2012年01月29日

音タク(オタク)

自分の好みの5曲の音楽を人に聞かせて、その聞いた音楽を何の客観性もなく、cameraroll-1327848607.624932まったくもって自分の趣味だけに基づいて10点満点で採点し、その結果を争い会うというのは、確かに、悪趣味で、なのに、それを「音宴」と称して、性懲りもなく、3回目として催すコトになったのが、先週の日曜日のお餅つきの後の出来事だった。

それは、自分の趣味を人に採点されたくないわ。という、至極当たり前の気持ちであるはずのに、その採点結果が発表されて、思いの外、自分の選択した曲の評価が低いと、俺の趣味など、解ってたまるかぁ。あいつら、音楽解ってへん。というような、妙に悔しい気持ちが湧き起こり、自分の選曲ミスを後悔しながらも、自分の音楽趣味に対する評価の低さに、憤りのようなものが沸々と湧いてきて、その事が、自分の中の小さな小さなプライドのようなもに傷がつき、それゆえに、妙な感情が尾を引いて残るのが、とっても不思議。

だったら、そんな悪趣味な、点数を付けて争うような音宴をしなければ良いのだが、他の人が一生懸命チョイスした5曲を聴くのは、ほんとうに楽しくて、意外な発見や、新たな音楽との出会いもあって、それに、あらためて、自分が好む曲が何なのかが理解できて、それ故に、自分の偏った嗜好性も発見し、また、高校生や大学生の頃に聴いた、スタンダードなエエ曲がかかると、かつての若かりし頃に聴いたその曲とその当時の思い出に対する高評価と感謝のような気持ちが湧いてきて、高得点を入れる。

いや、実は、そんな感情的問題や論理的問題そのものより、その時間、その音楽に対して、真っ正面に向き合って、一生懸命に聴く、というその行為が、五感を刺激するとっても心地良い個人的体験があり、それに、その体験を数人で共有するという、妙な音楽共有体験が生まれて、それが、この音宴の楽しさの本質ではないのかとおもう。結局のところ点数を付けるのは、この遊びを大まじめに取り組むための、方便にすぎないのでないのかと・・・・。

第一回目のメンバーによる音宴では、点数としては「私」が最高点であったので、妙なな満足感が生じ、第二回目音宴は、第一回目とはまた別のメンバーによって催されて、そこでは、コトバノイエのカトウさんが最高点で、それ故に、この回は、「私」の中には、妙な感情が暫くの間、ぐずぐずと引きずっていた。今回の第三回目は、第一回目のメンバーによる音宴で、特に、感情的違和感を抱いていた、第一回メンバーによるリベンジ力が、沸々と煮えたぎっていて、ところが、もともとは、東北の震災前後に開くコトになっていたのだが、あの震災の突発によって、延び延びになっていた事も沸々力に拍車がかかっていたとおもう。

それ故に、どのメンバーの選曲にも、その人なりの真剣さが、ひしひしと伝わって、かなりの聴き応えがあって、今回は設計のマイタニさんが、プログレッシブロックによる5曲を選曲し、最高点を獲得したのだけれど、なんと言っても、今回の参加メンバーのひとり、Uさんが、リベンジを果たすために、数日前から、沸々とした日々を過ごし、前日には、家で音楽をかけながら、奥さんに、これ、どう、エエ曲やろ。といろいろと確かめながら大きな音でかけ続けたために、同居する母親に、音が大き過ぎる。うるさい!と、窘められたそうだ。もはやそれは、40も後半にさしかかった、大人であるコトを忘れた、ほとんど高校生のような心理状態だったのだろう・・・。

それに、前日は、ほとんど寝ることなく選曲し、当日は、自分が愛用するレコード針まで持ち込んでやって来るという、気合いの入れようで、その上に、遊びというものの、何とか評価されたい、とする気持ちが、かなり強かったのだろうか、渾身の5曲をかけ終わり、ほっとし、最終のDJを勤めるマイタニさんのプログレッシブロックを聴いているうちに、暖炉の横で、熟睡をする姿が・・・・・。

一週間たった今、振り返ってみても少々滑稽な姿は、他の人が「一生懸命チョイス」した曲を聴かずに寝るとは何たる事かという、憤りのようなものを、「私」も含めた残りのメンバー全員が、その時その場で、少々だけれど感じていた事で、もちろん、大人の単なる遊びであるが故に、咎める訳もなく、それは、アカンでぇ・・・とう程度の嗜めと、翌日にUさん本人から謝罪メールのようなものもあって、この音宴に対する、「私」も含めた、メンバー間の妙な真剣さが、やっぱり滑稽と云えば滑稽。

こんな音宴の何が、人を真剣にさすのか?きっとこれがオタクの心境というやつだなぁ。

PS
ちなみに、今回の「私」のチョイスをカミングアウトすると
テーマはマイルスにおける変化するコトと変化しないモノ
1曲目 マイルス : Cookin’         : My Funny Valentine
2曲目 マイルス : Kind of Blue     :So What
3曲目 マイルス : Four&More      :So What
4曲目 マイルス : in a Silent Way :Shhh/Peaceful
5曲目 マイルス : We want Miles  :Jean Pierre
マイルスの「Nefertiti」を入れたかったのだなぁという迷いがずっとあって、今振り返ってみても、そのコトが、面白い心理状態だったなぁ・・・・。とおもう。

投稿者 木村貴一 : 2012年01月29日 23:59 « オトナの遠足 | メイン | お餅つきと日本的文化 »


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