2014年10月26日
奥方と木村家本舗とティファニーとNYの休日9
先週の「まちのえんがわ」整理収納ワークショップで、ほとんどの参加者がアイロンは、テ レビを見ながら掛けています。という話を聞いた奥方は、早速、リビングにアイロン台を持ってきて、黒田勘兵衛を見ながらアイロンを掛けている姿を目撃するわけで、右の暖炉の上には「シュッシュ」まで置いてあるのを発見するに至る。テレビの映像と音がアイロン作業の面倒くささを克服する役目を果たすのだろうか・・・。このブログを書く「私」は、食卓のテーブルの上にノートパソコンを置いて書いているわけで、食事の後片付けをした後、テレビも音楽もかけずにYチェアーに座って書く。たまに映像だけ流して、音を消している時もあって、なぜか良く解らないが、このブログを書く時は、音楽や音が邪魔に思えるのだった・・・。
このリビングとダイニングの二つの部屋を半屋外の廊下のような階段室のようなデッキのような空間が繋いでいて、ま、それが、うちの夫婦の関係性を象徴しているのかどうか定かでないが、気配を感じながら別々のコトをするのが、好みであることは確か。ちなみにリビングは戦前の長屋を14年前に耐震リフォームして、おもにオーディオを聴くコトを目的にしていて、あと冬には暖炉で和む。ダイニングは50年前に建てた平屋の住宅を私たちの結婚と同時の35年前に、2階を増築し、写真のこの場所はI型のキッチンが納まる台所だったが、14年前のリフォーム時に、キッチンをダイニングにし、リビングダイニングの場所をリビングキッチンとして、それで、今のダイニングとリビングを半屋外空間で繋ぐコトにした。
先日の木村家本舗の様子は木村家本舗ブログ→を参考にして欲しいのだけれど、木村家本舗当初は、この半屋外のデッキを中心にして、飲み食いし、オープンホームと古本によによって空間をシェア-して、コミュニケーションを誘発しようとしたのが始まりで、それが、「集う繋がる広がる」というコトバに集約されているのだろう・・・。回を重ねながら小さな「変化」を試みるわけで、ガーデンで集う楽しさを試してみると、それが定番になったりし、「まちのえんがわ」や木村工務店加工場も積極的に使うようになり、食事やバーカウンターも少しずつ充実してきた。
この木村家本舗でよく言われるのは、奥さん大変ですねぇ・・・という、有難いお言葉を頂戴するわけで、流石に奥方はそのオコトバをしっかりと溜め込んでいて、昨年はパリ旅行のご褒美です。と自分で、勝手に段取りし、当然でしょぉ!。いや、そりゃぁ、も、も、勿論当然ですよぉ!と応える「私」もいて、そんな夫婦関係によって、なんとか木村家本舗の継続性が保たれていたりするわけで、それがオープン「ホーム」の意味するところなのだろう・・・。
先日の「NYの休日」は、そんな海外旅行を何度かしている奥方が、きっと「私」へのお返しでもあり、当然、今後の伏線もたっぷりと含んでいるのだろが、それで、私は奥方へのお土産として、ニューヨークの5thアベニューにあるティファニー本店で、奥方の指輪を買う約束をすることになる・・・。
このブログの読者ならご存じだとおもうのだけれど、この6月に私が右鎖骨を骨折し、全身麻酔の手術のために、左手薬指にはめていた結婚指輪を外す必要性があって、それが薬指の間接の脱臼のために抜けなくなっていた。それを手術中に、糸を巻く方法とやらで抜いてくれたのだけれど、ところがもう二度とその結婚指輪をはめられない状態になってしまった。じゃぁ丁度エエ機会やわ。わたしも長らく結婚指輪をはめてないので、この際、NYのティファニーで、もう一度一緒に結婚指輪を買ってきてくれたらどうなん・・・。という、お願いのような、微妙な圧力を感じる提案をするのだった。
鎖骨の手術後の2週間ほどは、体を水に濡らせない事や右手を使えない事もあって、頭を洗ってくれたりし、多大な迷惑を掛けていることも事実で、それに、結婚記念日のお祝い事を一度もしたことがなく、それで1年前に思いついたようにその祝いを兼ねてコンサートを聴いて食事でもしようとしたら、その当日に骨折するわけで、その上、オープンホーム状態のように、突然、お客さんを案内する事が、年に5、6度ほどあり、そんなこんなの「蓄積」によって、NYのティファニー本店の前に立つ「私」を発見するに至る。
いかにも観光客風の短パンとちょっと綺麗めのシャツを着た父と息子の二人が、ティファニー本店で指輪を買う光景は、なんか可笑しいが、とにかく大きなドアーを開けて入ると、その雰囲気と、規模と、そこそこの人で、お目当ての指輪がどこにあるのか、またく検討がつかなかった。実は、1週間前に、大阪の高島屋のティファニーで、奥方と二人で、指輪の大きさと種類を決めて、私のはすぐに値段相応に決定したが、奥方は、安いのと高いのを二つ、微妙な気圧を私にかけながらチョイスし、どちらでもエエよ、気ぃつかわんと買ってきてぇ。と言霊をふわーっと放り込んできたりして、それで、その指輪のサイズと種類を店員さんの名刺の裏に書いてもらい、それを持参することにした。考えてみれば、その場で買えばエエ話なのだが、ま、そこは、指輪にそういう物語性を創造する遊びでもあるのだろう・・・。
