2012年09月16日
木村家本舗 3
「木村家本舗」というオープンホームをする企画を始めたのは2年前の事で、第一回はこんな感じだった → 。それが、おもいのほかひとが参加してくれて、それなりの楽しい出会いが生まれた。それで、調子にのって第二回を催した。その様子はこちら →
もともと、オープンホームとライブラリーという事で、ひとの暮らしを覗く楽しみを、少々自虐的ではあるものの、楽しんでもらおうという主旨で始めた事で、もちろん、木村工務店という家業があって、何回もリフォームを繰り返しているうちの家の暮らしを見てもらう事で、少しは営業的な足しになるのかも。という狙いのようなものがあるにはあったが、やりだしてみると、そんなことそっちのけで、なんだかんだと「遊び」を企画して、楽しんでいるのが実態。
第二回目は、木村工務店の加工場も会場として、写真展をやってみると、それはそれなりにエエ雰囲気になった。きっとその時経験した「場の力」のようなものに対する、共有体験が、社員や「私」に育まれて、それが、「まちのえんがわ」のワークショップを加工場で催すきっかけと自信に繋がって行ったのだとおもう。
今年は、10月の週末の5日間に5つの宴会を催す。「5days、5party」。それに、8人の暮らしを楽しむナビゲーターに、それぞれの企画をリードしてもらいながら、そのナビゲーターが醸し出すエネルギーを皆でシエアーしあって、祝宴を楽しもうという催し。会場は木村家本舗と呼ばれる木村家であったり、木村工務店の加工場であったり、「まちのえんがわ」であったり。
そういえば、「オープンホーム」という、暮らしを開く体験をしてみると、プライベートとオープン、日常と非日常という境界線の曖昧な部分が広く長く形成されだして、それを海と陸との間にあたる、「渚」のような場所と例えることができそうだけれど、そんな渚のような場所を通じて、それを日本的には縁側というのだろうが、そういう場所を通じて、ひととの出会いとコミュニケーションが生まれるのだなぁ・・・と感じるようになった。
それじゃぁ、家庭だけでなく、会社を町に開いていてみればどうなっていくのだろうか。ということで始まったのが、「まちのえんがわ」の本質的なところだとおもう。「まちのえんがわ」は木村家本舗の経験を通じて生まれたのだけれど、その木村家本舗で、温泉ソムリエぐっちという「ひと」と出会って、それが、住宅風呂巡礼という企画をうんだ。あれ!、住宅風呂巡礼って、いったい何ですか!。と聞かれることが多々あって、それで、今週に、こんな文章を書いた。
「ひと」の存在が企画をよぶのだとおもう。
温泉ソムリエぐっちとの出会いは、木村家本舗という自宅をオープンホームしたイベントで、彼が迷い込むようにやってきて、お互いに温泉入浴自慢を競い合ったのが最初だった。暫くして彼のホームページを眺めていると、どの入浴シーンにも自分撮りした姿が写っていて、それが、とっても不思議だった。いったいどうやって自分撮りしているのだろうか・・・と。 後日、再び木村家本舗に彼がやってきた。曖昧な会話をあれこれしているうちに、そうそう、温泉もエエけど、住宅のお風呂に入って自分撮りしたらどう。それも、いろいろな家のお風呂。有名建築とか無名建築とかのお風呂を巡る旅。住宅のお風呂の写真は数々あれど、ひとが入浴してるシーンはないし。そんなコトバを口走ると、即座にしかも軽やかに、やりましょ!と返事が返ってきた。
西宮の目神山に建築家石井修さんの回帰草庵という超有名建築があって、その草屋根の上で、息子さんの建築家石井良平さんが、炭火串焼き宴会を催してくれた。写真家の多田ユウコさんが同席していて、温泉ソムリエぐっちとの住宅のお風呂を巡る旅の話をした。その日の彼女は、草屋根の穴に落ち込んで尾てい骨を強打してしまうほど酔っぱらっていた。きっとそれが幸いしたのだとおもう。その写真撮影、私やりましょか!と、とっても軽やかに答えてくれた。
