2007年10月07日
遷座祭
神社の本殿の改修工事を施工することになっていて、本殿の御霊を仮殿に移す儀式があった。 その儀式を遷座祭というらしい。とても不思議な儀式だった。
夜の8時に儀式が始まった。結界といわれて縄が張られていた、その中には御霊を写す人たちしか中に入れない。その中を笙(しょう) や横笛の音を響かせた人が先導し、厳かにその音が神社の中に鳴り響く。薪を燃やし、松明や太刀など手に持った人々の後に続いて、 御霊を見えない状態にして、白い布で四方を囲った小さな集団が移動していく。移動しながら、低い声で「おーぉーぉー」と、 異様な音階を始まりから終わりまで響かせ続ける。そうして、本殿から仮殿に御霊が移されるのだった。
「御霊」というのが、神社の本殿にあり、移動する儀式は、「夜」にするのだな。「結界」というものがあるのだな。御霊は 「白い布で囲って、誰にも見えないようにする」のだな。それは、事件が起きた時に、テレビでよく見る、 警官が四方を取り囲むように青いシートを手に持って、隠しながら歩く、あの光景の、神聖なバージョンのようだった。
「おーぉーぉー」という低いうなり声が終始鳴り響くのが、独特の雰囲気を醸し出した。地鎮祭の時に神主さんが唸る音と同じだった。 あの音が神と関係する音階なのだなぁ・・・・・。悪霊を追い払うためなのだろうか?、裃(かみしも)を着て、 松明や太刀などを持った人たちが先導していく姿も不思議な光景だった。「日本」って不思議な国だなぁ・・・と、まるで、 外国人のような感覚でその儀式を見守った。
何よりも、あたりを覆う「静けさ」が素敵だった。音は鳴り響くものの静 けさがあたりに満ちあふれていた。静かな心にさせる何かが、その儀式の中にあった。 こういう時間感覚を忘れずに持ちたいものだなぁ・・・・、経験して良かったなぁ・・・・と、思えた。
ご神体が移された空っぽの本殿を奥に見ながら拝殿の前で、担当する大工の沖さん親子の記念写真を撮影した。
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投稿者 木村貴一 : 2007年10月07日 12:29 « 情熱大陸 | メイン | お彼岸 »