2008年11月09日
格闘
澤野工房のコンサートに行く。 新世界にある履き物屋さんがジャズのレーベルを立ち上げてCDを販売している。そんなユニークな会社だ。
同級生からのお誘いがあって、全く、聞いたことないアーティストだったのだけれど、取り敢えず予定がうまく合ったので、 行ってみることにする。コンサート会場の西宮北口に出来た兵庫県立芸術文化センターが、綺麗な建築であった事に、かなりビックリした。
ヨーロッパのジャズは、軽やかだなぁ・・・。マイルスのコンサートのように、会場内に張り詰めた緊張感が漂うのとは、全く違って、 終始リラックスしたムードで、カップルやオバチャンも多い。コンサート前に澤野さん自ら登場して、MCをするのが、 何ともいえない味があって、それが、会場内に澤野工房の空気を造りだしていたのには、見習うべきものがあった・・・・・。
お誘いの主は、堺の鰻や竹うちのご主人で、 30周年の改装工事のお手伝いなどもし、その時には、店舗内の座敷で、30周年記念のジャズコンサートを開いたジャズ好きだ。 東京の修行時代にはDUGというJazz喫茶でも働いていたらしい。 そんな事もあってだろう、コンサートが終わったあとに、駅の近くに、コーナーポケットというジャズ喫茶があるらしいので、寄ろうよ。 と誘われる。
JAZZ喫茶なんて、長い間行った事ないなぁ・・・・。今、突然、そういえば、私も、昔、東京に遊びに行った時に、 新宿の雑居ビルの急峻な階段を上がったところにあったDIGというJazz喫茶に行った記憶が蘇る。 あの独特のムードと空気感は、体に残っているのだ・・・・・。
20数年ほど前、予定のない日曜日には、よく、近場の天王寺にあった、無限やトップシンバルというJazz喫茶に行ったなぁ・・・・。
その西宮北口にあるお店に入ると、私のブログにも何度か登場したパラゴンという美しいデザインのスピーカーが置いてあった。 カッコエエデザインだけでなく、しっかりした音が流れているのに驚いた。エエ音を鳴らすために、日夜、たいへんな格闘をしたのだろうなぁ・・ ・・。いわゆるオタクな世界だ・・・・・。
ところで、それはそうと、私は、エエ家を造るための格闘をしているのだろうか・・・・・と、自問してみる。
そういえば、ひょんな事から、今日、奈良に行く所用が出来て、30数年以上昔、祖父が造った家を見てきた。 丸太を組んで造った、 ちょっとレトロでちょっとモダンな居間。きっと祖父は祖父なりの、エエ家をつくるための格闘をしたのだろう・・・・・。
そこには、小さな物置があって、私がまだ、19才だった頃、祖父の墨付けに従って、自分で木を刻んで造った物置小屋だった。 祖父と一緒に小さな小さな棟上げをした記憶が蘇る。ちょっとした格闘。
その居間には、その昔、弟が造るのに手伝った、バックロードホーンという手作りのスピーカーが置いてあった。 大音響で鳴らした時の感動が蘇る。弟は、それなりに、ものづくりの格闘をしたのだなぁ・・・・。弟との懐かしい思い出。
周辺では、紅葉が始まっていた。1階の屋根ほどの高さだった木々が、2階の屋根を遙かに超える高さに成長していた。 月日の流れを感じる・・・・。その間、私は、どうしてきたのだろう・・・・・と、自問を促された。
投稿者 木村貴一 : 2008年11月09日 23:22 « ぼやくぼやく | メイン | 再生 »