2009年02月15日

芝生

                      DSC06251

グレーの色で囲まれた、コンクリートの階段をくるくると回り、ゲートでチケットを見せ、何段かの階段をゆっくり上がる。暗闇の中に、 バァァーっと照明が光り、鮮やかなグリーンの芝生が目の前に広がる・・・・。

カッコエエなぁ・・・。

鮮やかな芝生を見た瞬間、私の「目」が、喜んでいた。眼球の奥が気持ち良さそうだった。家の庭にも芝生を植えたいな・・・・と、 おもった。少し前にテレビで見た「鳥取方式の芝生」 がよぎっていく・・・・。今年の6月には、「芝生」に挑戦してみようかなぁ・・・・・。

DSC06082 サッカーを見に行こう。日本代表のサッカーを見に行きたい。と言い出したのは、 小学生の息子だった。試合の前日が彼の誕生日でもあって、プレゼントを兼ねて、気軽に、エエよ。と返事する。

が、よくよく、話を聞くと、試合は、横浜であるらしい・・・。エェー、大阪から横浜まで行くのぉ・・・。試合が終わるのは、 午後9時30頃で・・・。次の日は仕事で・・・。どうして、帰るのぉ・・・。と、いろんな事が、頭の中で、錯綜しだす。でも、まぁ、 そう簡単には、チケットは取れヘンとおもうし・・・。などと、軽やかに、そのブツクサを流すのだった。

と、東京にいる長男が、弟のために、携帯電話で、「アタック」をしまくった・・・・らしい。「4枚チケット取れたぁでぇ。」と、 嬉しそうに電話がかかってきた。兄弟愛というものは、確かに、美しいと言えるのだが、今回は、そんなに頑張らんでも、エエんとちゃうのぉ・・ ・・と、何だか、やけに、にやけてしまう。

奥方は、その晩のホテルを予約予約。やれ中華街だの・・・。元町だの・・・。横浜横浜。と、それぇ、サッカーと関係ないやん。 ちょとちょっと、チケットが、一枚10万円で売れるんやて。40万円。サッカー行くのん止めとこか。と・・・・・・。

てんやわんや。の末、車で日帰りと、あいなる。そんな訳で、早朝、大阪を出発し、横浜の日産スタジアムに到着したのが、午前10時頃。 もう既に第一駐車場は満車で、係員の案内で、第二駐車場へ。空きスペースが少しあったものの、試合開始は、午後7時30分なのに・・・・と、 少々ビックリする。

     DSC06084DSC06090

スタジアム周辺では、応援団とおぼしき人達が列を作って並んでいた。周辺では、グッズ販売設営の真っ最中。なんだか、急に、 日本を応援しようよ!という気分になってくる。 グッズにある、日本代表のタオルマフラーでも買おうかなぁ・・・と、言うと、どうせ、 家に帰ったら、どっかに、ほりっぱなしになっていると、おもうし・・・・。と、言われ、意気消沈。じゃぁ、サッカーのユニホームでも・・・ と、おもうが、背番号10の中村俊介のレプリカモデルとやらは、15,750円もして・・・。それが、安いのか高いのか・・・・と、 考えているうちに、足が、新横浜駅に向かっていた。

DSC06102 中華街でお昼ごはんでも食べようという事になった。といっても、横浜初心者。 地下鉄に乗ると、 「赤いくつ」というバスがあり、1回100円で、ぐるぐると周遊しているのだとか。 ちょっとした気恥ずかしさも、 なきにしもあらずだが、ここは、やっぱり、観光者として、ただしくバスに乗ることにする。

     DSC06118DSC06111

混み合って、立ちぱなしのバスの中で、どうのこうの、ああだこうだと、話し合い、取り敢えず、赤レンガ倉庫というところで、 降りてみる事に。外から見ると人気のない様子だったのだが、中に入ると、人でいっぱいだった。文房具フェチの息子の影響で、 店内のカワイらしい文房具屋さんで、スタビロ(STABILO)  ペン68 ファイバーペン の黒を一本だけ、横浜記念に買うことにする。 全く、横浜とは関係有りませんが・・・・。

赤レンガ倉庫から港を見 ると、「横浜港大さん橋」の姿が見えた。 機会があれば、行ってみたとおもっていたので、この際、是非是非。まぁ、でも、その前に、「赤いくつ」にて、中華街へ行き、 長男と合流し、昼食でも・・・・。

DSC06153DSC06143DSC06142

中華街はすごい人人だった。流石に、活気があってエエじゃない。中華街大通りを歩きながら、長男と携帯で連絡を取り合って、 落ち合う場所を探していると、竹を植えてあって、エアーポケットのような店の前で待つことになった。店を探すのも面倒だし、 何~にも知らないので、ついでに、ちょと高そうだけれど、その店で、飲茶でもどぉ。尋ねてみると30分待ちだった。 時間が来たら携帯に連絡をしますよ。というので、まぁ、しばし、中華街をブラブラして、楽しむ・・・・・。

DSC06159 何の因果か、久しぶりに、家族4人で食事をし、それが横浜で、それも中華街で、 そして聘珍樓というお店で、 後でネットで調べると、老舗で、確かに、美味しく、ゆったりと食事ができ、それはそれで、「 静かに」語り合った、 不思議な時間だった。