そのサイズと種類を書いた名刺を案内係の男性に見せると2階です。といわれて、世界からの観光客とともにエレベーターで2階にあがり、空いている店員を探しながら店の奥に進むと、生憎、日本人風の店員の女性は日本人のお客さんと対応していて、それで、如何にもNYのおばさまという感じのシュッとした眼鏡をかけた女性が目にとまり、その女性に名刺を差し出して、これを買いたい旨を伝えることにした。もちろん長男が、横で英語でフォローしてくれるわけで、探すので、しばらくお待ち下さい、珈琲でも如何ですか。とかなんとか云われて、暫くすると、やっぱりシュッとした身なりの黒人の男性が銀色の皿に載せた珈琲を持ってきてくれて、ま、そんなあたりからも、ティファニー本店というブランド力を感じさせるのだった・・・。
珈琲を飲み終わるまでセレクトの時間がかかって、それも演出なのかどうか知るよしもないが、とにかく、私の指輪は日本より1万円ほど安い金額で提示されて即決したが、奥方の指輪は値段の高い方しか、手元になく、安い方の指輪をここに持って来るのにはもう暫く時間がかかるとかなんとか、たぶんそんなふうに英語で喋っていたはずなのだが、それもなんとなく演出ぽっく感じたが、とにかく高い方の指輪は10万円以上も安く、細やかなニュアンスまで英語で交渉する自信がまったくないうえに、旅の最終日でもあって、この後、ホイットニー美術館やニューミュージアムやブルックリン橋を渡ってブルックリンで遊ぶ予定があって、時間も惜しかったので、なんとなく即断し、無事お土産をゲットした喜びで、意気揚々とティファニーを立ち去る観光客風日本人親子なのだった。
翌日、NYから成田で長男と別れて、大阪の自宅にひとり帰りつき、真っ先に、ティファニーの指輪の入った箱を冒頭の私がブログを書くダイニングテーブルの上に置いて、奥方に自慢げに見せつける「私」の姿を想像して欲しいが、それより、奥方は左手の甲に包帯を巻いていて、痛々しい姿だった。それが、二日ほど前にLINEのメールで、冒頭の写真の半屋外のデッキから、私の後ろ姿が写るアルミサッシュの窓が、写真のように開けっ放しになっていて、そこから、猫が進入し、二日間ほど寝室の収納辺りで隠れていたらしく、発見した時は夜中で、ビックリして大騒ぎになり、猫もビックリして、奥方の左手甲に噛みついて、歯形がいく始末で、翌日病院で破傷風の検査までしたという大騒動があったようだった・・・。
箱を開けて高い方の指輪だと確認すると、それなりに大喜びの表現をしながら、指輪を左手薬指にはめようとすると、手の甲の腫れから左手薬指まで腫れていて、なんとか押し入れる状態で、それをぐっぐっいと引き抜きながら、しげしげと指輪を眺めて、箱の中を見て、「保証書」は?と云うのだった・・・。そんなモノを渡された覚えがないので、ないよ!というと、ふ・つ・う・は、保証書はあるでしょぉ!と笑みを浮かべながらも強くいうのだった。いつも陽気な奥方にしては、きっと手の甲の事情があって、所謂、虫の居所が、少しばかり悪かったのだろうとおもう。こんな買い物に関しては、男ども二人は、ほんとうに頼りないしね。ほんとうにティファニー本店で、買ってきたのぉほんと・・と疑いの笑いまで含めたダメ出しを頂戴する始末だった。
ほんとに保証書を貰ってないし、とほんとにの応酬を繰り返しながら、NY本店のティファニーで珈琲まで飲んで、いかにもNY風のシュッとした眼鏡を掛けた女性から指輪を買った話を手振り身振りと笑いまで交えて語る姿が、いっそうの不信感を煽ったのだろう、インターネットで指輪の詳細を調べて、物差しで指輪の幅の寸法を確かめると、3mmのはずか、2mmしかなかった。後日判明したのだが、太いところで3mmで細いところで2mmだったらしいが、たまたま測ったところが、2mmだったのだ。私は旅行鞄の中から領収書をようやく探しだして、奥方に弁明を試み、何度も何度も、面白可笑しく、5thAvのNY本店のティファニーでシュッとした眼鏡を掛けた如何にもNYくぽい女性から買ったのですぅ。と繰り替えすのだが、疑いが晴れなかった・・・。金額が日本より10万円以上も安かったのが、いっその不安を募らせたのだろう。
ほんまもんの大阪のおばちゃんである奥方は、翌日、高島屋のティファニーに、その指輪を持って行って確かめたらしい・・・。午後3時前の打ち合わせ中の携帯メールのメッセージに、ほんまもんやったわ。という、ポツンとしたメッセージだけが放り込まれた。夜に帰宅し、その話に及ぶと、だってほんまもんやったから、それ以上云う事ないわ。それより、ほんまに、ありがと!、そうそう、日本では保証書あるけど、あちらでは、ないらしいよ。と、さらりとした態度でさらりと言い切るのだった・・・。
購入して、一週間もたたない日に、こんな郵便が、ティファニーより、接客してくれた、シュッとした眼鏡をかけた女性の直筆で、送られてきた。もちろん、私は、これ見よがしに、つたない発音で読み上げ翻訳しながら、ほらなぁ!、ほんとやったやろ!、保証書以上の葉書とちゃう!と語るのが精一杯の抵抗だった・・・。
それにしても、ティファニー本店で買ったこの二つのリングが、二人のビューティフルライフをほんとうに約束するのかどうか定かでないが、NYの旅の最後の最後の締めは、ティファニーという「ブランド力」を学ぶ「NYの休日」となった。
投稿者 木村貴一 : 2014年10月26日 23:59 « イン・ザ・スカイ | メイン | 心の整理収納 »