2011年12月4日日曜日木村家本舗とも呼ばれている自宅のお風呂で、主演は温泉ソムリエぐっち、撮影は多田ユウコ、企画は木村貴一で、第1回撮影をしたのが始まりだった。ぐっち自身が自分撮りをするか、私が撮影するのかとオロオロしていたのに、プロの女性カメラマン多田ユウコの出現によって手持ちぶさたになった「私」が唐突にとった行動が「making of 住宅風呂巡礼」だった。ちょうど、12月1日に、自邸直ぐ近くの「まちのえんがわ」という木村工務店の路面店がオープンしたばかりで、そこで、撮影終了後3人でお茶を飲みながら和んだ。その時に多田ユウコさんが撮影してくれた写真が「まちのえんがわ」の写真になった。
そういえば、住宅風呂巡礼と命名をしてくれたのは、建築家の矢部達也さんで、第1回撮影の様子を伝えたブログを見て、第2回の撮影場所に自宅のお風呂でやりましょう!と名乗りをあげてくれた。2012年1月8日日曜日に第2回住宅風呂巡礼が大阪・野田・矢部邸で催されて、ヤベさん自らが演出をしながら撮影をした。撮影後、そこで小宴を催し、それがとっても楽しいひとときだった。その撮影現場を見学するためにコトバノイエの加藤博久さんがやってきた。コトバノイエというのは矢部達也さんが設計した家で、その住人が加藤さんで、その家を施工したのが木村工務店でその会社の社長が「私」だという、施主と設計者と施工者という奇妙な構図。ちなみに、住まい手の加藤さんの古本好きが高じて、本棚か構造体になった家がコトバノイエで、家が出来て暮らし始めてから、自宅でコトバノイエという古本屋さんを開いてしまった。
そんなこんなで、様々な奇妙な縁によって「ひと」が集い、繋がった。主演は温泉ソムリエぐっち、撮影は多田ユウコ、演出は矢部達也、協力は加藤博久、企画は木村貴一、制作は「まちのえんがわ」という住宅風呂巡礼団クインテットが生まれて、どこに向かってどこに連れて行かれるのか、流れるままに何かが広がり始めた・・・。
やり出してみて、もっとも面白い出来事は、住宅風呂巡礼団はチンドン屋さん的だというコトだった。もっとも日常的でプライベートな私たち家族にとってのお風呂という場所に、住宅風呂巡礼団というクインテットがにこやかに現れて、その一員の温泉ソムリエぐっちといわれる怪しいひとが、いきなり服を脱いで、素っ裸で、私たち家族のお風呂に入るのだった。その非日常性が「笑い」をうんだ。撮影された写真はどことなくシュールになった。お風呂の撮影中にそこの家族と交わす何気ない会話には「機微」が生まれた。住宅風呂巡礼にはアフォーダンスがあるのだろう、それが家族写真に独特の表情をもたらし、家族写真撮影がひとつの定番になった。時には、そこのお宅で小宴を催して、一緒に楽しんだ。きっとこのクインテットからチンチンドンドンと音が鳴り響いているのだ。
そうそう、住宅風呂巡礼って、あれいったい何やってるんですか。と聞かれることがある。いや、それが、つまり、と口ごもりながら、例えば日曜日にゴルフに行くとするでしょ。メンバーを4人や8人集めて、前もってゴルフ場を予約して、それで、ゴルフして、楽しんで、お酒なんか飲んだりもして、健康のためだとか、社交のためだとか、何だかんだ理由を付けて遊ぶ。そのゴルフ場の代わりに、住宅風呂巡礼者は、住宅風呂巡礼のための家を日曜日に予約して、5人ほどのメンバーと一緒に、訪れて、時には、沢山のギャラリーもいたりして、例のごとく撮影を楽しむ。いつも飲んだり食べたりし、そこの家族とのコミュニケーションも楽しむ。そんな「遊び」なんです。
住宅風呂巡礼団 木村貴一
そんなこんなで、「住宅風呂巡礼」と「まちのえんがわ」と「木村家本舗」との本質的な部分は共通していて、今年の木村家本舗は、8人の「ひと」と共に、この木村家本舗の企画全体をプロデュースしてくれているコトバノイエ加藤さんと「私」、8+2=10人の「ひと」が、それぞれが持つ少しばかりの愛あるエネルギーをチンチンドンドンと奏でながら、皆と一緒に分かち合おうという「企画」。
エエオトナが、少々企画がエスカレートし過ぎて、調子に乗ってるのとちゃう。という、外野から聞こえてくる意見もあって、それには、やはり、いわゆる「真摯」に耳を傾けながら、「木村家本舗3」の準備をすすめていこうとおもう・・・・。
10月6・7・8・13・14日のご来場をお待ちしております。
投稿者 木村貴一 : 2012年09月16日 23:59 « 暮らしを楽しむコト。 | メイン | 「森」と「木」と「木材」吉野遠足 »