2013年03月17日

図と地

建築は背景を造ること、暮らしの背景を造ること、という捉え方があって、主役はひとが営む日々の暮らし。建築には、「図と地」の関係性があって、建物を造るのか外部空間をつくるのか、どちらが主役で脇役なのか、主と従や図と地がそれぞれを補完し合いながら内と外が一体になったスペースを創造する。下の平面図は代官山のヒルサイドテラスで、図と地の美しい関係性の教科書のような建築。
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マイルスディビスというトランペッターは様々な音楽を創造したのだけれど、1960年代前半頃までの自分自身がトランペットを吹きまくるスタイルから、1970年代は自分自身は、ほんの少ししか吹かないスタイルになって、ほとんど吹かないのに、それでもマイルスミュージックになっているという、ある種のオーラを曲の中に宿すような手法があって、そんなのを聴くと、なんで、こんな雰囲気が流れるのだろうか・・・と、好奇心のようなものが湧いてきて、何度も繰り返し聴いてしまう。

今日は、「まちのえんがわ」ワークショップの開催日で、昨年も主催してくれた絵本作家の谷口智則さんと絵のコラボレーションするワークショップだった。谷口さんが普段描いているのと同じ黒い紙やアクリル絵の具を使って、それぞれが自分のフィーリングで動物の絵を描き、その途中で、谷口さんがサルの絵をその参加者の皆さんが描いた絵の中に付け加えて、最後はそれぞれがその絵を完成させる。そういえば、サルが嫌だというひともいて、パンダとか別の動物も。

それは、建築の図と地の関係性のように、背景と主役の関係、主役と脇役の関係、絵を描く私と谷口さんとの関係が、渾然一体となりながらひとつの絵として成立するのだろうか・・・・。ほんの小さなスペースしか占めない谷口さんの描いた絵ではあるけれど、それはやはり、谷口さんの作品としてのある種のオーラを放つのだろうか・・・・。何よりもこの一連の作業が参加者と谷口さんにとって楽しい時間となり得るのだろうか。こんなコトが、今回のワークショップの大きなテーマだった。

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30分ほど谷口さんのライブペインティングによるレクチャーのあと、それぞれがテーブルに別れて描き始める。沢山の子供達が参加しているのに、誰もが無言でシーンとした空気感が1時間近く辺りを覆う。まるで、カニを食べている時みたい・・・。黙々と食べるように、全員が黙々と描いているわ。っと言ったのは大阪のお姐さん。流石に上手いこと表現するね・・・・。

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記念撮影やサイン会などをしながら、完成した人から随時解散になったのだけれど、子供さんたちや、オトナのひとたちも、皆が笑顔でお別れの挨拶をしてくれたのが、「私」のなによりの励みだった・・・。で、この話が終わる予定だったのだけれど、今回はうちの奥方がワークショップに参加し、前回のブログにも少し書いた、フランス帰りで、お仏蘭西に少々かぶれ気味で、パリのお店か何かを画くのはエエのだけれど、ひとり時間内に終わらず、家に持ち帰り、このブログを書く横で画き続けて、いま完成したらしい・・・。

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うちの夫婦の「図と地」の関係性はどんなんかなぁ・・・と考えてみたのだけれど、まぁそんなことより、参加者の誰もが熱中したワークショップだったことは確か。皆さんthanks!

投稿者 木村貴一 : 2013年03月17日 23:59 « 旅は道連れ建築行脚 | メイン | 深夜の高速道路 »


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