2010年12月12日

音の宴と職人集団の宴

夜、50前後のオッサン5人が、家庭の居間のスピーカーの前に向かって、CDかレコードをかけ、それなりの大きな音量で聴いている姿があって、その途中に、息子が、外出から帰ってきて、皆に、「こんにちわ」と挨拶を言った後、その異様な雰囲気と姿を見て、「いったい、これ、なに・・・」と呟き、ニヤリと笑いながら、居間の引き戸を閉めて、そそくさと退散した。5人それぞれが、いまの状況を冷静に判断したのだとおもう。まるで、新興宗教の集会のような、その雰囲気の自分たちの姿に気付いて、大爆笑が起こった。

温熱環境の私塾のような研究会を展開している、野池さんの会合があり、それが終了した後、数人で、懇親会をし、その席で、ウダウダと歓談をしている時の事だった。誰かが、こんなマイナーなレコード音楽の曲は、知らんやろ! というと、ほとんど、全員が知っているでぇ・・・・。と答えた。それが、発端となって、70年代や80年代のマイナーな曲をそれぞれが自慢しあうという、たわいもい、それに、とっても大人げない、自慢話が続いて、それを酒のあてにしながら、深夜まで、楽しく飲んだ。

あまりにもその話が盛り上がり、それに面白かったので、ノイケさんが、それぞれ自慢の曲を持ち寄って、お互いの、持ち寄った音楽を一緒に聴いて、優勝者を決めてみようよ!という事になった。それで、うちの自邸(木村家本舗)をその場所として、そのイベントを催したのが、昨日の出来事だった。

5人それぞれが、5曲を持ち寄って、連続して音楽を掛けて、自分の好みで、一曲を10点満点で採点し、合計を争う。いやいや、全然、争う気持ちはないのだけれど、やっぱり、ゲーム性を加味した方が、オモロイという程度の事。5人のメンバーは、ノイケさんと、その関わりのある人で、設計のマイタニさんや、ノイケさんの事務局の手伝いをしている設計のウエノさん、それに、ノイケさんの同級生の音楽仲間で、偶然、木村工務店の製本やコピー、それに事務所の一部を建築させて頂いた、施主でもある、宏和のヒガサさん、と私の5名。そうそう、構造のシモヤマさんも参加予定だったが、飲み過ぎの痛風でダウンして、急遽キャンセル。

お酒を飲みながらであるけれど、真剣に音楽に聴き入る、オッサン5人のその姿が、如何に異常であったのかは、うちの奥方をして、近寄りがたい異様なムードで、よう、入りこまんかったわ。とオタクをを見るような目で、笑う。それにしても、楽しい「遊び」であって、採点は、好みでエエ加減な点数であるのだけれど、それぞれが持ち込んだ、どの音楽も、それぞれの思入れがあって、聴いていて、不思議と、幸せな気分になった。そんな、ロックとフォークとジャズの音の宴だった。

ちなみに、皆は、アウェイでの戦いであり、私にとっては、ホームでの戦いでもあって、自分の音響設備が、どのような音楽を良く鳴らすのか、知っているので、敢えて、70年代や80年代のロックは選曲せず、ロックファンに送る、Jazzにおけるブルースの解釈とその進化。という選曲で、それは、エラソウに言いすぎなので、Jazzファンや音楽関係者の人は、突っ込まないで、♪ 笑ってぇ許してぇ ♪ 欲しい・・・。

1曲目:Roland Kirk  ローランド・カーク the inflated tear より
・・・・・・1曲目の the black and crazy bules
2曲目:Charles Mingus チャーリー・ミンガス Blues&Rootsより
・・・・・・1曲目のwendnesday night prayer meeting
3曲目:Booker ervin ブッカー・アービン the song bookより
・・・・・・1曲目のthe lamp is low
4曲目:John Coltrane ジョン・コルトレーン Crescentより
・・・・・・2曲目の wise one
5曲目:Miles Davis マイルス・ディヴィス My funny valentineより
・・・・・・3曲目の stella by starlight

僅差で、5人中の1位を頂いたのは、嬉しくもあり、何よりもホームの利点であったのだけれど、そんな事よりも、仕事を工面して、わざわざ、うちまで、お越し頂いて、この楽しいひと時を一緒に遊んだ、参加者の方々に、感謝です。


そういえば、今週は、木村工務店の協力業者の精親会という会の忘年会があり、40名近くで、懇親を深めた。そもそも、この会は、私の祖父で、創業者の木村精一が作った会で、名字の「精」と「親」しむをくっつけた名前であり、その意味合いからしても、創業者への人柄に親しんだ、協力業者の人たちが、発起した会でもある。

50年以上継続していた会なのだけれど、忘年会を開いたのは初めてだったのは、少々の驚きでもあり、また、喜びでもあった。解体屋さん、仮設リース屋さん、基礎屋さん、生コンの建材屋さん、鉄筋屋さん、型枠大工さん、鉄骨屋さん、材木屋さん、金物屋さん、屋根屋さん、板金屋さん、防水屋さん、タイル屋さん、左官屋さん、塗装屋さん、クロス屋さん、住宅設備の建材屋さん、洗い屋さん、電気屋さん、水道屋さん、ガス屋さん、等々の面々が揃った。

考えて見れば、様々なものづくりの人たちの協力があって、ようやく建築が出来るわけで、ひとりひとりに、お酒をつぎながら、「職人集団あってこその工務店」だな。と、つくづく思った。創業者の精一氏と協力業者の皆さんに、感謝です。

ということで、宴たけなわの季節。だね。

投稿者 木村貴一 : 2010年12月12日 19:13 « 風土 | メイン | カオスの縁 »


Share (facebook)