の方を含めたものづくりに関わる皆で、エエ「過程」を共有したいものだなぁ・・・・・。
投稿者 木村貴一 : 2010年01月24日 12:23 « 日本は何をつくるのか。日本で何をつくるのか。 | メイン | 組合せ »