DSC06176 元町元町。という奥方の連呼を男3人で、けちらして、横浜港大さん橋国際客船ターミナルへ。 あぁ、長ったらしい名前だけれど、その、大さん橋に歩いて向かう。えぇ!あんなところまで、歩くのぉ。という奥方を、 ショッピングなら3倍の距離でも平気なはずなのに・・・と、なだめすかしながら、ようやく到着する。

DSC06189DSC06196
DSC06214DSC06210
DSC06198DSC06193
DSC06220DSC06222
DSC06205DSC06219DSC06216DSC06191

「雨仕舞い」という防水処理も大変だったろう・・・・。床のデッキ貼りも大変だったろう・・・・。 芝生がグリーンならもっと素敵だったろう・・・。それにしても、スタジアムでは、この時期でも芝生はグリーンだったな。 スタジアムの芝生の手入れもたいへんなんだろうなぁ・・・・。

そろそろ日本代表の試合が近づいてきた。やっぱり、「赤いくつ」に乗り、地下鉄を乗り継いで、新横浜駅の地上に上がり、コンビニで、 夜食を買い、歩き出す。と、大挙して、大きな声で歌を歌いながら、競技場に向かって、行進しする、オーストラリアの応援団に、偶然出会う。

DSC06231DSC06243

DSC06246 まるで、オーストラリアの応援団の一員になったかのように、一緒に練り歩く。とにかく、 彼らは陽気なのだ・・・・。日本の応援団はどんな感じなんだろう・・・・。と、会場が近づくに従って、ワクワクしてくる。時には、 日本日本。にっぽんにっぽん。ニッポンニッポン。と、ナショナリズムを楽しんでみるのもエエではないか・ ・・・・・。

試合開始の2時間前だったけれど、会場に入ることにする。もう既に長蛇の列。競技場内では、きっと、 オーストラリアの応援団の声をかき消すように、日本の応援団が大きな声で応援をしているのだろうなぁ・・・・と、想像しながら階段を上がる。 それは、オーストラリアの応援団と一緒に歩いてきた影響だとおもった。

パーンとしたライトに照らされた鮮やかな芝生。「オレ」もこんなピッチの上で、大観衆の前で、サッカーをしてみたい・・・・。 とおもった。サッカーは出来ないんですけど・・・・・。

それが、意外にも、会場内は、シーンとしていた。私の席から向かって左手に、数少ないオーストラリアの応援団が陣取り、旗が揺らめき、 かすかに歌声が聞こえていた。右手の日本の応援団はシーンとして、静まりかえり、旗も静止した状態だった。

試合の始まるずっと前から、応援合戦が繰り広げられているのかとおもっていたので、少々、がっかりするが、 目の前の芝生を見ているだけでも気持ちがエエ。芝生を見ながら、コンビニで買ってきた、おにぎりでも食べる。

        DSC06258

試合開始の一時間前だった。選手が練習のためにピッチに現れた瞬間、右手の日本の応援団から、地響きのような音が、突然、唸る。 歓声が、会場内に、怒濤のように、響き渡った。何本もの旗が、大きく揺らぎ出した。

「静から動」へ。一瞬、鳥肌が立った。 カッコエエ。まぁ、ちょっと、大げさやけどね。それでも、それは、実に、 日本的な応援だとおもった。何だか、戦国時代の戦(いくさ)もこんな雰囲気だったのか・・・、太平洋戦争でもこんな感じで日本軍は・・・と、 想像が、脳内を駆け回りはじめた。なぜか、サイレント・ ウエイという方法論が、思い浮かぶ。唐突にも、マイルスのイン・ ア・サイレント・ウエイというアルバムも、なぜか、思い出す。

DSC06269DSC06261

 右の応援席から、何度か、ウエーブが起こるが、この正面スタンドまで、ウエーブは、伝わらず、応援席で、終わる。 こちらまで、こいよぉこいよぉ。とおもうのだが、6万人の観客と一体になりながらのウェーブは、ついぞ出来ずじまいだった。 おしいシュートがゴールからそれる度に、何度も何度も、おもわず席を立ち、あ~ぁあ~ぁ。と、ため息をつきながら試合が終わってしまった。

0-0の結果という欲求不満を残しつつ、席を立ちながら、息子は、どちらのチームでもエエから、とにかく、ゴールネットを揺らして、 得点が入って欲しかったわー。せっかく横浜まで来たのにな。と・・・・・・。

「私」も、同じようなおもいを抱きながら、車に乗り込んで、エンジンをかける。ほとんど、横浜エリア内で、 親子とも静かな寝息を立てだした。高速道路で、大阪に向って、ひた走りに走る。夜中の2時30分過ぎ、試合よりも、 芝生のグリーンの心地良さを目に焼き付けながら、寝床に潜り込み、そして、死んだかのように寝むった。

 

 

 

投稿者 木村貴一 : 2009年02月15日 15:57 « 加工バー | メイン | リフトで北欧デザインと出会う。 »


Share (facebook)